異世界に転移しちゃったみたいだ! 1
「はぁ、こんな生活いらないから異世界にでも転移しねぇかな……」
俺もまだ高校2年生である。やはり、異世界転生物などには並々ならぬ興味がある。
男性諸君よ。学生の時に異世界に行けたらな……とか一度は考えたことがあるだろう?
強大な敵と戦う俺かっけぇ!とかさ。
アニメの見過ぎだと? それのなにが悪い、そのせいで成績が全く上がらねぇんだよコンチクショウ!
分かっていても見てしまう俺はきっとバカなのだろう。ほら、テスト週間に見るアニメほどそそるものはないだろ?
背徳感の中でのアニメは最高だね!
「変なこと考えてたら学校着いちまったよ……」
クラスに入ると同時に男子からの相変わらず妬みが含まれた視線を向けられる。
「ようよう、楓。女子にチヤホヤされる気持ちはどうだ? ん?」
でた、変に絡んでくるこいつの名前は谷川 悠人。
顔は……ね、察してあげてほしい。うん、まだチャンスはある。整形しろってレベルである。
以前こいつが好きだった女子から告白されたのを断ってから無駄に絡んでくる。
断ったからいいじゃんと思うけど告白されること自体が、谷川 悠人からすれば許せないことだったらしい。
正直うざい。
ここはテキトーに流してさっさと席に行くのが正解だ。
「おはよー悠人。あーまぁお互い頑張ろう。な?」
「お前なに言ってんの? まじでキモい。なんでこんなのがモテるんだよ」
黙ってろ。こっちだって好きで好まれてるんじゃねーんだよ。
と声に出して言ってやりたいが、こいつには何を言っても無駄なことはすでに学習済みなので、適当にいなして席に向かう。
「なんでだろうね? 俺なんてそんな器じゃないのに。じゃ授業始まるからまた後で」
「おい待てよ!」
俺がそう言ってさっさと席に座ろうとした瞬間、教室の床が謎の赤色の魔法陣によって埋め尽くされた。
「なんだよコレっ!」
と、呟いてみたものの半分わかってた。
あーコレが異世界転移ってやつか。本当にあるんだな……
そんな、あまり実感の持てないまま意識が遠のいていくのであった……