表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法と○○とっ!  作者: 李ノ片紀伊砂
第1章 日常
5/6

No.3 キリカ先生のなぜなに講座

(なぁキリカ)



 と、俺は昨日決めたばかりの名前でそいつを呼ぶ。



『はい、何ですか? マスター』

(俺はステータス確認で自分の使えるスキルや魔法を確認出来るが、他の人はどうやって確認してるんだ?)

『ステータス確認を持つ人はかなり多いのですよ。大体百人に一人の確率で持っているので、最も一般的なスキルと言っても過言では無いでしょう。自分で確認出来ない人は身近に居るステータス確認を持つ人に頼んで見てもらっています』

(なるほどな。ところで、もっとスキルについて詳しく知りたいのだが)



 昨日もスキルについて色々と説明を受けたが、どうもあれで全てでは無いらしい。今日はその事について聞こうと思っていたのだ。



『はい、ではスキルツリーについて説明しますね』

(スキルツリー……ってあれか、ポイントとか振ってスキルを開放していく奴。これも金を使うのか?)

『はい、あながち間違いではありませんが、新しいスキルを開放すると言うよりかは、スキルを進化させたり合併させたり、ですね』

(なら身体強化系のスキルからキリカみたいなのは開放できないのか。それに強くなるために金がいるなんて、俺が言うのもなんだが生まれた時から強さが決まっている様なものだな)



 しかし普通では開放できないはずのスキルも、技の強奪者(スキルハンター)を使えば使えるようになるのか、スキルツリーをコンプリートするのも面白そうだが、やはり誰かから物を奪う様な事は気が引ける。



(なあ、スキルツリーってどうやって見るんだ?)



 もしスキルツリーをコンプリートする事になるなら、今のうちに確認をする方法を知っておいた方が良いだろう、と思いキリカに聞いてみる。



『簡単な事です。スキルツリー、と念じれば自然と頭の中に浮かんできますよ。一応先に言っておきますが、スキルの発動も同じくです』

(なるほど。って、こんなに多いのか・・・・・)



 俺が見たスキルツリーは、少なくとも数千は欄があり、ところどころにある俺の持つスキルを除いて全て『???』としか書いていなかった。習得しないことには名前が分からないのだろうか。



 もちろん数千もあるスキルなんて一生かかっても開放できないだろう。スキルコンプリートが出来ないと思い俺は内心ほっとしていた。



(えっと、レベル上げもここからするのか。とりあえずステータス確認でも見てみるか)



 ステータス確認|(1/5Lv.)

 次レベルまで100ペイル



 ペイルと言うのはこの世界の通貨だろうか、円に換算するとどのくらいになるのか分からないため高いのか安いのか不明だが、まさか一ペイルが千円を超えることはないだろう。



(なぁ、一ペイルって日本円に換算すればどのくらいになるんだ?)

『この世界は日本と物価がかなり違いますから詳しくは分かりませんが、おおよそ十円程だと思います』



 続けてキリカが言う。



『銅貨一枚で一ペイル、大銅貨で十、銀貨で百、大銀貨で千、金貨で一万と言った感じです。ちなみに銅貨と大銅貨以外は本物の銀や金を使ってません、昔は全部本物だったそうですが貴重な金属を通貨にするのは勿体無いとの事で、いつからか色だけ似せて作るようになりました』

(なるほどな)



 下が十円、上が十万円と言ったところか。どうもこの世界はどこに行っても通貨が同じらしいので分かりやすくて良いと思う、がやはり土地によって物価が変わってしまうので面倒臭い事には変わりないが。



『少し話がずれてしまいましたが、私のできるスキルの話はこれぐらいですね。あ、ついでに魔法の話でもしましょうか?』



 と、キリカが少し声を張って言う。



(魔法、か。どうせ本かなんかで調べるつもりだったし、頼むよ)

『はい、分かりました。魔法は基本六属性で、水、火、風、土、そして光と闇があります。またそれぞれ上位属性というものがあり、水なら海、火なら炎といった感じです』

(上位属性ってことは威力が上がったりするのか?)

『そうですね、単純に威力が上がるだけでなく範囲が広くなったり、効果が良くなったりします』



 恐らく上位なだけあって消費するMPが多かったりあの呪文みたいなのが長かったりするのだろう。



『続いて複合属性について説明しますね。複合魔法は二つ以上の属性が掛け合わさって出来る属性で、例えば水と土で氷、火と光で雷となります。これらは上位魔法のように威力が高いものが多いですね、その代わり使える人が少ないです』

(使える人が少ない? なんでだ?)

『と言うのも、必要な技術が上位属性のものより……あぁ、上位属性のものは通常の魔法の十倍程の技術が必要なのですが、その複合属性と言うものは更にその五倍程の技術が必要となるのです。単純に言えば通常の魔法の五十倍ですね』



 普通に火属性とか水属性とかの魔法を使うのにどれ程の技術が必要とされるのか良く分からないが、五十倍と聞かされると遠い道のりに思えてしまう。



『えっと、安心してくださいマスター。マスターならきっと使えるようになりますから! 私もいますし!』

(そうは言うけどなぁ……)

『後ろを向いていては前進しません! 今からでも練習していけば、マスターなら5歳になる頃にはきっと複合属性も使えるようになります! 多分!』



 キリカが熱弁する。



(なんか、キリカお前、キャラ変わってないか? と言うか、今からでも魔法の練習が出来るって言うのは本当か?)

『あ……す、すみません。つい熱くなってしまって。それでえっと、はい、マスターは確かヒールが使えましたよね? なら、スキルツリーを見た時と同じように念じてください』



 そう言われ俺は、ヒール、と念じる。すると頭の中に文字の羅列が出てきた。



(あぐ、つがー、うるた。……これは呪文か?)

『呪文と言う言い方は違いますね。それは詠唱文です、それを読む事を詠唱と呼び、詠唱をした後自分が念じた魔法の名前を言うと使用出来ます。また詠唱には頭の中でする思想詠唱と実際に読む事で発動させる口頭詠唱があります、効果は変わりませんが、思想詠唱の方が技術が必要とされます』



 確かに、思想詠唱には集中力が結構必要とされそうだ。もし誰かと戦う事になったら相手の攻撃に気を取られて失敗、なんて事もありえそうだ。しかし俺はここで一つの疑問が浮かぶ。



(なぁキリカ、思想詠唱って難しいんだよな?)

『まぁ、口頭詠唱よりかは難しいとされますね』

(俺ってまだ喋れないんだけど、まさかいきなり思想詠唱から始めるって言うのか?)

『当たり前じゃないですか』



 とキリカは、何言ってんだコイツ、とでも言うかの様に言ってのけた。魔法なんて初めて使うというのに、もしかするとキリカにはSの才能があるのかもしれない。



『まぁ物は試し、一回やってみるべきです。この部屋は静かですし集中力しやすいのでそう難しくないと思いますよ?』

(でも俺が使える魔法ってヒールだけだぞ? それにHPも減ってないし)

『別にHPが減っていないと意味が無いって訳じゃないですよ、確か昨日積み木で怪我をしてしましたよね? そう言ったものも治す事が出来ますし、そんな怪我が無くても使えば良いのです。毒にはなりませんし。』

(いやそれにしてもだな、今は状況が悪いと言うか……)



 そう、今魔法を使う訳にはいかない。と言うのも――――



「んー、エリフちゃんどうしたのぉ?」



 さっきからずっとジェシカが俺の子守をしているのだ。もしここで魔法を使ってバレてしまったら捨てられる、なんて事は無いだろうが気味悪がられるかもしれない。言ってはなんだが俺はジェシカの事を気に入っている。あのオッサンはともかくジェシカは心地良い匂いがするし、近くに居るだけでとても落ち着く。あと胸もでかいし。



 そんなジェシカに、俺は嫌われたくないのだ。もし嫌われる様な事になってしまえば俺は生きる気力を失ってしまうのだ。だからこそ、絶対に嫌われるなんて事は阻止しなくてはいけない! 絶対にだ!



『大丈夫ですよ、バレませんから』

(勝手に人の心を覗くのは辞めてくれ……)

『まぁまぁ。大体、そう簡単に親が我が子の事を嫌いになりませんよ、だから安心してください』

(ま、まぁそうかもしれないが、でも)

『良いから早く!』

(お、おう。えっと、□□□□□□□□□□ヒール)



 内股の部分を意識してヒールを使うと、怪我をした辺りが弱く光った。



『流石マスターです! やれば出来るのですよやれば』

(これが魔法か、なんか不思議な感じだな)

『では次はステータス確認でMPの減りを確認してください』



 そう言われステータス確認を発動させ、MPの欄を見ると20あったのが19に減っていた。



『ヒールは一番簡単な魔法ですからMPの減りが1しかありません。その代わり回復する体力は少ないですし、怪我も酷いものは治りませんが』

(それでも安いと思うぞ? 前世じゃ骨折でも一生に何回あるかって感じだったし。ちょっとした切り傷とかでも治せるならそれに越した事は無い。ついでに聞くが、ヒールって何属性なんだ?)

『ヒールは光属性です。回復系の魔法は光属性のものが多いですね、一応火属性や水属性にもありますが数は少ないです』

(そうか)



 ヒールが前世でも使えればどれだけ便利だっただろうか。俺はともかく峰はそそっかしいから良く怪我をしていた、そんなのでも治す事が出来れば――――絆創膏や消毒液の分が浮いていたのに……。



『とにかく、これから毎日ヒールを使い続けるのです。MPが0になるまで使って、回復したらまた使う、それを続けるのです』

(はぁ、分かったよ)

『あぁそれと言い忘れていましたが――――』



 と、キリカが付け足す。



『魔力を使い続けると魔力疲労と言うのが溜まって、怠さ等の倦怠感から始まって最悪気絶するのですが、気にせずに続けて下さい。運動の疲労と同じ様に慣れれば大丈夫ですから』

(あぁ分かったよ)



 返事は良くしたが、急に先行きが不安になったのは秘密だ。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ