第35話 ホーム開幕戦part1
主審が笛を持って口に近づける。その時がやってきた。
ピーッ!
2014Nリーグ第一節
名古屋アハトVS清水ランゲルス
KICK OFF!
名古屋ボールで始まる。
俺がボールをちょんと蹴ったら、FWのケリーがCBの高尾キャプテンまでパスをして陣形を広げていく。
名古屋アハトのフォーメーションは4-4-2で俺のポジションはツートップの一角、FWだ。
高尾は走り出していた右SHにロングパスを送る。
このボールは相手左SBによってクリアされタッチラインを割った。
・・・・・
前半12分頃
名古屋ボールのコーナーキック。
高尾、ケリー、俺の高身長組は縦1列になって笛が鳴るのを待つ。
ピーッ!
笛が鳴ると同時に俺達はペナルティエリア内に散る!
ボンッ!…
キッカーから中央にボールが供給され、合わせたのはケリー!
ボンッ!
上から叩きつけるヘディングでゴール左下隅を狙う!
ボンッ!
このシュートは相手DFによってクリアされゴール前からボールを掻き出された。
・・・・・
前半20分頃
名古屋の攻撃、左SHとCFの俺でパス交換しながら中央から右サイドへボールを送る。
右SHがボールをトラップして小さくドリブル、右SBが右SHをオーバーラップしていくが使わないで左に切り込む!
カットインシュート!
ボンッ…!
バッ!
だがこのシュートは相手DFによって素早くブロックされる。
ブロックしたボールは中央エリアで両チームの奪い合いになる。
密集地帯から抜け出したのは清水ランゲルスの選手だ!
その選手はハーフウェイライン付近までドリブルで運んだ後、相手左SHにボールを預ける。
名古屋の守備態勢が整っていない間に、相手左SHはぐんぐんとドリブルで前に進む。
そして相手左SHの対応に味方右CBが釣り出され、その空いたスペースに相手FWが走り出す!
相手左SHはその相手FWにスルーパスを送り中央へ向かう。
スルーパスを受け取った相手FWは少しドリブルをしてシュートを放つ!
ボンッ!
CBの高尾が足を出すがシュート軌道には届かない。
残るは名古屋GKの長嶋のみ。
バシッ!
長嶋は勢いよくゴールに向かったシュートを弾いてみせた!
だが、弾いた先にはもう一人のFWがいる!
ボンッ!
バシッ!
これも防いだ!
しかし…
ボンッ!
パサッ…
GOAL!
最後は中央に走り込んでいた相手左SHによって、名古屋は清水に先制点を入れられてしまった。
名古屋0-1清水
ウオオオオ!
相手のゴール裏サポーターが喜びを爆発させる。
「戻りが遅いんだよ!奪われたらちんたらしてないでさっさと戻れ!」
キャプテン高尾がチームメイト全員を集めて喝を入れる。
この様子だと前半のうちに同点以上にしないと、ハーフタイムのロッカールームが地獄になりそうだ。
よしっ!気合い入れ直すぞ!
・・・・・
前半35分頃
相手のクロスボールをキャッチしたGKの長嶋が、最前線にいる俺めがけてパントキック!
俺はそのボールを胸でトラップしてケリーにパスする。それと同時に相手CBの横を走りワンツーを狙う!
ケリーは俺の走る先へとスルーパスを出す!
俺はそのボールを大きくトラップして前へ前へと運んでいく。
俺のスピードに相手CBは追いつけない!相手GKとの1対1に持って行く。
ペナルティーエリアに近づくと相手GKが飛び出してきた。
ここはループシュートを選択した。
ポンッ!
パサッ…
GOAL!
名古屋1-1清水
ワアアアア! ウオオオオ!
集中してて忘れていたが、今日は沢山の観客の前で試合をやっていたんだった。
コーナーエリア付近に走っていって、カメラに向かってゴールセレブレーションをする。
ガオー
大雅だけにタイガーポーズだ。
このポーズのポイントは両手を横に配置するのではなく、上と下に分けること。
横にしたらあのポーズになってしまうからな。
パクリと言われたらそこまでだが、この時期ならまだそこまで彼のポーズは定着してないはずだ。
申し訳なさを感じながらも少し差別化を図る姑息な俺であった。
「大雅!お前まじでやったな!」
「よくやった!」
コーナーエリアに俺のゴールを祝福するためみんなが集まってくる。
ひとまず追いつけたことでみんな安心した笑顔だ。
そういえば2014シーズンの名古屋アハト第一号ゴールが俺だったわけか。
観客も中学生の俺がゴールしたからか、ざわめきがいつまでも静まらない。
だが、まだ追いついただけ。ホームで戦っているのだ。絶対に勝たなければならない。
・・・・・
前半40分頃
清水の攻撃、最終ラインでボールを回している。
相手FWが中盤に降りてきたとき!相手CBは相手FWにボールをつける。
と思いきや相手FWはスルー、そのままもう一人のFWにボールが通る!ボールを一気に前線まで進められた!
「まっずい!」
右に流れた相手FWは相手右SHにスルーパスを送る!
相手右SHはそのパスをダイレクトで中央に飛ばした!
長距離を走って中央に入り込んでいた相手左SHが、ペナルティエリア内で左足にボールを当てた。
シュート…じゃない!相手FWへの落としのパスだ!相手FWがダイレクトシュートを放つ!
ボンッ!
バサッ!
そのボールはゴール左隅へと入っていった。
GOAL!
名古屋1-2清水
ウオオオオ!
再び清水サポーターの歓声がスタジアム内に響く。
また失点をしてしまった・・・
意気消沈した名古屋は高尾キャプテンの喝を頂き、試合再開をする。
しかし俺達は点を奪えないまま前半を終えたのであった。




