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緊急会議 2


「忙しい中集まっていただき感謝する。早速で悪いがこれより緊急会議を始めさせて貰う」


バルバトスや楓達が会議室に行くとすでに騎士団長のルーナに宮廷魔術師長のヒストリア。楓が知っているのはこの二人だけだったが他にも50代位のいかにも仕事が出来そうな人達が8人の計10人がいた。


ルーナ達はバルバトスが部屋に入る際にしっかり椅子から立ち上がり頭を下げている。


その後ろに付いて来ていた楓達は何ともやり難い感じになるが、一々ビクビクしていては話が進まない為、覚悟を決めてバルバトスの後ろを歩いて行く。


さっき迄横に付いて歩いていたが、流石に不味いと思い楓は少し後ろに下がっていた。


バルバトスが会議を始めると言いながら自分の椅子に座りに行くとルーナ達は頭を上げて各々自分の椅子に座る。


楓達用の椅子は流石に人数が多いとの事でさっきの会議の様に二人分だけ用意して貰った。


もちろん座るのは楓とミルだ。


ミルが座らないとルーナ達がやり難そうにするので、その為の措置でもある。


「あぁ、騎士団長と宮廷魔術師長以外は初対面だな。こいつらは『無限の伝説』というクランを立ち上げていて、そこのクランマスターであるカエデが我が愛娘の夫でもある。こいつらは一人一人がそこにいるルーナやヒストリアに匹敵する力を持っている。いや、それ以上の奴らもゴロゴロいるな」


バルバトスはそう言って初対面の人達に楓達を紹介する。


ルーナ達は驚いており、他の大人達は面白そうに楓達を観察していた。この一瞬でどんな人物なのかを見定めているのだろう。


楓は粗相の無い様に背筋を伸ばし大人達の威圧を跳ね除けて立ち上がる。


「国王様よりご紹介いただきましたカエデです。

ルーナ様やヒストリア様に敵うかどうかは分かりませんが僕達のクランの実力は一級品だと思います」


バルバトスがハードルを上げたせいでルーナ達より強い事になってしまったので楓は一応謙遜しておいた。


目の前の大臣達も初対面の若造に自分達の国の最高峰の実力の持ち主を否定されたくはないだろう。


そのせいでルーナ達はクスクスと笑っていたが楓はそれをスルーしておいた。


バルバトスは何か不満そうにしていたが多分楓の挨拶が意外としょぼかったのが原因だろう。


「少し過小評価が過ぎるがまぁ、良いだろう。今回は彼らにも手伝って貰う。それで、肝心の会議の本題なのだが…」


バルバトスはそう言って一度楓の方を見た。多分、さっきバルバトスに報告した内容が確かなのかを最後に確認したかったのだろう。


楓はしっかりとバルバトスの目を見て頷き間違いがないと目で訴える。


「昨日、彼らはあるクエストを受けたのだがその道中でドラゴン約300体、他にもAランク級以上の魔物が1000体確認された」


バルバトスがそういうとルーナ達は皆驚いた様子で楓とバルバトスの顔を交互に見ている。


バルバトスから言われた事なので間違いはないと分かるのだが、それでも理解が追いつかないのかまだ楓達を除く全員が戸惑っていた。


「そ、それは本当なのでしょうか?」


「あぁ、なんなら今楓にドラゴンを見せてもらうか?」


「と、討伐したのですか!?」


「え、えぇまぁ…」


バルバトスの余計な一言のせいで更にさっき以上の混乱でその場をかき乱した。


「旦那様、英雄になっちゃいましたね」


「勘弁してくれ…」


ミルは凄い嬉しそうに楓に小声でそう言うが楓は心底だるそうにため息をこぼす。


ルーナやヒストリアでさえ驚いて固まっていた。


多分、実力が自分達より上なのは分かっていたのだが、それでもまさかドラゴンを100匹単位で屠れるとは思わなかったのだろう。


「カエデ、まだ信じていない様だがらそこに小さめのドラゴンを一匹出してやれ」


「汚れますよ?」


「別に構わん。それよりも今は一刻を争う。場所を移動している時間も惜しい。多少ここが汚れようが問題ない」


「分かりました。一応綺麗にして出させてもらいます」


楓はそう言って一番小さいドラゴンの血を分解してそれから浄化魔法をかけて汚れない様にして空いているスペースにそのドラゴンをだす。


「これは…本当に凄いですね」


「まさかこの国にここまで強い人物がいるとは…」


ドラゴンを出した事によって一気に現実味が湧いて正気に戻った大臣達は楓達を心強いと賞賛しだす。


ルーナ達はひたすら尊敬の視線を楓に送っていた。


『流石マスター、一気に英雄になりましたね』


もう、お腹いっぱい…


楓は盛大なため息を吐いて大臣達の興奮が冷めるのを待っているのであった。


後ろの方でアルとルシフェルが楽しそうにしていたのは言うまでもないだろう。

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