嘘の様な本当に有った話し
これから、自分の経験した嘘の様な本当の話しは、沢山連載して行きます。
第5章
ある日、堀株の浜辺が全て銀褐色に変わった。自分には何が起きたのか、全然想像が付かなかった。昆布漁村の漁師さんに、聞いてやっと理解出来た。本当に北海道どでも珍しい事だが、ニシンの大群が浜迄押し寄せ、その為、海全体が銀褐色に変わったのだ。浜辺全体の色が全て変わるのは、鯨が浜辺で解体されて、流れた血で浜辺全体が赤く染まった以来だ。
ほんの5分位だと思うが、こんな光景を見る事は、本当に無いだろう。
何故、網を持って(蝶々網だって構わない)すくえば、いくらでも沢山のニシンが採れたのに、手づかみでも、あれだけの大群なら採れたに違い無い。でも人間はその光景が余りに綺麗だったり、思いがけない事が起こると、何も行動に移せ無いので有る。自分の友達は皆な田舎だが、豪邸を建てて居る。ニシン御殿、昆布御殿、蟹御殿と言われる様に、世代がどこかのチャンスに合えば、豪邸が建てられた、時代だったのかも知れない。
ニシンだけだと話が短く成るので、他の事も記させて戴く。流氷が来ると昆布が根こそぎ打ち上げられる為、流氷が接岸した年は昆布漁が不振に成る。自分達は先にも述べた通り、ミズタコ等色々な食料を運んでくれるので、良かったのだが漁師さんにしてみれば、死活問題だったと思う。
自分達は流氷が海一面を、埋めつくしてくれると、海の上を歩くと言う、経験が出来るのだから、たまらない。又、春に成って流氷が数少なく成ると流氷の上に乗って、動く流氷に乗る事も出来て、此れも子供には格好の遊び場である。当然その時期は危ないので、本当は禁止の遊び場であったが。
流氷に乗っかって、此れも漁師さんには天敵のトッカりと言う(今で言うトドだと思うが)やって来る。
トッカりは海に潜り、色々な海産物を食べ尽くすらしい。したがって漁師さんも手を駒なせて居る訳にはいかない。散弾銃で撃ち殺すしか無いのだ。
流氷とトッカリのダブルパンチ、此れには漁師さんも、せめてトッカリだけでも、退治しないと、大変な事に成るので、仕方ない。
そんな折、自分に新しい経験をするチャンスが来た。
トッカリを撃つ練習をさせてくれると言うのである。
大きな海辺の岩の固まりに向かって、散弾銃を撃つのであるが、当然子供一人で撃つのは、危険なので自分に大人の人が覆い被さる様にして、散弾銃を自分の肩に固定してもらい、衝撃を受けない様にして、散弾銃を撃たせて貰ったのだが、実際本当にビックリした。
やはり、本物の散弾銃、撃った時の衝撃が自分の思って居た以上に強く、半泣きに成りそうに成ったのを、覚えて居る。突然話は飛ぶが、堀株の山には本当に大きなフキがあった。身の丈にしたら、おそらく180センチはあったと思う。雨が降っても、そのフキの下に居れば、何の問題も無い。自分達はそのフキは大き過ぎて食べても美味しく無いので、振りの茎だけを使って、遊んだ。そのフキの茎を川の流れと逆にして、フキの茎を前後に動かすと、フキの先から、物凄勢いで水が、まるで消防士が消化作業をする位の勢いで、水が飛ぶのである。子供に取っては豪快な水鉄砲の様で楽しかった
思い出がある。又、話は変わるが自分が釣りが好きな事は前置きに
述べたが、田舎の川は素人でもヤマメ、イワナが面白い様に釣れる。人が誰も殆んど入って無い川だから、釣れるのは当たり前である。ただ今回は釣りの話で無く、釣りに行く時の注意事項だ、北海道は本州と違いツキノワ熊で無く、ひぐまが有名だが熊の話しとも又違う、自分達が大人に注意されていたのは、野犬である。おそらく
釧路市からだと思うが、自分達で持て余した犬を、我々の居る僻地へ捨てに来るらしく、その捨てた犬が集団化して放牧して居る牛でさえ、襲われて無惨な姿に成って居て、そうなの為熊より犬のトウボエが聞こえたら、川釣りを止めて直ぐ帰って来る様にと何度も言われた、幸い一度だけ犬のトウボエを聞いただけで、自分は襲われる事は無かったが、今、思うに都会の人は好き勝手な事を、僻地に住む人の事考え無いで、してたと思う。又、自分はある時都会の人に散弾銃で撃たれた事がある。ちょうど小高い岡が有り、その岡からカ―ブに成って居る為、その下に民家が有るとはカモメを散弾銃で撃ちに来てた、二人の男性には見えなかったと思う。自分の目の前を散弾銃の玉だと思うが、通過して行くのが解った。後回りが爆竹でも鳴らした様に、破裂音がしたのでその民家の親父さんに、その事を話すと、直ぐにその親父さんは気付き、岡の上にぶっ飛んで行って、その大人二人に激怒して居た。その大人達は逃げる様に帰って行ったが、よく自分に散弾銃の玉が当たらなかったと思う。二人でカモメを狙って撃って居たけど、結局結果的に自分を狙って撃った訳だから、この後も自分は自殺や事故で何度も死にそう成って居るが、全て助かって居る。その話はおいおいして行くが、チョット釣りの話に戻る。毎年、釧路と自分の住んで居た堀株の中間に、昆布森と言う村が有る。そこで同じ釣り人が、畳二畳、大人百人分の刺身が取れる、オヒョウと言うカレイの化け物を釣り、毎回新聞にのる。今、思うに自分も何度かオヒョウを掛けて居ると思う、場所も近いし、ただ自分は地球を釣ったと思い、釣り糸を切って居たと思う。ピアノ線の様なテグスで無いと絶対釣れない訳だから。
又、一度だけ延縄漁に同行した事がある、延縄漁とは沢山の針を付けたメンシ(糸)をニキロ位、舟で流す、流し終わったと同時位に、延縄を巻き上げると、大きなアブラコ(アイナメ)が釣れて来る。
漁師の人はアブラコが釣れると、針の部分を持ち舟のへりに、叩き付けて上手に魚を外すのだが、自分が同じ様に見よう見まねで、ヘリに叩き付けるのだが、魚は外れず魚をぐちゃぐちゃにしてしまい
悔しい思いをした記憶がある。