送別会
明日は21時の一本投稿で明後日は二本投稿の予定です。
楽しみにしてくださってる方、ごめんなさい!
中等部との合同訓練が終わって丁度一週間が経った。
そう、今日で楓達の臨時講師が終わり同時にルミナが学校を辞める日となる。
この一週間は楓達が更にやる気になり魔導書の解析は一瞬で終わらし全員で戦い方を研究したり魔力を高める修行をしたりと結構充実した一週間が過ごせた。
生徒たちも楓たちから出来るだけ吸収しようと必死になって楓の話を聞いていたためだいぶ吸収が早かった。
「今日で最後か」
「なんか寂しいねー」
「皆さんとても楽しそうでしたしね」
「私も、今日で学院生活終わりかー。ちょっと寂しいわね。まぁ、それ以上にこれからが楽しみだけど」
順番に楓、日向、ミル、ルミナだ。アルは朝からニコニコしている。若干日向とミルもそわそわしているのが気になる。
何を企んでいる…
『マスターに害はないので大丈夫です』
ナビちゃんは知ってるの?
『えぇ、マスターは学院に行ってからのお楽しみです』
ナビちゃんはそう言って楓のステータスを下げる。
これで、楓が事前に把握する手段がなくなった訳だ。
でも、楓はそこまで心配していなかった。前もナビちゃんは楓の為以外にステータスを変える事は出来ないと言っていた。
なら、このステータスを下げたのも何か意味があるのだろう。
そう言う訳で、楓は久々のステータスを下げられた感覚にダルくなりながらも最後位存分に楽しもうと気持ちを切り替える。
「ルミナー準備出来たかー?」
「もうちょっと!」
今日は日向とミルとアルが先に行くとか言ってルミナと二人で登校する様に言われている為ルミナと二人で家を出る。
ついこの前、ルミナと大人の階段を登り最初は二人でいると気まずくなったが一週間も経つとだいぶ慣れてきた。
まぁ、楓はルミナだけでなく日向やミルともそんな感じだったが…
ミルはそこまで恥ずかしがっていなかったが日向が少しだけ楓と話しをする時に恥ずかしそうにしながら視線を外したりしていた。
ミルは第二王女ということもあって自分はいつか、何処かに嫁いで自分の体を捧げる覚悟が出来ていたのであまり気にしていないらしい。
その相手が楓でミル本人はとても喜んでいたし今もそう言うアプローチを何回か楓に送っている。
楓が恥ずかしいのでしばらくお預けとなっているが二回目となるとだいぶハードルも下がり気軽に夜の営みを行うことができるだろう。
日向やルミナも恥ずかしがってはいるもののまだ足りないらしく三人で何やら企んでいるみたいだが楓はそれを知らない。
そんな訳でルミナは恥ずかしがりながらも楓の腕に自分の腕を絡め楓に空を飛んでもらい二人で仲良く空を飛んで学院に登校する。
いきなり空から楓とルミナが現れて校門にいた生徒は驚いていたが既に楓の事は学院中で噂になっている為「あーあの人かー」程度で済んでいる。
この一週間で楓がルミナと結婚した事が爆発的に拡散されて何度が決闘を申し込まれたが全て丁重にお断りしている。
『一度だけ決闘を受けたじゃないですか』
ゼインのあれは特別だ。アルが何やら企んでいる様だからそれに乗ってやったまでだ。
アルがフォローに入らなかったらあの決闘も断っている。
楓が決闘を受けないのを知って無理矢理攻撃を仕掛けてくる奴らもいたがそいつらには拘束魔法を使って固定して三時間その場で動けない様にした。
教師達も解除しようとあれこれしていたが誰一人として楓の拘束魔法を解除出来た者はおらず三時間その場で固まって貰った。
「はぁ、憂鬱ね」
「まぁ、そう言うな。俺達のせいでもあるしな」
今日も二人は学院でめっちゃ他の生徒に見られルミナはご機嫌斜めの様だ。
楓はこのままだと最後の日だと言うのに最悪の日になりそうだったので早足でAクラスの元へと向かう。
「「「カエデ先生、三週間ありがとうございました!ルミナさん、今迄ありがとう!」」」
楓がルミナと一緒にAクラスの中に入るとそこには高等部と中等部のAクラスの生徒達が待っていきなり感謝の言葉を楓達に送る。
見るとシエラや、学院長。アル達も楓達に拍手を送っていた。
「な、何よこれ?」
「俺も嵌められた側だ。アルがコソコソしてたのはこれか…」
「カエデ先生、ルミナさん」
ルミナが戸惑い、楓が全てが繋がったとばかりに、そして少し嬉しそうに独り言を呟く。
すると、マークが代表で前に出て来て楓とルミナの名前を呼び二人の顔を見る。
「まず、カエデ先生から。この三週間、僕達の先生として毎回面白い授業をして下さってありがとうございました。普通の先生ではしない様な授業が沢山あって僕達も戸惑いましたが今思えばこの三週間が今迄で一番ためになる時間を過ごせたと思います」
「そっか…」
楓はマークからそう言われて、自分達がやって来た事に喜んで貰えて嬉しそうに、でも寂しそうにフッと息を吐く。
「次にルミナさん。今迄このクラスのリーダー的存在で僕達を引っ張っていてくれてありがとう。ルミナさんはこの学院のアイドルみたいな存在だからいなくなるのは寂しいけど、ルミナさんは頑張ってヒナタ先生やミル先生のようにカエデ先生を支えられる立派な奥さんになって下さい。僕達も応援してます」
「も、もちろんよ。ありがとう」
ルミナの目には涙が大量に浮かんでいた。その涙には確かに嬉しさと寂しさが入り混じった涙だった。
その涙を見て、生徒の中でも数人の目に涙を浮かべる者がいた。
「みんな、こんなサプライズをありがとう。この三週間。長いようで本当に一瞬だった。最初はルミナを筆頭に憎たらしい顔をしていたが今はこんなことをしてくれるくらいになってとても嬉しい。だが、別にこの街から出て行くわけでも死ぬわけでもないから何かあったら俺たちのクランハウスに来てくれ。いつでも相談に乗ってやる」
まずは楓が生徒を含めアル達や学院長、シエラに向けて今日のこのサプライズを開いてくれたお礼の言葉を言う。
すると、とてもいい笑顔で泣きながらルミナも楓の横に立つ。
「み、みんな。今迄ありがとう。私もヒナタやミルに負けないいい女になってカエデを全力でサポートしてみせるわ。みんなも私達に負けない位強くなって最高の騎士や魔術師になってね!多分、悪い事したらカエデと一緒に殴りに行くから覚悟してなさい!」
ルミナは話しているうちに更に涙で一杯になったが、最後は自分らしく他の仲間達に宣戦布告をする。
ルミナの挨拶を受けて他の生徒達も対抗心をルミナに向けて涙が出るのを必死に抑えて楓とルミナを見る。
「ルミナ先輩」
最後に出て来たのはゼインだった。
「僕はルミナ先輩の事が好きです」
ゼインが放った言葉は素直な告白だった。その告白には嘘一つない全力の告白だとルミナも楓も他の生徒達も分かった。
「ごめんなさい。私はあなたの気持ちには応えられない。でも、こんな私を好きになってくれてありがとう。あなたももっと強くなって、格好良くなって私より良い女を見付けなさい」
ルミナはゼインの告白を断りもっと強くなれと少し先輩面をして助言を残した。
「そうですね、僕はカエデ先生より強くて格好良くなってルミナ先輩達よりも良い女性をたくさんお嫁さんにしてみせます!」
ゼインもこの返事は分かっていたのだろう。フッと肩の力を抜いて楓に宣戦布告をすると同時に自分に新たな誓いを立てる。
最初会った時はムートみたいな面倒臭い奴かと思ったがゼインはそんな事はなくただただ素直な生徒だった。
今のゼインにはこの前の合同訓練の時の面倒臭い面影等全くなかった。
それ故に楓はそんなゼインに向かって一言だけ言う。
「いい覚悟だ。今度、また強くなったら模擬戦で見てやる。その時に弱くなってたら全力で笑ってやる」
「それはこちらのセリフです。ルミナ先輩達に甘えすぎて弱くなってるとすぐに僕が先生をボコボコにしてやります」
「頑張れよ」
「はい」
楓はそう言って手をグーの形にしてゼインの前に出す。
それにゼインも応じて楓の拳に自分の拳を重ねる。
その瞬間、他の生徒達からは大きな拍手や歓声が送られて場が一気に盛り上がる。
「よし!これは俺からだ!今日の授業はなし!皆で最後の日を楽しむぞー!」
「「「おーーー!!!!」」」
楓は一瞬で机の上に沢山の料理や面白そうな道具を出していきそう叫んだ。
その日、日が傾くまで楓達は最後の日を楽しんだのだった。




