24話 初心
「」は慎吾
〈〉は京香です
私の兄が変わってしまった。
ここ一週間ぐらいだろうか。
兄はずっと寝たきりだし、前はとても明るかった兄が暗くなってしまった。
それに医者に鬱だと診断された。
前はあんなに明るく話しかけてくれた兄が鬱になってしまったことはとても悲しい。
兄がなぜ鬱になってしまったのか医者に聞いたが「俳優活動をしていることが原因かもしれない」という。
…ぶっちゃけどうすればいいか全くわからない。
俳優が鬱の原因ならキッパリ辞めたらいいと思う。
けど収録から帰ってきた時の兄は疲れながらもその目はキラキラしていた。
そんな兄が俳優のことで悩んでいるとは思えづらい。
当の本人は、少しずつ話せつようになっているが、俳優、特に仮面ヒーローのことについては全く話したがらない。
やっぱり俳優のことが原因なんだろうか。
そんなことを考えていると家のインターホンが鳴る。
すると使用人の人が玄関に行く。
兄を狙ってきた人だとしたらどうしよう。そんなことを考えながら待つこと数分。
リビングに入ってきたのは京香さんと1人の男の子。
だけど橋下さんと一緒にいることからおそらく最近兄とよく遊んでいるという慎吾さんだろう。
「…こんにちは」
「やあ、こんにちは」
〈すまないね。急に家に来てしまって〉
「今日は…どういうご用件で?」
「楓君に会いにきた」
〈だそうだ〉
うん。まあ大体わかってた。
どうしよう、今家には母も姉もいない。かと言って使用人を頼るのもまずい。別に信用してないわけじゃないけど、家族のことはできるだけ家族で解決したい。
そして私は少し考えて
「わかりました。けどその前に─」
そう言って兄が鬱だと診断されたこと、それとその他にも関連しそうなことを話した。
「やっぱりそうなんだね。
でも、僕は彼と話さねばならないんだ」
「…じゃあこちらにどうぞ」
そういうと私は彼らを兄の部屋に案内した。
僕の弟はなぜこんなのなのだろう。
普通に考えて友人の家に押しかけるなんてありえないだろうに。
そんなことを考えながら僕は彼がいる部屋の扉を開ける。
そこには前とはまるで別人のような男がベットに横たわっていた。
「やあ」
「…ああ」
やはり明らかに変わってしまっている。
「君は鬱になったって聞いてね。
どうだい?気分は?」
「わからない。
なんだかずっと悪夢を見ているみたいだ」
「…」
「…」
2人とも無言になる。
こんな見切り発車でくるから会話に困るんだろうに
〈ひとまず、嫌だったら話さなくていいから何があったか聞かせてくれないかい?〉
僕がそういうと彼は少し悩んだ後
「…俺は何で俳優をやっているのか、わからなくなってしまった」
そして彼は続けて
「俺は元々何で俳優を目指して、何で必死に練習をして、何に執着していたのか。ある時そんなことを考えたらそこからずっとその疑問が頭に残り続けたんだ」
なるほど、自分がなぜこんなに俳優に対して必死になっていたのか、それがわからなくなってしまったのか。
確かに彼の俳優、特に仮面ヒーローに対する執着は凄まじいものがあった。
〈何で俳優を目指し始めたわからないというのは、記憶がないということかい?〉
「…そうかもしれない。
なぜか俳優を目指し始めた時の記憶がないんだ。
気づいた時には俳優を目指していたというか」
〈…君は、何か隠し事をしているんじゃないのか?〉
どうしてか、そんな考えが頭をよぎった。
「…まあ、そうですね」
〈それは、あまり人に聞かれたくないものということかい?〉
「…」
彼は無言で首を縦にふる。
「…いや、京香さんになら話してもいいかもしれない」
演技に関係することだからだろうか?
〈わかった。
ならすまないが2人ははけてくれないか?〉
「わかりました」
「わかったよ」
そういうと2人は部屋から出ていった。
「じゃあ、まず─」
そして彼は前世のことを話し始めた。
最初は嘘かと思ったがこんな状態で嘘を言う訳はないだろうし、彼の言うとこは信用したいと思ったからひとまず信じることにした。
〈なるほど。大体わかった〉
「なんかすみません。こんな話をして」
〈いや構わない。
…まず気がついた時には俳優を目指していたと言うことだが、聞いた話ではその仮面ライ◯ーというものが目指したきっかけのようだが、そこら辺はどうだ?〉
「それは間違いないです。
けどじゃあなぜ仮面ライ◯ーなのかと言うと…」
〈ふ〜む。
じゃあ初めて見たのはいつだい?〉
「えっとそれは確か…小学生の時?」
〈小学生の時の思い出は?〉
「えっと…?」
〈どうしたんだい?〉
「いや、小学生の時の思い出が全く思い出せなくて」
小学生の時の記憶がない人は結構いるらしいが全くないと言う人は聞いたことがない。
「小学生の時…仮面ライ◯ー…あっ」
そういった瞬間どんどん彼の顔が青ざめていく。
〈だ、大丈夫かい?
ひとまず人を呼んで─〉
僕が人を呼ぼうとすると彼に引き止められた。
彼は僕の手を掴んだまま呼吸が早くなっていく。
おそらく過呼吸だろう。
一旦落ちつかさないと。
〈一旦これ舐めて落ち着いてくれ〉
そういうと僕はなぜかポケットに入っていた飴を取り出して彼に飲ませた。
そして待つこと数分後
「迷惑かけてすみません」
〈それは構わないが、大丈夫かい?〉
「はい、えっと─」
そして俺は小学生の頃のことと、仮面ライ◯ーに救われたことを明かした。
〈それは辛かったろう〉
確かに小学生の頃の記憶はショックだったが疑問が解けたことで少し気が楽になった気がする。
もう前の世界には戻れないしここは男女比がおかしい平行世界だが前世の俺が救われたようにこの世界の人を救いたい。
そう思うとどんどん演技をしたい気持ちが大きくなっていく。
俺は男女比がおかしい平行世界で俳優として生きていく
今日、俺はその決意を固めたのだった。
作者
( *`ω´)<飴ポイっ
感想 ポイント リアクション等よろしくお願いします。
おい今ブラウザバックしようとしたそこのお前!そうお前だよ!
もう1話だけ!もう1話だけ見てってください!




