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「魔術師、お前、補助系どの程度使える?」
奥の方でした音の正体は扉だった。
その扉をくぐった瞬間、
強大な気が私達を覆う。
即座に反応した勇者様は剣を抜き放ちながら、魔術師様に質問する。
それに答える魔術師様。
「簡易程度なら。
重ねがけをすればいけるかもしれないが、僧侶程の効果は期待できない。」
「分かった。
補助系はナシで。
回復はオレがやる。
お前は攻撃だけに集中しろ。
姫さんと指揮官に攻撃は向けさせるな。
後は適宜お互いを支援」
抜いた剣を構えながら話す勇者様。
以前見た将軍が扱ってた剣よりやや小振りながら、こちらの方がより複雑な紋様が剣の周りを明滅しながら浮かんでいた。
勇者様がフルパワーで戦おうと覚悟を決めた時に剣が答える形で紋様が浮かぶ。
ウラボス相手に、フルパワーで。
それを視た私は冷や汗が出て全身が震える。
ダメ、アレに触れちゃダメ。
思わず後ずさりした私の背中を優しく支える魔王。
「何も心配する事はない。」
そう、耳元で囁く。
この黒と金を溶かし込んだ瞳は、力のない私には普段の生活には支障はないけど、勇者様の力を存分に受けた剣のレベルになればさすがに脅威を感じるらしい。
自分達を滅するモノとして。
ワードの展開を一切する事なく巨大な火の塊をウラボスに放つ魔術師様。
爆炎と共にウラボスに塊が着弾するも片手で見えない盾を展開して自らを守る。
ソレを想定していたかのように塊の後ろから勇者様が剣を振り上げながら現れる。
あまりの速さに一瞬防御が遅れ、頬に紅い一筋の線が刻まれる。
頬に手をやり紅い血液を指に掬ったウラボスは、真紅の瞳を獰猛に見開き両手を天にかざす。
「×××。」
私達の世界では認識されない音が魔王の口から発せられた。
「×××。」
魔王の存在を認めたウラボスは獰猛に見開かれた瞳を一転甘やかに膨らませる。
ウラボスの魔力を受け薄暗くなっていた辺りも元の明るさに戻る。
魔王はウラボスの隣に立ち何やら話しかけていた。
時々こちらを見ながら。
「お主はソレでよいのじゃな。
妾はお主が一緒に来てくれるなら、この世界を手に入れずとも問題ない。」
「ああ、お前の世界へ共に行こう。
手に入れたいとの願いが叶わぬのならここにいる意味はない。」
そう言いながらウラボスの頬を軽く指で触れる。
「ほんに、お主は優しいのぉ、こんな傷放っておいてもすぐ治るというに。」
魔王の手を両手で包み自らの口元へ寄せる。
私は場違いだと思いつつもお似合いの2人だと見惚れてしまった。
「では、行くとするか。」
魔王の首に両手を絡めながらワードを展開し始める。
ゆっくりと焦らすように。
お読みくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
次話で最後となります。
もう少々お付き合いくださいね^_^




