第72話 公爵家の追及と鶴の一声【シュザンナ目線】
「そうでしょうね、王家との話し合いでエミール殿下の非をつまびらかにしそれを生徒会も受け対応したのです。つまりご子息は公爵家が王家に認めさせた正当性に意を唱えた、それが忠義?」
「息子の暴走は認めますしお詫びも致します。ただその……、女性の扱いに不慣れで恐怖を与えてしまっただけなので、どうか寛大なご処置を……」
騎士団長としてはもはや公爵側の慈悲にすがるしかない。
やたらとバルドリックの若さと不器用さを強調する。
「いくら若いと言っても、婚約者もいらっしゃる御方が『女性の扱いに不慣れ』? それって問題じゃありません事?」
公爵夫人さらにつっこむ、返す言葉がなくて伯爵は汗だく。
あれ?
なんか今ちらりとこっちを見られたような?
父やバルドリック、そしてバルドリックの父の伯爵もみな私を見ている。
私に何を言わせたいのかしら?
では、期待に応えて……、発言するとでも思っているのでしょうか?
「あの、よろしいでしょうか? 彼は『不慣れ』なのではなく、女性が自分の思う通りにふるまわないとすぐに威圧的になるのです。その態度は婚約者の私でも恐怖を感じるものでした」
彼らの期待に反して、私は日ごろ感じていることをぶちまけた。
「「「おい、シュザンナ……」」」
期待外れの私の発言に彼らは焦りと憤りを示した。
「それはフェリシアに対してだけじゃなく女性全般への態度としてどうなんだろう。騎士道精神から見ても好ましくないような気がするが?」
フェリシアの兄、近衛隊に入ってらっしゃるエドゼル様がおっしゃった。
赤みがかった金髪に、バルドリックにも引けを取らない長身でしなやかな体躯の方だ。
「私がいくら訴えても父は取り合ってはくれませんでした。そんなですからバルドリックの態度が改まることはなかったのです。お父様もヴィンクラー家の方々もそのせいで今の問題が起きてしまったことになぜ気づかないのですか。いやったらしく私が彼を擁護することを期待し、期待が外れれば恨みがましい目を向け……」
エドゼル様の言葉に感謝しつつ、私はさらに言葉を続ける。
「おい、そんなことここでいうことじゃないだろっ!」
習い性とは恐ろしいもの。
この場は、私や父、ヴィンクラー家の方々だけがいるのではないのに、バルドリックは立ち上がり、私を怒鳴りつけてきた。
「なるほど、そんな感じでご自分の婚約者を日ごろから、そして同じようにフェリシアを恫喝したのですね、よくわかりました」
エドゼル様が冷ややかにバルドリックをたしなめた。
「いずれにせよ、ご子息がうちの娘に理不尽な言いがかりをつけて恫喝したのは確かですし、女性に対してそれが習い性となっているようですな。このまま、普通に学園に通わせては、いつまた他の被害者が出ないとも限らない」
鶴の一声、今まで黙っていたブリステル公爵が口を開く。
これは暗に『退学』、つまりフェリシアの視界に二度と入ってくるな、と、いうことを意味している。




