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魔物殲滅戦準備 1


「大した事ないな」


「ま、まったく…どっちが魔王か分かったもんじゃないよ…」


「よ、容赦なかったぞ…」


「カエデ様…私達三人一気に襲いかかっても勝てないとは…」


現在、楓の作った異空間では楓以外の三人は地面にぶっ倒れていた。


アルだけでなくルシフェルもセバスも今迄大量に同じ様な事をしてきたのだが、まさか自分が同じ目に合う様な事になるとは思いもしなかった様で複雑な顔をしつつもなんだか楽しそうだった。


「それにしても自分があそこ迄強くなっていたとは…たまには全力で戦ってみるものだな」


「そうだね、僕も久し振りに龍化して戦ったけど楽しかったよ」


アルは今回久し振りに本来の姿になりルシフェル達と協力して全力で戦っていた。


結果としては楓にはまったく攻撃を与える事が出来ず、逆に返り討ちにあったのだが、楓はアル達以上の規格外なので仕様がないと言えば仕様がないだろう。


戦闘の中でアルとルシフェル、セバスの三人は一度全員の魔力を合わせて楓に向けて魔法を放ったのだが、もし地上であの魔法が使われていたのならルベルカムは一瞬で崩壊していただろう。


まぁ楓はその威力の魔法を拳一つで弾いていた訳だが…


世界をも簡単に崩壊させる程の威力がある魔法をいとも簡単に弾き返す楓はもう化け物という他に表しようがない訳だが、本人はまったく自覚がない。


無自覚系主人公ここにあり。である。


「でも、久し振りに溜まっていたものを吐き出せた感じがしてスッキリしたよ。カエデ、定期的に模擬戦を頼んでもいいかな?」


アルはもう何百年も全力で戦えていないのがかなり溜まっていたらしくアルはかなり必死に楓に頼み込んでいた。


以前、楓とアルは模擬戦をした事があるのだがあの時は周りに日向達がいた為、アルには人の姿で戦っていたので全力で戦えてはいたもののまだ何か物足りなかった様だ。


「あぁ、意外と楽しかったのは事実だから別にいいぞ。その時はこのメンバーを呼ぼうか。アル一人じゃすぐに終わるだろ?」


「伝説龍相手に凄い事を言っているけど本当の事だから何も言い返せないね…」


「これは訓練のやりがいがあるではないか。我ももっと強くなってカエデに一矢報いてやろうではないか」


ルシフェルはそう言って楓に挑戦的な笑みを向けていた。


「さて、そろそろ戻るか」


「そうだね、結構な時間ここにいたけどヒナタ達が心配しているかもしれない」


「いや、その心配はない。この空間は時空魔法も掛けられているから多分向こうでは数分しか経ってないぞ」


楓は当たり前の様にそんな事を言っているがまったく普通ではない。


ルベルカムが一瞬で崩壊してしまう様な衝撃を受けてもまったく破壊された様な事はなく、気温や環境もかなり良い。そして時空魔法で時間も歪めてしまう。


一言で言ってチート空間である。まぁ楓産なので仕様がないと言えば仕様がないのだが…


「ほいっと」


楓は指を鳴らすと楓達の目の前にゲートが出現し楓達は順番にそのゲートをくぐってバルバトス達の元へと戻る。


「おぉ、意外と早かったな」


楓達がゲートから出て来るとそこには満面の笑みで腕を組んで仁王立ちをしているバルバトスの姿があった。


「あ、あははー。クンレンデスヨ。クンレン」


「そうか、ミル達もルーナとヒストリアを引き連れて訓練場に行っていたのだが…何か勝負がどうとか言ってたな?」


「いや、それ俺のせいじゃないですよ」


バルバトスに要らぬ濡れ衣を着せられそうになった楓は必至に誤解を解こうとする。


決して楓が日向達にご褒美として1日デート権を与えようとした訳ではなく彼女達が自分達で勝手に決めただけなのだ。


「……っと、そう言った訳で僕は無実です」


「そうか、お前も苦労してるんだな…」


「はい…」


楓が事情を説明すると段々とバルバトスの態度が軟化していき最後には楓はバルバトスに同情されて慰められていた。


アル達をボコボコに出来る楓も日向達妻にはまったく勝てる気がしないのである。


「世界最強も自分の妻には敵わない…か。これは使えるな」


「あ、止めておいた方が良いですよ?日向達を経由して僕を利用しようとしたのがバレると僕じゃなくて周りが勝手に報復しに行こうとするので…」


「そ、そうだな…そういえば前にミルにも言われたよ。

『私の旦那様に何かしたら許しませんよ?』って。あの時のミルは怖かった」


バルバトスは本当に怖かったのか肩を震わせて顔を真っ青にしながら楓にそんな事を言っていた。


「ミルがですか…ごめんなさい。少し嬉しいと思ってしまう僕がいます」


やっぱり、日向にしろミルにしろ…ルミナやエリスもそうだが自分の妻が本気で自分の事を考えてくれている事を思うと何か胸が暖かくなる様な気がして、一言で言えば幸せだった。


「幸せそうで羨ましいよ…」


バルバトスはあきれた様子で、でもバルバトスも嬉しいのか微笑んで楓を見ていた。


本来ならこれから地獄が始まる筈なのだが楓達がいる事によって、本当に和やかな雰囲気が今のこの会議室には流れているのであった。

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