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愛の告白


「姫様、私は魔王を倒しに行かなければなりません」


「ダメ!だって…だって!」


「姫様、私はあなたの事を愛しています。これからも、もし私がいなくなっても幸せになって下さい」


「いや!私はあなたがいないとダメなの!あなたが好きなの!」


「姫様…」


現在、多分この演劇で一番盛り上がる所に入っていた。


楓はそっと横を見てみると全員泣いていた。エリス迄泣いているから相当な物なのだろう。


楓はイマイチ泣く事が出来なかったが日向達が喜んでくれているのでよしとする。


楓はこの手の物語が苦手だ。前、ルミナとデートした時も悲恋系の物語だったが今回は輪にかけて悲恋系だった。


これは、初代勇者が初めて魔王に勝った時の事を脚色している物語らしくバトルシーンはかなりリアルだった。


が、何を思ったのかそこにこの脚本を作った奴は悲恋要素を入れてきたのだ。


ナビちゃんが言うに初代勇者に恋人はおらずそんな事にかまけている余裕等なかったらしい。


まぁ、言われてみればそうだ。


この時の勇者は人類の命運を一人で背負っていたのだ。


そんな恋愛なんてしている余裕は確かにないだろう。


それをこの物語はお姫様を登場させて無理矢理くっつけようとしている。


なので、お姫様が出て来た辺りから急にリアリティーがなくなり一気に物語になってしまった。


まぁ、その事を知らなければ気付かないのだろうが楓は見ている途中で違和感を覚えナビちゃんに聞いたらそう言う事だったと言う事だ。


楓は悲恋系もあまり好きではないのでずっと胸の中がもやもやしていた。


『悲恋系の何が嫌いなのですか?』


俺は結ばれない恋愛は嫌いなんだ。リアルでも物語でも主人公とヒロインは出来るだけ結ばれて欲しいと思うタイプでな。


『可愛いですね』


うるさい。でも、やっぱり女の子には笑っていて欲しいじゃん?たまに泣き顔を見るのも悪くないかもしれないけどそれも悲しい涙は見たくない。


どうしてもあのお姫様を日向達に面影を写してしまうから見ていて辛いんだよ。


『では、リアルではマスターの周りの女の子は泣かせない様に頑張らないといけませんね』


そうだな、日向達はもちろんの事だがエリス達メイド陣もなるべく悲しませない様にしよう。


楓は演劇が終わるまで、演劇を見ながらナビちゃんとそんなくだらない話をしていたのであった。


「うぅ〜泣いたね」


「ですね、もう最後の方はずっと泣きっぱなしでし

た」


「悲しかったけど面白かったわね」


「ですね、私もずっと日向様の隣で泣いていました」


演劇が終わってみんなで大きな噴水のある中央広場で軽く軽食を食べながらさっきの感想を言い合っていた。


結局、あの後勇者は何とかお姫様を説得して魔王の討伐に向かうのだが討伐に向かう最後のシーンで役者の二人がガチでキスをしていたのにはかなり驚いた。


そこから魔王城に行く迄の道のりは一瞬で場面転換され魔王城でも勇者は一瞬で魔王と相打ちになっていた。


……そう、お姫様とのやりとりに尺を使い過ぎて肝心のラストの魔王と戦うシーンがあまりなかった。


勇者と魔王が相打ちなのは本当らしいのでいいのだがそれでも相打ちに持って行く迄がいくら何でも短過ぎだと思う。


だって5分だよ?


『まぁ、あの演劇は戦う所がメインではありませんからね』


結局は悲恋系物語で終わらせたかったと言う訳か…


「あ、あのご主人様!」


楓が日向達がさっきの物語の感想を言い合っている間一人でなんかスッキリしないモヤモヤ感を抱いているとエリスが手で自分のスカートをぎゅっと握りしめながら楓を呼んだ。


「どうした?」


楓は日向達がエリスを応援する様に後ろに立っているのに疑問に思いながらエリスの次の言葉を待つ。


「そ、その…」


「エリス、一旦落ち着こう。ゆっくりでいいから」


楓はエリスがここまで取り乱すのは珍しいと思い優しい声で一旦エリスに落ち着く様に言う。


エリスはまだ、かなり緊張している様だがゆっくりと次の大事な言葉を紡ぎ出す。


「ご、ご主人様。この様な感情はメイドの私には分不相応かもしれませんが…そ、その……ご主人様が好きです!」


エリスは今にも泣きそうな顔で楓に好きだと告白した。

その感情が自分には分不相応だと言いながら…


「ふざけるんじゃない」


楓は少し怒った顔でエリスに向かってそう言った。


「も、申し訳ありません。やっぱりご迷惑でしたよね。今のは忘れて下さい」


エリスもこの反応は予想がついていたのか目にあふれていた涙を流しながら楓に謝罪する。


その顔はさっき楓が見たくないとナビちゃんに言っていた悲しい涙だった。


「だからふざけるなと言った。分不相応?そんなの誰が決めたんだ」


楓は一旦そこで区切って一瞬だけ深呼吸して最後にしっかり考える。


エリスはまさか、楓の言葉に続きがあるとは思ってもいなかったのか下を向いていた顔を楓に向ける。


楓の妻陣は楓の決断が分かるのか温かい目で楓とエリスを見ている。


楓は考える。


ここで、流れだけで返事をしてはいけない。俺が中途半端に答えるとエリスに失礼だ。


俺はエリスが嫌いか?そんなことは絶対にない。いつも献身的に俺たちを支えてくれる。


エリスは性格も良い。しかも日向達に負けないくらい可愛い。そして、いつも俺たちのことを気遣ってくれる。


なんだ、答えはもう出てるじゃんか。覚悟を決めろよ

俺。



「エリス、俺もエリスの事が好きだよ。これからもたくさん迷惑をかけちゃうし心配させる事も多いと思う。そ、そのそんな俺でもいいか?」


「は…はい。私はご主人様が大好きです。私をご主人様のお嫁さんにして下さい」


「こちらこそエリス。僕のお嫁さんになって下さい」


楓はそう言って日向達と同じ指輪をストレージから取り出してエリスの左薬指に指輪をめる。


「これからもよろしくエリス。いっぱい俺を好きになってくれ。俺もいっぱいエリスの事を好きになるから」


楓はそう言ってエリスにそっと抱きついた。


「は、はい!わ、わたし、ご主人様に振られたかと思って…心配で、、、ごめんなさい、嬉しいのと安心して、涙が止まりません…ううぅ、わぁぁぁぁぁぁごしゅじんざまぁぁぁぁぁ」


「ごめん、でもエリス。分不相応なんて言うな。俺はエリス達を低く見た事なんてない。だから、言いたい事とかやりたい事があったらなんでも遠慮なく言ってくれよ?」


「ご、ごめん、ううぅ、なさいぃ」


「分かってくれたら良いよ。ごめんな。怖かったよな。でも、俺はエリスが大好きだ」


エリスは楓の胸で号泣していたが楓はそれが心地よかった。


さっきの物語では悲恋だったかもしれないがここではしっかりエリスと結ばれる事が出来た。


それが俺にとって一番の幸せだ。


中央広場という事もあってさっきの一部始終は多くの人に見られていて、見事結ばれた事に大きな歓声が楓達に送られ温かい目でみんな楓達を見ていたのであった。


途中から、感極まったのか日向達も楓に抱きついて泣き出したので楓は少し戸惑いながらも全員を抱きしめるのであった。

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[一言] 楓が指輪を常備してる笑笑
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