嫌な予感 2
「ふぁ〜おはよー楓くん」
「お、おはよう…」
ようやく日向が眠そうな目をこすりながら楓に朝の挨拶をした。
約1時間もの間楓は耐えたのだからもう賢者と名乗ってもいいかもしれない。
『あのままもう一回戦しとけばよかったのに…』
寝ている日向もかなり魅力的だったしな。まぁ、やらないけど。
「昨日は楽しかったなぁ。楓くん全然誘ってくれないんだもん。こっちから来ちゃった」
「こういうのって俺から誘っていいものなのか?」
「そうじゃない?ミルもルミナもしたいけど自分から
は…って」
「それは悪いことをしたな…今日からは積極的に誘っていく方がいいか」
楓は日向から女性陣の意見を聞いてもう少しだけ欲望に忠実になろうかなと考える。
「あ、エリスにも優しくしてあげてね」
「ん?わかった。何かあるのか?」
「はぁ、まぁ楓くんが鈍感なのはわかったけど…少しは周りをしっかり見てあげて」
「お、おう」
楓は日向に呆れられながら忠告されたのに戸惑いながらもしっかり肯定の返事を返す。
「じゃあね。また後で」
日向が楓の部屋を出て行く寸前に日向はめっちゃ可愛い笑顔を楓に向けて部屋を出て行くのであった。
「かあいい」
『大丈夫ですかマスター?」
楓は日向の最後の笑顔を見て、先ほどまで極限状態にあった事もあり、一瞬で放心状態に持っていかれたのであった。
「カエデ、今日の予定は?」
「冒険者ギルドに行こうと思う。なにやら厄介事が舞い降りてきてるらしいしな」
「ご主人様」
楓が全員に今日の方針を話しているとエリスが一通の手紙を持ってくる。
「やっぱり…」
「どうしたのだ?」
「クラン『無限の伝説』全員呼び出しだってよ。ギルドマスターのサインがあるからほぼ強制だろうな」
「本当に厄介事だな。だが全員行ったらこの家に誰も居なくなってしまうだろ。その辺はどうする?」
「そうだな、メイドはエリスだけ来てもらうか。セバスもいいか?」
「もちろんでございます」
「わ、私もいいのですか?」
「あぁ、エリスなら基本何が来ても大丈夫だろうしな」
と、いう事で楓達はさっさと朝食を食べ終え準備をして冒険者ギルドへと向かう。
『無限の伝説』のメンツは全員顔面偏差値も世界最高峰の為、集団で歩いているとめっちゃ目立つ。
楓が先頭でまず目立ち、その左右には日向とミルとルミナがくっつきハーレム状態で更に目立つ。
そしてその後ろから爽やかな赤髪を揺らしているアルと見るからに強そうなルシフェルで更に更に目立つ。
そしてその最後尾には楓にくっつく三人を羨ましそうに眺めるエリスとこちらも威圧感のあるセバス。更に更に更に目立つ。
そんな訳で『無限の伝説』が冒険者ギルドに向かう迄たくさんの視線に晒される。
中には日向達の可愛さに無謀にもナンパをしようとしに来る猛者がいたが、楓達に接触する前にルシフェルの魔眼で気を失わせていた。
「サンキュールシフェル」
「礼など不要だ。ちょこまかとハエが五月蝿かったのでな」
楓達にとってそこら辺のチンピラはハエと同等だとこの時証明された。
「すみません。ギルドマスターに呼ばれて来ました『無限の伝説』です」
「はい、確認致しますので少々お待ち下さい」
楓が代表で受付嬢に手紙と自分の冒険者カードを渡すと受付嬢は中へ確認に行った。
「確認が取れました。こちらへどうぞ」
ギルドマスターという事だから時間が掛かるかと思いきや3分位で確認をとり中へと案内される。
「少し気を引き締めた方が良いかもしれませんね」
「そうね、心なしか上位ランクの冒険者達が浮ついているわ」
ミルとルミナの言う通り中に案内される際に少し周りを観察すると、上位ランカーと思われる冒険者達の顔が険しかった。
「失礼します。ギルドマスター、お連れしました」
「中に入れてくれ」
受付嬢がドアをノックしてそう言うと中から声が聞こえてくる。
「失礼します。『無限の伝説』です」
「君がカエデくんだね。ミルテイラ様も初めまして。それ以外のクランメンバーの方もバルバトス様から聞いているよ。とりあえず座ってから話そうか」
ギルドマスターはそう言って楓達に席に座るように促す。
この時、楓とその嫁以外が後ろで立つのは楓も想像していなかった。
エリスとセバスは分かるが伝説龍であるアルと魔王であるルシフェル迄楓の後ろに立つとは思わなかった。
「どうしたんだ?」
「いや、我は今は楓の家族でもあるが仲間でもあり、これは我が勝手に思ってることだが楓の従者でもあると考えている。だから我は後ろでアルとともにいつでも戦える準備をしておこうと思ってな」
「まさかご主人様からそんな言葉が聞けるとは…」
「バカにするなよ。我はもう魔王ではない。楓の家族だ。これ位当然だ」
「あのー、さっきから物騒な話が聞こえるけどこっちもそろそろ話していいかな?」
ルシフェルが格好良く楓に語っていると、ギルドマスターが汗を垂らしながら楓に話を進めていいか確認を取る。
「あ、はい」
「ありがとう。先に僕はパドン・ニペバトスだ。王都の冒険者ギルドのギルドマスターをしている」
パドンはそう言って楓に握手を求める。
「『無限の伝説』のクランマスターをしています。楓です。よろしく」
楓はそう言ってパドンの握手に応じる。
「それで、本題なのだが…」
楓はいきなり顔をしかめ始めたパドンを見て、さらに気を引き締めるのであった。




