旅の準備をするのです! 3
今の状況を説明しよう。
無事ご飯を食べ終わり後片付けを終わらせてテントに入ったはいいが全く寝られないのだ。
「楓くん、起きてる?」
「あぁ、さすがにこの状態で寝られるほど俺の神経は鈍感じゃない」
「なにそれ。まぁ私もなんだけど」
「お互い様だね」
2人で背中を向けあって話す。なんか恋人になりそうでならないカップルみたいだな。
「そういえば楓くんってクラスでいつも1人だったけどどうして?」
「自分で言うのもなんだが無駄にルックスが良いせいで女子からは好奇の視線、男子からは嫉妬の視線でいっぱいで他の人と絡めなかった」
「へぇ、イケメンも大変だね」
「お前もなかなか可愛いと思うけどな」
「え!?あ、ありがとう…」
ん?俺なんか変な事言ったかな?急に日向の声が小さくなった。
『マスターは女心を勉強した方が良いと思います』
本当にな。というか他人の事がいまいち分からないからもっとコミュ力を上げろという事だろう。
『…』
「でも、楓くんもててたんでしょ?なんで他の女の子と付き合わなかったの?」
「まぁ色々あってな…」
この話題はやばいな…俺の黒歴史というか人生の初めての汚点のことを話す羽目になる。
「そっか。楓くんなら他の女の子とでも仲良くなれそうな気がするのにな」
「そんな事ない。俺は顔は良いが性格は最悪だ。周りからはそうやって言われてきた。他の子と付き合っても長続きしないよ…」
あーあ、結局思い出してしまうんだよな。
ん?何か柔らかいものが俺の背中に感じるって日向が抱きついてる!?
「ちょ!日向!?」
「大丈夫だよ。私は絶対に楓くんを見捨てない。楓くんは優しいよ。だって本当に性格の悪い人は自分が性格悪いなんて思わないもん。だから楓くんは優しいよ」
「そう、かな?」
「そうだよ。楓くんは優しいよ」
「ありがとう」
なんか、少しだけ心が楽になった気がする。日向に慰められて少しは元気が出たみたいだ。本当に俺って分かり易いな。
「なぁ、日向。俺の力の事知りたい?」
「うん」
「でも、話を聞いたら日向は怖がるかもしれない。それでも良いか?」
「うん」
優しく返事をしてくれる。気を使わせてるんだな。また、信じてみても良いかな。
「俺のステータスとスキルなんだけどな、全部∞って表示が出てるんだ」
「え?」
さすがにビックリしたか。まぁ普通に強くても3桁台だしな。
「スキルの名前は全知全能。レベルはもちろん∞だ。それと…」
日向には全て話した。
ここに転移される前にイリアという全知全能神に会った事。
そこで死ぬほど辛い苦痛に遭った事。
それで髪の色が白くなった事。
俺のステータスは好きに変化させられるがスキルは無理だった事。
強すぎて加減が難しい事。
全てを聞いても日向はすごいね!それじゃ楓くんは最強だね!とか言われた。引かないんだな。
「ありがとうね。私に秘密を打ち明けてくれて。これで楓くんがなんでも出来る理由が分かったよ」
「まぁ、まだステータスは最強だが技術面がな、まだまだ拙いから練習はしていく。日向もステータスは上げておいて損はないからこれから人類最強レベルまで到達出来る様に頑張ろうな。」
「え!?私たちってそんなとこまで目指すの!?」
「当たり前だ、俺が強くてお前が弱いのはおかしいだろ。2人とも強くならないとな」
「うん!そういえば冒険者ってクラン?みたいなのに入ってたけど私達はどうするの?」
「へ?なんだそれ?」
「え?知らないの?なんか冒険者はある程度組織として動いた方が効率がいいからってクランっていうのを作ってそこに入っている人たちで協力してクエストをこなしていくらしいよ?」
そんなものがあったとは…
『マスターが情報収集の時にシュトガルの事しか聞いてなかったせいですよ』
これは失敗だ!だから他の冒険者は俺らの事を見ていたのか…
『それもありますがあの量はないかと…』
…。まぁいい。それより…
「それなら俺らで新しいクランを作るか。申請すれば大丈夫だろ?」
「うん!多分いけると思うよ!それよりクラン名はどうするの?」
クラン名とかあるのかよ…クラン名か、俺のステータスは∞だし、それは入れたいなー。
『マスターたちの場合確実に伝説に名を刻みそうなので伝説とか入れてみては?』
「そうだな。無限の伝説かな?ちょっと格好良くし過ぎたか?」
「全然!格好良いよ!無限の伝説!これからはクランメンバーとしてよろしくね!」
「おう!」
この日、人類の命運を大きく左右する『無限の伝説』というクランが誕生した。
このクランマスターである楠木 楓はこれからもたくさんの面倒事に巻き込まれていくがそれはまた先のお話。




