クエストを受けてみよう!
異世界に来てから一夜が明けた。昨日は特にいやらしい展開などはなかった。ただ日向の寝顔がめっちゃ可愛かった。高校2年生ともなれば、化粧などに手を出して自分を盛るものかと思っていたが日向はふつうに寝ていたのにもかかわらず可愛かった。どうしてこんな可愛い子を俺は日本で見てこなかったんだろうか。まぁ色々と女性関係はトラウマもあったから興味もなかったんだけど…
そこらへんは闇の部分なので触れないでおこう。
あのクラスでは、そんな周りを見る余裕なんてなかったしな。まぁいいか。さて、これから軽く朝食を食べてからギルドに行って依頼を受けてクエストに出発だ。武器はギルドの方に借金という形で市販の剣と杖を買った。2つで合計16000ルリ。
決して高すぎることはなく、初心者用としては問題のないものだったので買ってきた。俺の場合武器などいらないのだが周りから怪しまれるため一応買っておいた。まぁ剣使ってみたかったしいいだろう。
「おはよう。楓くん!」
「おう、おはよう日向」
「昨日は私に何もしてなかったでしょうね〜!」
「してねぇよ。昨日はすぐに寝たよ」
本当は寝顔を堪能してから寝たのだがそこは黙っておこう。
「そっか。ならよし!それでこれからどうするの?」
「まずは朝食だな。それから準備してギルドでクエストを受けよう」
「そうだね!この杖早く振ってみたい!どんな感じになるのかな」
「さぁ?まぁ、まずは朝食が先だ。腹が減っては戦はできぬ、だぞ」
「わかった!」
程なくして朝食を食べ終わり準備完了。ギルドに向かう。
「昨日も来たがやっぱりすげぇな」
今日は朝からギルドに来てるからか人が多い。
昨日は夕方だったしな。これはすごい。
「よし、じゃあFランクのクエスト受けるか。何かいいのあるかな?」
「これなんてどう?」
日向が持ってきたクエストはゴブリン討伐×5匹だ。 クエスト報酬は4500ルリ。Fランクのクエストではそこまで美味しいクエストがない。まぁ5匹と言わず狩れるだけ狩ってくる予定だから討伐部位や素材でもう少し稼ぐ予定だが…
これは早くランク上げないとうまみがないな…
「それじゃ、それにするか。えっと場所は…迷いの森か。昨日行ったところに近いな」
「それじゃあ徒歩で1時間くらいだね!早く行って魔物と戦ってみたいな!」
この子、結構俺と似てバトルジャンキーなのかな?
「だな、ここでうだうだしても時間の無駄になるしさっさとこのクエスト受けてゴブリン狩りに行くか」
「うん!」
というわけでゴブリンの依頼を受けて迷いの森までちょうど一時間くらい歩いていく。
「お、見えてきたな。うわなんか禍々しいなあそこの森」
「だね。日本の森とは全然違うみたい」
森自体が禍々しいのもあるがなんかいかにも森の中には魔物がいるぞ!って感じがする。
「とりあえず中に入ってみるか。俺のスキルで大体場所もわかるし迷いはしないと思う」
迷いの森なのにね(笑)
『チートの賜物ですね』
本当にそうだな。あのクソ神には恨むこともあるが、この力をくれたのはありがたかったな。
『普通、あれほどの物を渡されたら魂が瞬時に消滅するはずなんですがね。さすがマスターです』
死ぬほどキツかったけどな。まぁ今思えば髪の色が変わったくらいで実際は困ってないからいいんだけど…それよりナビちゃんマップ表示よろしく。
『かしこまりました』
よしよし。これでゴブリンがどこにいるかも筒抜けだな。
「よし日向、これからじゃんじゃんゴブリンと遭遇するから覚悟しとけよ」
「うん!新しい魔法も試してみたいから早く会えないかなー!」
とか言ってるとゴブリンが近づいてきた。数は4匹。まぁ余裕だな。
「日向、俺が左の2体を相手するから右の2体は頼んだ!」
「任せてよ!」
頼もしい返事を聞いて俺は抜剣すると同時に1匹に向かって斬りつける。あと1匹。そこでようやくゴブリンが反応したがもう遅い。軽くステップを踏んで剣で斬りつける。首を狙いにいくと相手もボロい剣で応戦してくる。が、勢いつけすぎたのかこのステータスでも威力が高いのかその剣をへし折ってそのまま首まで切り落としてしまった。
だめだ。ゴブリンなんぞに真剣に戦うならあと3段階くらいステータスを落とす必要があるな…
まぁめんどくさいし今日は稼ぎに来たんだからこのまま適当に流していくか。
日向の方を見ると器用に風魔法を使って見えない鎌みたいなので首を切り落としていた。
「とりあえず、この場は余裕だったな」
「そうだね。初めて魔物と戦ってみたけど何も感じなかったしね」
日向って結構精神的にタフだよね?こんな女子高生知らないよ?
「まぁ、日向がいいならよかった。とりあえず討伐証明のゴブリンの左の耳を切り落として次に行こう。あと3時間くらい狩り続けるけど大丈夫か?もしキツかったら言ってくれよ」
「うん。でもステータスのおかげか日本にいた時よりタフになってる気がするの!ゴブリン程度ならまだまだ余裕だよ!」
なんとも強い女の子である。そんなこんなで2時間が経った。
しまった。狩りすぎた…調子に乗って何も考えずにゴブリンを見つけ次第狩って討伐証明を集めていたらなんとゴブリンの討伐数が100を超えてしまった。まぁゴブリンの場合繁殖力が半端ないので狩りすぎの問題はないと思うが、少しやりすぎた。
「結構狩ったな。このくらいあれば大丈夫だろ。切り上げてギルドにクエストの完了を報告しにいくか」
「そうだね!私もいっぱい魔法が撃てて楽しかった!」
日向は途中で魔力がつきそうでしんどそうにしていたのでどうしようかと悩んでいたら魔力譲渡のスキルがあったのでそれで俺の魔力を渡していた。今日は基本的に剣を使ってゴブリンを狩っていたから魔力は必要なかった。俺自身体を動かせて気持ちよかったし。
「浄化魔法」
「ありがとう!結構返り血浴びて汚かったからありがたいな!」
帰る前に一度浄化魔法で2人とも綺麗にして帰る。
そーいえば日向のスキルを確認したいな。だいぶ強くなってるだろう。
『鑑定スキルを使いますか?』
おう!頼んだ。
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
佐倉 日向 Lv8
種族 人間
体力 55 → 85
筋力 55 → 85
敏速 35 → 65
知力 90 → 150
魔力 220 → 340
幸運 40 → 50
スキル
魔法 Lv2
魔法威力上昇 Lv2
魔力回復上昇 Lv2
ユニークスキル
成長速度上昇
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軽く言ってすごい成長である。魔法職だけなら下手したらあの歴代最強のクラスメイトよりすごいんじゃね?
「日向、いま鑑定スキルで日向のステータスを、確認したんだがすごいことになってるぞ」
「え、本当に!?やったー!」
「さて、それじゃ帰るか、いくらになるか楽しみだ」
そしてまた帰りに1時間かけて帰ってくる。今は大体11時ごろかな?1時間予定より早く帰ってこれてよかった。
「あの、クエストの完了の報告をしにきました」
「かしこまりました。それでは討伐証明を提出してください」
ドサァァァァァ
「これ全部お願いします。あとこれ全部買取お願いします」
「は、はい。あ、あの?楓様達は昨日冒険者登録されたんですよね?ゴブリンとは言えどこの数を狩るのはすごいですよ!?」
あの、美しいエルフのお姉さんがキャラ崩壊しそうな感じで問いかけてくる。
「あ、あははぁ、それより報酬の方をお願いしてもいいですか?」
笑ってごまかす。
「あ、はい。これがゴブリン5匹の討伐達成報酬の4500ルリ×20で9万ルリになります」
そう言って大銀貨9枚を渡される。
「ありがとうございます」
とりあえず礼を言って、冒険者ギルドを後にした。
「なんかすごいお金になったね!」
「だな。こんな簡単に、稼げるとは思ってなかった」
「そろそろお昼だね!あそこに座ってお弁当食べようよ!」
「そうだな。でも昼に帰ってこれたんだったらお弁当作ってもらう必要なかったな」
「まぁ、早く終わったのは想定外だったんだし外で食べるのも悪くないよ?」
「まぁ、そうだな。さてこれ食べ終わったら昨日行ったところらへんで実践といこうか」
かくして、2人の初クエストは大成功で終わったのであった。まぁめっちゃ簡単だったのだが…
めでたいものはめでたいのだ。




