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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第7章 断罪イベントの果て
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第86話 断罪イベント?

「フェリシアが階段からリーニャを突き落としただって!」


 報告を受け、私はいつになく大きな声を上げた。


「こっちです、生徒会長!」


 呼びに来た者は私を東側の校舎へと続く廊下に案内する、その途中で同じく呼び出されたフォーゲル先生と出くわした。


「フェリシア、嫉妬に駆られてこのような真似を! 君のような性悪女との婚約は解消させてもらう!」


 人が集まっているところからエミールの声が響き渡っていた。


 なんなんだ、断罪イベントの時に言うようなセリフをこの状況で?


「婚約解消は了承しますが、リーニャさんを突き落としたのは私じゃありません!」


 フェリシアは反論した。


「この期に及んで見苦しいぞ! 追跡魔法に長けたザロモがリーニャの周りに風魔法の痕跡があるといっているんだ。それが何よりの証拠だろう!」 


 エミール王子が強く主張する。


「だからそれは……」


「ごまかすことはできないよ、フェリシア。僕には魔力紋を魔道具無しで特定できる能力があるんだ。そして、リーニャの周りに残っている魔力は間違えなく君のものだ。君が犯人である以外にどう説明をするつもりなんだい?」


 ザロモまで追い打ちをかけている。


 いやいや、あんたら、突き落とされた被害者さしおいて、なに言い合ってるんだ!


「はい、ちょっとごめんよ。そこ通してね」


 私とフォーゲル先生は野次馬をかき分けてリーニャが倒れている場所に近づいた。 


「あくまで応急処置だからね、早く救急隊も呼んでくれ!」


 フォーゲル先生がしゃがみ込みリーニャに治癒魔法を施し言った。


「フェリシアです! 彼女がリーニャを突き飛ばしたんです!」


 再びミリアが大声で叫び、現場は再びざわつき始めた。


「衛兵隊も呼べ! これは殺人未遂だ! 加害者フェリシア・ブリステルを連行するんだ!」


 場を静めようとした矢先、ヒートアップしたエミールが再び大声で叫んだ。


「待ちたまえ! 確たる証拠も無しに衛兵を呼び人を犯人扱いして連行させるなどあってはならない」


 フォーゲル先生がエミール王子をたしなめる。


「先生、お言葉を返すようですが、リーニャの周りには風魔法の痕跡が残っております。これは間違いなくフェリシア嬢が放ったものです。そして、その場にいたミリアの証言。これ以上の証拠はないと思われますが?」


 ザロモが先生に対して意見を語った。


「フェリシア嬢の風魔法、リーニャ嬢の周囲に? ああ、そういう事だったのか。これで、現場の状況で腑に落ちない点が理解できたよ」


 ザロモの言葉を聞いて先生は得心の言った顔でうなづいた。


「わかっていただけましたか!」


 ザロモが嬉々として言葉を返す。


「わかったよ、なぜリーニャ君があの踊り場から転落して、この程度の軽いけがで済んだのか」


 フォーゲル先生が自分だけ納得したような顔でうなづいた。


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