旅の準備をするのです! 2
日向と一通りの買い物は済ませたのだが準備は何も資材だけではない。
そう、野宿の経験をしなければいけないのだ。ちょうど宿延長をしていなかったので今日はいつものとこらへんで野宿の練習でもしてみようと思う。確か野宿に適したところがあったはずだ。
「よし、買うものはほとんど買えたし野宿の練習でもしにいくか」
「おっけー。でも初めてだから緊張するなー。ちゃんと寝られるかな?」
「それは分からん。日本人の俺らがどれだけ荒いところで寝られるかな?」
これは俺も心配していた事だった。まだ宿は綺麗なベッドが用意されていたから快適に寝られたが、地面で寝るなどした事ない。キャンプなど俺は未体験だから不安だ。
まぁいくら文句を言おうがやってみないと分からないのでとりあえず現地に行ってから考えよう。
「とりあえず行こう。最悪俺がなんとかするから成り行きにまかせよう」
「そうだね。やってみないと分からないしね」
というわけでやってきました。ちょうど日が暮れそうなのでとりあえず日向の魔法で火をつけてもらった。
俺も魔法は撃てるのだが強すぎてまだ加減がよくわからない。こういうところもしっかりと使いこなしていかないとな。
本当に力がないのも困るがあり過ぎるのもそれで加減が難しくて大変だ。
「よし、火の準備が出来たらテントを立てるか」
とりあえず2人が詰めれば寝られるであろう広さのテントを立てる。これ以上のテントがなかったのだ。
「これ、寝る時やばいよな…」
まず大前提としてこの2人は交代で見張りをするという発想がなかった。その必要がないのだ。
妖精のマリーが寝る必要がないので寝ている間はマリーが対処してくれる。こいつ俺より手加減が上手くてふつうの魔法が撃てるから任せても問題ないのだ。
『マリーが上手いのではなくてマスターの力が強過ぎるのです。マスターもまだ実用出来ませんがそれでも制御は素晴らしい腕前ですよ。ただ力が強過ぎるのです。もう少し頑張れば上手く制御出来るでしょう』
頑張らないとな。っとそれよりマリーが見張りをしてくれるしマリーが負ける事などまずないので安心して寝られるのだが2人の密着度が半端ない事になる。
「わ、私は全然大丈夫だよ!楓君さえ良ければ一緒に寝てもいいよ」
日向が顔を真っ赤にして言う。可愛すぎかよ。
「ひ、日向がいいならそうするか」
『マスターが動揺するなんて珍しいですね』
そりゃこんな可愛い子とあんな狭いところで寝るなんて思わないだろう。俺だって男なんだよ。
よし、とりあえず一旦忘れて料理をしよう。
俺は料理スキルも∞だからそこらの食材を使ってもなんとかなるだろ。
「俺が晩御飯作るけどいいか?」
「楓くんが作ってくれるの?私も手伝おうか?」
「いや、大丈夫だ。パパッと作るがあまり味は期待しないでくれよ」
「私は全然料理出来ないから任せるよ!楽しみだなぁ」
ではなぜ手伝うと言った!?まさか日向に任せたらとんでもないものが出来上がる可能性があるのか?今度試しにやらせてみよう。
とりあえず今は俺が作る。肉を買っていたので適当に肉を焼いて味付けすればいいか。
これを料理と呼んでいいかは知らんが場所も道具もそんなにないからこれでいいか。
「なんか、とってもいい匂いがしてるけど何作ってるの!?」
日向が聞いてくるが普通に肉を焼いているだけなんだが…まぁ味付けはしているが。
『料理スキルのおかげです。普通の食材でも美味しく見せる様になるのです』
便利だな!
「ほら、出来たぞ」
「とっても美味しそうなんだけど!?本当に楓くんはなんでも出来るんだね!」
その言葉結構聞くな。そろそろ日向にも俺の話をしてもいいかもしれない。そのうち機会があれば話してやるか。
とりあえず今は晩御飯を食べようか。
「「いただきます!」」
結論から言うとめっちゃ美味かった。宿で作られたものと比べ物にならん位だった。
日向からも「美味し過ぎるよ!」と褒めてもらえたし今度から自炊してみるか。
そんなこんなで2人とも食べ終わって片付けをして…これからが俺の正念場だ。
どうか俺の息子よ起き上がってくるなよ!俺の理性も夜の間だけでいいから耐えてくれ!




