第97話 新たな役員候補
ティオレ・ダートル。
浅緑の髪に金色の瞳、中肉中背の野性味のある男子生徒。
国の東のドウンケルヒンターの森の接している村の出身。
魔物に村が襲われ、家族が全員殺され、自分も危うく命を失いそうになった時、急激に魔力に目覚める。騎士に助けられた彼は、駐屯時に併設する医療施設で手当てを受け、その後急きょ学園への入学が決まったとのこと。
重い過去を背負っている割にはくったくのない性格で、途中編入で遅れていたカリキュラムもあっという間に終了し、前からずっといたかのようにクラスになじんでいるらしい。
生徒会のことを打診したら快く引き受けてくれた。
だが、初顔合わせの日、彼はいきなり突拍子のない言動をかましてくれた。
一年生の自己紹介、フェリシアの番の時のことである。
「すげえ、エルフの女より美しい人間なんて初めて見た」
おおいっ!
率直すぎるだろ!
フェリシアがうろたえる、それを見かねてサージェスが彼の襟首をつかみ言った。
「女性への誉め言葉には『エルフのように美しい』があるな。ただ、色にボケる前に覚えてほしいことややってほしいことは山ほどあるんだぞ」
「あ、ちょっと、なんですか! 放してくださいよ!」
サージェスがティオレを引っ張って生徒会室を出ていった。
「まあ、その、なんだな……、彼の指導はサージェスに任そうかな」
私も度肝を抜かれたが、フェリシアも困惑からなかなか抜け出せなかったようだ。
あんな無遠慮なタイプに接するのは彼女にとっては初めてだったろうな。
ティオレは、自分のことを「ティオ」と呼んでくれと言っていた。
幼いころから呼ばれていた愛称だそうだ、なので、今後はティオと言う。
「なんというか、乙女ゲームの無邪気なヒロインの男版みたいな人ですね」
リーニャが私にコッソリ耳打ちする。
「男が主人公の乙女ゲームってあるのかね?」
「わかりませんが、乙女ゲームというくくりではない恋愛ゲームならあるかもです」
「平民上がりで単に貴族同士の距離感がわからないだけかもな」
ティオの印象はひとことで言うと野生児。
物おじしないところがあるので、確かに乙女ゲームヒロイン男版みたいな感じがしないでもない。
「私が少し乙女ゲームに警戒しすぎているのかな?」
だから、ティオがそう見えるのだろうか?
多少貴族の常識から外れているところはあるが、人懐こく機転の利く彼はあっという間に生徒会のメンバーともなじんだ。これ以上ぜいたくを言ってもしかたがないのかな。




