魔物大量討伐(Part1)1
楓達が警戒を始めて約3分が経った。
未だに、姿を表さない魔物達のせいでAランク冒険者達と騎士団以外の冒険者達はすでに警戒心がなくなり注意力散漫になっている。
「おい!何時迄このままなんだよ!」
「そうだよ!たかがBランク程度で出しゃばってるんじゃねぇ!Aランク冒険者がリーダーだろ!」
「そうだそうだ!」
楓達に最初憧れや畏怖を抱いていた若手の冒険者達は痺れを切らし、ここぞとばかりに楓に向けてヤジを飛ばしている。
「うるさいね…」
「まぁ、そうだが今は魔物だ。もうすぐ魔物の足音と姿が見えるだろうし強制的に黙るだろう」
「こいつらの為に我らが力を振るうのは大変遺憾だがな」
「諦めなよ。僕達じゃないと対処出来ないんだから。カエデが人を見捨てると思う?」
日向が心底嫌そうにそう呟くが楓は全く冒険者達を気にしている様子はない。
それよりも今迄にない魔物の大群に少し緊張している様だった。
『今回のクエストではマスターの珍しい姿がよく見られますね』
しょうがないだろ。多分魔物を駆逐したら俺達、人外認定されるんだろなぁ…
なるべく平穏に過ごしたかったのに…
『倒せる事は前提なのですね…』
ん?いや、それに関しては全く心配はしてないぞ?ただ、こんなに人がいる中での無双は初めてだからな。
魔物を倒した後が心配だ。
『自重してくださいね?』
出来ると思うか?それにそれは俺だけじゃなくてエリス達もそうだろ。あいつ、神話級武器を構えてるぞ…
『はぁ…自業自得ですね』
ナビちゃんが言う通り楓達が目立つのは自業自得だろう。
エリスもそうだがルミナまで神話級武器を構え始めた。
他の面々は自重してるのかまだ使い慣れていないのかいつもの伝説級武器を構えている。
多分、後者だろう。ルミナとエリスが神話級武器を構えているのを見て日向達は自分も負けないぞと言いたげな目をしていた。
神話級の武器は確かに強力だがその分使い手を選び使用難易度も半端なく高い。
使い手を選ぶのに関しては楓のオーダーメイドなのでそれぞれに合った武器という事で大丈夫なのだが、使いこなすのにはそれなりの修練が必要になる。
日向達は最近、結構忙しく神話級の武器を使いこなす迄修行が出来ていなかった。
まぁ、多分この魔物討伐が終わったら全員神話級武器を使いこなす事が出来るんだろうな。
アルやルシフェル達も結構やる気になっているらしく日向達と同じ様な目をしていた。
「来たな」
「そうだね、結構人数が多いみたいだよ」
「大丈夫ですよ。私達なら楽勝です」
楓の言う通りかなりの数の魔物の足音が聞こえてくる。
あまりの多さに地鳴りが激しく震度5くらいの揺れになっている。
さっき迄楓の事をぐちぐち言っていた冒険者達もやっと事の重大さに気付き震え上がっていた。
何故なら、まだ目視できていない魔物もさる事ながら空中から大量のドラゴンが楓達に向けて飛んで来ているのだ。
それも、ワイバーンだけでなくポイズンドラゴンやファイヤードラゴンといった上級龍の類のドラゴンも大量にこちらに向かって来ていた。
「これ、王都迄行ったらどうなるのかな?」
「ヒナタ様、確実に王都が大変な事になります」
日向が素朴な疑問を口にすると後ろから騎士団の青年が
青い顔をしながらそんな事を言ってくる。
ちなみにドラゴンは楓のマップで見てみると300体いた。
ワイバーン一匹に大体騎士団五人が必要とされている。下級龍のワイバーンですらそれなのだ、上級龍なんてもうたまったもんじゃないだろう。
「カエデ、魔物の情報は?」
「ドラゴンが約三百匹、後地上にいる魔物が約1000、殆どがAランク級で、ちょくちょくSランク級の魔物がいる」
「これ、僕達がいなかったらやばかったね」
「ですね、カエデ様の英断がこの冒険者達を救いましたね」
エリスはどこか誇らしげに胸を張ってそんな事を言うが冗談抜きで楓達がいなかったら大変な事になっていただろう。
「2分後に魔物の殲滅を始める。お前達はマジで気を付けろ。かすっただけで死ぬからな」
「「「「は、はい!!!!」」」」
楓が最後に冒険者に向けて脅しを含めた警告を言うと、冒険者達はもうすでにビビり上がっているのか素直に声を合わせて返事をする。
楓は冒険者達の返事に満足をするとそれきり後ろは見る事なく目の前の凶悪な魔物達に集中する。
これから、『無限の伝説』の最初の伝説が始まるのであった。




