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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第7章 断罪イベントの果て
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第88話 パート1終幕

「リーニャ、この前渡した薬は? ああ、ちゃんとふりかけているようだね」


 私はポケットからゴルフボールくらいの大きさの魔法珠を出し、それが光っていることを確認する。


「じゃ、リーニャが転落したであろう十数分前の映像を出すよ」


 彼女が着用していた制服に珠から光を照射して映像を浮かび上がらせた。

 そこに映っていたのは?


「ミリア・プレディス!」


「どういうことだ? 突き落としたのはフェリシア嬢じゃなく……」


「友達じゃなかったのか? 女って怖え!」


 映像を見た生徒たちが口々に言った。


「これがなんだというの?」


 蒼白な顔でミリアは私にかかる。


「物体に残る残留思念を映像化する薬品だ。リーニャは持ち物を壊されたりのトラブルに見舞われていたから、私がその薬を渡しておいたのさ。魔法で突き落とされたのでないなら犯人は彼女の体のどこかに触ったはずだから、着ている制服に光を当てれば明らかになると思ったのだがビンゴだったね」


 私はその場にいた皆にわかるようにはっきりと丁寧に説明する。


「でたらめよ。高位貴族同士かばい合うって本当ね! そんな薬、聞いたこともないわ!」


「確かに、まだ実践では使ったことはなかったが、王立研究所で認められたものだから証拠能力はバッチリだよ」


「……っ!」


「友達を怪我させてまで何をしたかったんだい? フェリシアを悪役に仕立て上げたって、肝心のリーニャが君の思い通りに動く気はないというのに」


「フェリシア……、悪役……、そうか、あんたも! あんたのせいだったのね! シナリオから外れていく原因は! よくも、悪役令嬢の分際で!」


 私に対してありったけの憎しみを込めた目でミリアはにらんだ。


 そう言えば私たちって、パート2でヒロインと悪役令嬢になって対決する役回りだったね。


「やはりここは衛兵隊を呼ばねばならないようだな。君がどうしてこのような真似をしたのか、僕にはわからないが、残念だよ、ミリア君」


 一触即発の雰囲気を破ったのはフォーゲル先生だった。


 エミール王子の叫びで衛兵隊は近くに待機していたので、すぐさまやってきてミリアを拘束した。


「どうしてよ、私の方がヒロインなのに。悪役令嬢がどうして……」


 ミリアは取り押さえられながらしつこく泣き叫んでいた。


「ここには確かに貴族の令嬢は多く通っている。でも『悪役』なんて前置きがつくような子は一人もいないんだよ」


 フォーゲル先生がミリアに諭すように言う。


 ミリアは連行され、リーニャは救急隊に搬送されていった。

 こうして乙女ゲームのパート1は幕を閉じたのだった。


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