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ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜  作者: クズ吉(くずよし)
オフシーズン編その1

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第128話 2015アジア杯part3

 2015年1月 オーストラリア


 「ケリー!」


 「タイガー!」


 俺達は抱き合って再会を喜ぶ。


 今日は2015アジア杯準決勝、日本代表VSオーストラリア代表の試合だ。


 ウォーミングアップをしにピッチに向かうと、名古屋アハトを退団したオーストラリア代表ケリーに出会った。


 「一ヶ月ぶりか、調子はどうだい?」


 「いいよ!ケリーは?」


 「すこぶるいいさ!代表引退を取り下げようかと思ってるくらいさ」


 「ハハハ、それもいいかもね」


 ケリーはこのアジア杯でオーストラリア代表を引退するそうだ。


 俺は彼とメッセージアプリで連絡を取り合っていたので、事前に知っていた。


 「今日は俺はサブだけどタイガーはスタメンだろ?同時にピッチに立てるといいな」


 「そうだね!オーストラリア代表には負けないから覚悟しといてよ!」


 「ああ!俺達だって負けないさ!」


 そう言い合って俺達はそれぞれウォーミングアップへ向かった。



 ・・・・・・・


 

 「やあ!タイガクラウチ!会えて光栄だ!」


 「おお!あなたは…ポルぺコブルー監督!」


 選手入場前、日本代表が先に整列していると、恰幅の良い男性に話しかけられた。


 オーストラリア代表監督のポルペコブルーだ。


 前世ではこのあとNリーグ横浜MSの監督を務めた後に、スコットランドリーグ、イングランドリーグへと栄転していった人物である。

 

 「おや?私の事を知ってるのかい?」


 「もちろんですよ。2014W杯は日本代表として戦いましたけど、オーストラリア代表も応援してましたから」


 「そうか、君が…いや、やめておこう。とにかく日本代表との試合を楽しみにしてるよ。全力で君を抑えるようにウチの選手には言っておいたから」


 「おお、怖いです。僕は怯えて何も出来ないかもしれませんね」


 ポルペコブルー監督は「そうだといいね」と言って笑って、俺を含む日本代表選手と握手をして去っていった。


 ポルペコブルー監督が言いかけたのは、「君がオーストラリア代表を選んでくれればよかったのに」的なことだろうか。


 他のオーストラリア代表選手がいる手前、その言葉を発する事が出来なかったのだろう。


 違ったら恥ずかしいけど。


 俺の体にはオーストラリア人の血が半分流れている。


 権利としては日本代表ではなく、オーストラリア代表を選ぶ事も出来た。


 だがオーストラリア代表を選ばなかったのは、やはり日本人として生きてきた経験の多さ故だ。

 

 俺のルーツ、根元は日本という土地、人々、社会に根ざしている。


 代表サッカー選手として最も喜ばせたいのは日本の人々であり、最も盛り上げたいのも日本社会なのだ。


 これは俺が日本でずっと暮らしている以上、仕方のないことだ。


 血が日本とオーストラリアで50%ずつだからといって、それぞれの国に半分ずつ愛着を持てるわけがない。

 

 さて、なぜこうも長々と心の中で言い訳をしないといけないのか。


 それはオーストラリア現地に来て、意外と俺の人気が高かったからだ。


 「裏切り者!」とでも声をかけられればオーストラリアを敵視できたものの、実際は先ほどのポルペコブルー監督のように好意的な人々ばかりであった。


 まぁ俺の父さんは元オーストラリア代表だからそのおかげもあるのだろうが…


 俺の心はオーストラリアに来て、そしてオーストラリア代表と対戦することとなり揺れていた。


 俺がオーストラリア代表を選んでいたら、彼らを、オーストラリアの人々を喜ばせることができたのかな。


 サッカーというスポーツは残酷だ。


 勝者と敗者が生まれるから。


 俺はサッカーというスポーツでゴールを決め、勝者になることがたまらなく好きである。


 だが時にこうしてサッカー、いや、スポーツの残虐性に目を向けてしまう瞬間がある。


 一方が喜び一方が悲しむ事になるスポーツ、サッカーをして金を貰っている自分に疑念のような感情が浮かんでしまうのだ。


 特に今回は俺にサインや握手を求めてくれる多くのオーストラリアの人々を、俺は知ってしまった。


 これから行われる日本とオーストラリアの対戦で、俺達日本が勝利すればオーストラリアの人々は悲しむ。


 それでも…


 俺は日本代表を選んだのだ。


 日本を、日本人を代表して日本のため、日本人のために戦う!


 そう決めたのだから…


 感傷に浸るべきではない。


 分かっている。


 分かっているさ!


 俺はオーストラリア相手だろうが、容赦はしない!


 アジア杯優勝に向けて準決勝を勝利して糧とさせてもらおう!


 さあ、気持ちも切り替えて…


 日本代表のスタメンを確認しよう。


 GK背番号1神山悦人(かみやまえつと) (ベルギー)


 右SB背番号21澤田権六(さわだごんろく) (ドイツ)


 右CB背番号6望岡茉祐(もちおかまひろ) (東京)


 左CB背番号22米谷真羽(よねやまう) (イングランド)


 左SB背番号5中園由一(なかぞのゆいち) (イタリア)


 DMF背番号17羽賀田勝(はがたまさる) (ドイツ)


 右IH背番号7榎本山彦(えのもとやまひこ) (ピエルナ大阪)


 左IH背番号10金田修斗(かなだしゅうと) (ドイツ) 


 右WG背番号4星野謙一(ほしのけんいち) (イタリア)


 左WG背番号9大杉修人(おおすぎしゅうと) (ドイツ)


 CF背番号19クラウチ大雅(たいが) (名古屋)



 フォーメーションは4-3-3。


 スタメンは5戦連続同じだ。


 ターンオーバーなしでこのアジア杯を戦ってきている日本代表。


 ここまで来たら決勝まで同じメンバーでいくのだろう。


 オーストラリア代表の注目選手は…


 背番号4、恐らくCFのケーフィムだろう。


 そこまで身長はないのだが決定力のある選手。


 オーストラリア代表と言えばこの人、日本代表も何度も苦渋を味わった。


 背番号16、CFケリー。


 元名古屋アハト所属の長身ストライカー。


 ベンチスタートだが、オーストラリアの攻撃で一番怖いのは高さ勝負を仕掛けてきた時だ。


 注意する必要がある。


 オーストラリアの予想フォーメーションは4-3-3だ。


 日本も4-3-3なのでミラーゲームとなる。


 心配なのはやはり日本代表スタメンの疲労度。


 休養はオーストラリア代表の方が1日多い。


 UAE戦と同じくまた不利な一戦だが、アビーネ監督を信じて優勝まで突き進むしかない!


 行こう日本代表!

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