日向とのデート 1
あの後、楓達はそれぞれのやる事をした後会議室でエリスが作った紅茶を飲みながらしばらくゆっくりしていた。
今は楓とアルだけだ。他の三人はお風呂に入っている。
特に何も話す事はないが特に空気が悪い訳ではない。アルもだいたい楓の性格が分かってきたのでそれを尊重して、楓に合わせる事にしている。
そして、しばらくするとお風呂上がりの三人がパジャマ姿で会議室に入って来てすぐに賑やかになる。
最近は用事がなかったら基本的にみんなでここに集まって話をしたりミニゲームをしたりと寝る迄の時間をクランメンバーで楽しく過ごしている。
今日からはルミナも入ってきて一段と賑やかになった。
「楓くん、お休みのチューしよ?」
「そうですね」
そしてこれもいつもの日常。寝る前には必ず日向達がキスを迫ってくる。最初の方はそんな事をせがまれる事はなかったのだがいつのまにかこれが普通になっていた。
まぁ、今でも楓は顔を真っ赤にしながら日向達にキスをしていたが…
だが、一人だけこのやり取りを知らない者がいる。
「キ、キス!?」
ルミナはキスどころかこれまで異性とイチャイチャする事すらなかったのでなかなかハードルが高かったが他の二人がして自分だけしないのは何か悔しいと思い楓以上に顔を真っ赤にしながらお休みのキスをしたのだった。
ちなみにルミナはこれがファーストキスであり他の二人もファーストキスは楓であった。
二人も最初は滅茶苦茶顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたが今ではほんのり顔をピンク色に染めるだけだ。
それがいつもの3割り増しに可愛く見えるので楓はそれ以上踏み込まないようにするのにとてつもない我慢が必要なのであった。
多分、アルがこの場にいなければ押し倒している自信があるがアルがいるお陰でまだ踏みとどまる事が出来ている。
「楓くん、明日はよろしくね?」
最後の日向のとても嬉しそうに言うその顔は天使や女神にも負けてない位とても綺麗で可愛かった。
「楓くーん」
「……ん?」
「おはよー」
「おはよー。日向ー」
「えへへぇ」
楓は日向が隣で添い寝をしていたのが可愛かったので思わず抱きしめてしまう。
滅茶苦茶柔らかくていい匂いがして…最高の抱き枕だ…な?
「え、ええ!?日向!?どうした!?」
寝ぼけてそのまま日向を抱きしめてしまったが現在の日向の格好は昨日のパジャマのままだ。いつもの服よりも厚みがないのでその分肌の温もりが直接伝わってくる。
楓はそれを今抱きしめているのだ。その事実を知った楓はいつになく焦って日向に今の状況の説明を求める。
「朝だよーって。一度でいいから楓くんと添い寝がしたかったから少し早めに来ちゃった」
日向はてへへぇと言いながらそんな事を言ってきた。
残念ながら楓には今のまた変わった可愛さのある日向を怒る事は出来ずお返しだと言わんばかりにそのまま抱きしめるのをやめない。
「楓くん、ちょっと恥ずかしいかも…」
「自分から来ておいて?」
「うぅ〜楓くんの意地悪〜」
「ごめんごめん、そろそろみんな朝ごはん食べる時間だから着替えて行こうか」
「そうだね、っとおはようのチュ!」
日向は出て行く前に楓に軽くキスをして出て行く。
最後の最後まで楓は日向に勝つ事は出来なかった。日向の純粋な行為がとても嬉しいしその分大切にしてあげようと思うが最近やけに距離が近くなってきた。
別に楓はそれが嫌だとは露とも思っておらずむしろ嬉しいのだが精神的に耐えなければいけない時が多すぎるのが悩みの種だ。
『何故、日向さん達を抱いてあげないのですか?』
俺に度胸がないのと本当に俺でいいのか?とか思ってしまう訳ですよ。
それに、まだどこかで前の失恋を引っ張ってるみたいだ。多分…
『でも、そろそろマスターが壁を超えないと日向さん達が可哀想ですよ』
分かってる。このデート中にはしっかり自分の答えを出す積もりだ。
『それなら良かったです』
ナビちゃんは心なしか少し嬉しそうにそう返事をする。
ほんの少しの違いだったが半年も話し合ってる楓はその違いに気付く事が出来て、本気でアドバイスをしてくれているナビちゃんに心の底から感謝をするのであった。
それから、いつものようにエリス達が作った朝食と食後の紅茶を飲んでから楓と日向はデートの準備をする。
ちなみに残りの二人は何をするのかと聞いた所ミルは何やら明日のデートの準備らしくルミナは昨日楓から貰った魔導書を読んで魔法をものにしたいらしい。
ルミナの魔導書は上級魔法が5つ書いてある代物でそんな魔導書は過去一度もこの王都に流れ着いた事はない。
魔導書は基本的に使用すれば平民でもその魔法の真髄まで理解することが出来使用する事が出来る。
平民なら初級魔法で三日、中級で二週間、上級で1ヶ月位で使用出来る様になるがルミナなら多分二日の内に3つは自分のものに出来るだろう。
しかも、今回ルミナのものにだけ楓のオリジナル魔法が書かれている為普通の上級魔法よりも魔力効率も威力も桁違いだ。
そんな訳でルミナはルミナで結構やる気を入れて魔導書を読んでいく事だろう。
楓は日向と家から一緒に行くものだと思っていたがそういう訳ではなく歩いて10分程にある公園で待ち合わせという事になった。
こういう所もこだわりたい日向であった。楓は理解しかねていたが…
そんな訳で楓は今その公園で日向を待っていた。
いつものことだが楓はストレージを持っているため準備の必要がほとんどなく服も最近は自作のお気に入りが何着かあるので今日は初めて着る私服を着てきた。
ちなみに楓の他にこの公園には10歳前後の少年少女しかいない為滅茶苦茶楓は浮いていた。
楓が早く来ないかなーと、考えていると…
「楓くーん!」
日向が手を振りながらこちらに駆け足で来た。
こうして、楓と日向の一日デートが始まっていくのであった。




