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緊急会議 3


「いやはや、この国にまさかルーナ殿やヒストリア殿よりも強い人物がいたとは…」


「何度かカエデに特訓をして貰いましたけど勝てる気がしませんでした。でも、ここまでとは…」


大臣達が正気に戻り、再度楓達の強さに驚いているとルーナ達までそんな事を言ってきた。


ルーナ達は、楓に会う迄世界最強とはいかないものの、人類の中でも強い方だと思っていたのだが、楓に模擬戦を挑んでコテンパンにやられ、そして今回の魔物の件もあって完全に自信を失ってしまった。


「ルーナ、ヒストリア」


「ん?どうした?」


「どうしたの?」


「お前らは十分強い。俺が言っても説得力ないかもしれないが俺らとあまり変わらない年齢でドラゴンを単独討伐は出来るんだろ?」


「まぁ、一体なら…」


「私も一対一なら負けない」


「だろ?普通に考えてドラゴンを単独討伐出来る化け物なんていない。だから自信を失う必要はない」


楓は珍しくルーナやヒストリアの気持ちを察する事が出来たのか自分の思った事を素直にルーナ達に話した。


ルーナ達は自信を失った様だが、目標が楓だからしょうがないといえばしょうがない。


「あはは…バレてたか」


「でも、カエデの言う事正しい。私達も頑張ってカエデ達に追いつこう」


「そうだな。気を遣わせてしまってすまなかった。私達もこれから頑張っていくからたまには稽古に付き合ってくれ」


「あぁ、基本暇だからいつでも呼んでくれ」


「いや、暇ではないでしょ?」


最後に楓はそう言うが盛大にルミナに後ろから突っ込まれる。


まぁ、オチをつけるのには丁度良かったので特に問題はない。というかルミナも楓の狙いに気付いて敢えて大げさに突っ込んだのかもしれない。


「これがルーナとカエデのやりとりじゃなかったら凄くいいシーンなのだが…」


「カエデ殿とルーナ殿達がそれをするとかなり物騒に見えてきますな」


バルバトスがため息を吐きながらそう言うと大臣もかなり疲れた様子でそれに同調して頷いていた。


すこしはしゃぎ過ぎたかもしれない…


『でも、いいフォローだと思いますよ。マスターの優しい一面が垣間見られて良かったです』


ナビちゃんは嬉しいのかいつもより声が優しく暖かかった。


「ミルのお父さん、そんな事よりも…」


「あぁ、そうだったな。一旦全員席に着いてくれ。今日報告したかったのはこれだけじゃない」


バルバトスがそう言って一番最初に席に着くとそれに続く様に他の面々もぞろぞろと自分の席に座っていく。


「全員落ち着いたな。これから言う事は今の所は口外禁止とする。カエデ、ヒストリア、一応音が外に漏れない様にしておいてくれ」


「「分かりました」」


楓とヒストリアは声を合わせて頷き同時に遮音する魔法を使う。


「何か混ぜた?」


「あぁ、せっかくだからここを覗く奴がいたら目にしばらく激痛が走る様にしておいた」


「なかなか酷い事するね…」


だって音を消すだけだったら心配だろ?俺だって簡単に相手の事を覗く事が出来たんだ。


何かしらの方法で覗かれるかもしれないし、その対策はしておくに越した事はない。


『そんな事が出来るのはマスターかもしくは神だけです』


……まぁ、やっておくに越した事はないだろう。


「出来ました」


「助かる」


そんな訳で、楓はしっかりと覗くと目が痛くなる若干の嫌がらせ気味の魔法を仕掛けるとバルバトスに話の続きを促す。


「これも、カエデからの情報だ。正直これは今お前達に無理に信じろとは言わん。私だってカエデの事をよく知らなかったら何をバカな事をとバカにしていたからな」


バルバトスはそう言って一旦言葉を区切った。


この、バルバトスの判断は正しいだろう。正直俺だって他人から帝国軍が魔物を大量に連れて襲ってくるなんて言われたらは?ってなるし…


「今日、楓に帝国の偵察を行って貰ったのだがその情報によると帝国のとある人物達がこの国に向けて進軍して来ているらしい」


「とある者達?帝国が攻めてくる訳ではないのですか?」


大臣はてっきり帝国が大軍を連れてこの国に戦争をけしかけて来たのだと思っていたので肩透かしを食らってしまった。


他の面々も多かれ少なかれ帝国との戦争が始まるのかと覚悟を決めていた為、意外そうな顔をしていた。


「帝国が一気に攻めて来たのならまだ話は単純だったのだがな…カエデの話によるとあくまでも一部の人間らしく、この戦争に関して帝王はなにも干渉してこないものと考えられる。もしかしたら漁夫の利を狙っているのかもしれないが…」


「まぁ、少人数ならなんとかなるでしょう」


大臣はバルバトスの話を聞いて安心したのかフット息を吐きながらそんな事を言った。


完全に安心しきっている様だ。


「ドラゴンが3000」


「何ですか?」


「その少人数と一緒にこの国に侵略して来ているドラゴンの数だ。その他魔物も5000以上らしい。兵士も少ないが1000はいる」


「「「「な!?」」」」


「なるほど、さっきカエデが殲滅させたドラゴン達は様子見程度でしかなかった訳か…」


「かなり厳しい戦いになりそう」


大臣達はバルバトスからの報告を聞いてさっきと同じ位驚いていたが、ルーナとヒストリアはさっき楓に励まされたからか冷静に分析をし始めていた。


「今回の首謀者は人族一人、魔族五人、竜族一人、そしてカエデが言うには『あの方』と呼ばれているこの七人のリーダー、一人の計八人となっている」


「ちょっと情報量が多すぎて付いて行けませんな…」


「戦闘面では私達は力になれませんからな。恥ずかしい限りだがここはルーナ殿やカエデ殿達に任せて私達は国内の対策に付いて考えていきましょう」


大臣達も自分の管轄には自信があるのかそう言ってこちらの話から抜け出し国内の対策について議論し始めた。


流石国のトップだけあって上に指示される前に自分のやるべき事を考えて行動している。


「カエデ達なら一掃出来るか?」


「出来るか出来ないかで言われたら余裕で可能だろうな。ただ、それをすると魔物達が街を荒らす以上の被害がでるぞ?下手したらこの世界が潰れるかもしれない」


「なるほど、カエデだけに相手のヘイトが向く訳ではないからな。カエデ達だけで王都を死守するのは難しい訳だ」


「あぁ、出来ない事はないがあまりこの世界にとっていい事ではないらしい」


「そうか、やはり多少の犠牲は覚悟しないといけないか…」


そう言うルーナの顔は少し悔しそうで、でも仕方がないと割り切って、ヒストリアを含めて楓達とこれからの作戦会議を始めるのであった。

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