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魔物討伐隊 3


「おい、そこの嬢ちゃん達今夜おrぐはっ」


「てめぇ!何やっt…がはっ」


「お前!n…ぐへっ」


「おm…ぐふっ」


『マスター容赦ないですね…』


楓が復活してから次の日、昨日と同じ様にゴブリンキング目指して冒険者百人で移動していた訳だが楓は敢えて日向達を隠す事はしなかった。


と言うのも、わざわざAランク冒険者程度でこそこそするのは面倒という結論にいたり隠す事はしなかった。

すると面白い程にAランク冒険者達は日向達に引っかかり一気に群がって来た。


まぁ、さっきの声をお聞きの通り瞬殺したが…


「カエデ…やったわね」


「まぁ、時間の問題だったんだ。まだ、周りが見てなかっただけマシだろう」


ルミナからのジト目を頂戴した楓は苦し紛れの弁論をする。


「騎士団の人達が来たからそっちに任せたら良いんじ

ゃない?」


「そうだな、おい起きろ」


「はっ!俺達は一体…」


「起きたか?ナンパは良いけど相手を選べ。今後日向達に手を出したら…分かるよな?」


「「「「ひぃぃぃぃぃ!!!」」」」


楓は明らかに不機嫌な雰囲気を作って手に今作った見た目が派手なだけの小刀をA級冒険者に向ける。


『いや、それ一応伝説級武器ですよ…』


俺からしたらただのガラクタなのでいいんです。


「カエデ様、こいつらどうしましょう?」


楓がしばらく脅していると昨日話した騎士団の青年がやって来て現状を把握する。


「しっかり脅しといたからそっちに任せるわ」


「分かりました、おい!貴様らはリーダーだろう!しっかり相手の力量位把握したらどうなんだ」


騎士団の青年は楓と話していた時とは豹変して言葉遣いがだいぶ荒くなる。


「では、カエデ様。我々は先頭で魔物を積極的に討伐して来ます。カエデ様は大丈夫だとは思いますがお気を付けて」


「おう、そっちも気を付けてな」


「は、はい!」


騎士団の青年は楓からの返事を貰うとめっちゃ嬉しそうにしながらAランク冒険者を連れて行った。


「カエデ様は慕われているのですね」


「そうだな正直今回はあの人にだいぶ助けられてるしな…」


楓はエリスにそう言われ少し照れるも嬉しそうにそういうのであった。






「楓くん!」


「あぁ、最前線が心配だ。全員、武器を構えて前衛迄全速力だ!」


「了解だ。なんだか不穏な雰囲気になって来たな」


Aランク冒険者とのいざこざがあってしばらくするといきなり日向がいつになく焦りを含んだ声で楓を呼ぶ。


それは日向以外も察知していたが一番最初に声を出したのが日向だったというだけだ。


この時、すでに楓はなぜもっと広範囲で索敵をしなかったのかと焦り始めるのであった。


「ぎりぎり間に合った!」


「か、カエデ様達ですか!良かった!今さっきいきなりゴブリンキングが三体襲いかかって来ました!」


楓達が最前線へと駆けつけるとそこではAランク冒険者四人がぎりぎり一体のゴブリンキングを、騎士団の五人でもう一体のゴブリンキングを抑えている所だった。


後の一体と大量のゴブリンは他の冒険者が対応しているがだいぶ押されている。


楓は最後尾にいてだいたい500メートル離れていた為、最前線の様子がよく分からなかったが一言で言い表すならこの場所は一気に地獄と化している。


ゴブリンだけで軽く冒険者の四倍はいるだろう。


「待ってろ!今すぐ俺達で対処していく!」


楓はそういうや否やAランク冒険者が抑えていたゴブリンキングの元へと向かい一撃でゴブリンキングの命を刈り取る。


楓が動いたと同時に残りの七人もゴブリンキングや危なそうな冒険者、ゴブリンの討伐に向かった。


「た、助かった」


「礼はいらない!それよりも今冒険者はパニックになってゴブリン一匹も相手に出来ていない!お前達が率先して他の冒険者を落ち着かせてくれ!俺達は残党を殲滅してくる!」


「お、おい!流石にこの数を一つのパーティーだけじゃ…」


Aランク冒険者が最後まで言い切るのを待たずに楓は残りのゴブリンの討伐に向かった。


普通の冒険者がこの数のゴブリンを相手にするのは無謀に近いが楓達は普通じゃない。


圧倒的な速さと力で次々とゴブリンを屠っていき1分も掛からずにゴブリンを全部屠り切った。


「アル!そっちは終わったか?」


「うん!多分全滅したよ。それにしても何か嫌な予感がするのは僕だけかな?」


「いや!我もさっきから面倒臭い予感しかしない!」


そう、楓達はまだ緊張を解いていない。というのもまだまだ目の前から大量の魔物の気配がするのだ。


「おい、あいつら…ゴブリンを瞬殺しやがったぞ?」


「彼の方は我々の騎士団長や宮廷魔術師長を相手にまだまだ余裕があるのだ。我々など足元にも及ばない。それはカエデ様だけではない。他の面々もカエデ様程ではないにしろ化け物揃いだ。Sランク冒険者だろうと軽く屠るだろう」


「そ、そんなにか?」


「あぁ、貴様らが喧嘩を売った相手はそんな方々だ。死なずに済んで良かったな」


「お、おう…」


騎士団の青年の説明を聞いて今更びびり上がるAランク冒険者だが、楓達はそんなのに構っている程暇ではなかった。


「おい!これからここに大量の魔物が俺達を襲ってくる。なるべく俺達八人で対処するが戦える準備だけしといてくれ。Aランク冒険者と騎士団達は他の冒険者を任せたぞ!」


「はい!おい、お前も!」


「お、おう…任せとけ」


未だにAランク冒険者は状況を理解出来ていない様だった。


それは他の冒険者も同じでまだ魔物の姿が見えてない為、さっきの大量のゴブリンという危機が去った事による安心感に浸っていた。


「くるね。まぁ、僕達なら大丈夫だろうと思うけどカエデ達も一応気を引き締めてね」


「分かってる。まぁ、周りに被害がいかない程度で暴れようか。ここ二日のストレスを発散するいい機会だ」


楓は本気でそう言っているらしく口元がかなり怖い感じで笑っていた。


Aランク冒険者やその他の冒険者達もそんな楓達を見て憧れと共にまだ戦ってもいないのに畏怖を覚えるのであった。


それほど、八人の後ろ姿は他の冒険者の心を動かすには十分な程カッコウ良かったのであった。

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