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第71話 ブリステル公爵家へ【シュザンナ視点】

 それからずっと私は自宅に帰らなかった。


 帰ってきて話し合おうという父からの便りが毎日届いていた。だが、父の言う通りにはしなかった。バルドリックや彼の家の人間の言葉ばかり受け入れて、私の気持ちはわかってくださらない父とは顔を合わせたくなかったのだ。


 一週間後、しびれを切らしたのか、父が直接クラウゼ家にやって来た。


 伯母のクラウゼ夫人が対応に当たってくださった。


「何か御用でしょうか?」


「シュザンナはどうしたのですか!」


「娘の言い分に耳を傾けず嫌がる相手と無理やり添わそうとするような方が、どうして顔を見せてもらえると思ってらっしゃるの?」


「嫌がっているのは、シュザンナがまだご子息の良さを分かってないからだろう!」


「相手の人格や相性が悪さが原因と考えず、娘の見る目の問題とだけ考えてしまうことがまず驚きですわ」


「とにかく、緊急事態なんだ。バルドリック君が公爵家から抗議を受け、その弁明に行かねばならない。これは我が家とヴィンクラー家がともに解決に当たらなければならない問題だ。聞けばシュザンナもその場にいたというではないか」


 盗聴用の魔道具を夫人に持ってもらって、私やアデリー&ハイディも聞いていた。

 ついにブリステル家から抗議を受けたようだ。

 それにしても、父にどういう説明をしたら、あの時のことで私がバルドリックを擁護すると思えるのかしら?


「どうするの?」


「行くことないわよ。」


 従姉たちは言ったが私は同行することにした。


 彼女たちは心配したが、ブリステルというれっきとした『第三者』もいる場。

 クラウゼ家の人々を頼ってばかりではなく、むしろその場を利用して、私も一度徹底的に言いたいことを言わねばならぬと思ったのだ。


「だったら私も同行しましょう。その場にいたというのなら私も一緒だし、ブリステル家の方々も話を聞きたいのではないかと思うのよね」


 ハイディの申し出に父は嫌そうな顔をしたが、筋は通ってるので拒否することはできなかった。


 公爵邸に到着して応接室に入ると、すでにバルドリックとその両親。反対側の席にはフェリシアとその両親及び兄君がすでにそろっておられた。バルドリックは両親に囲まれて座らされており、私は彼らの近くに行くのが嫌なので、ソファの一番端に座りハイディに壁になってもらう。


「ええ、この度は息子がお嬢様にとんでもないことを……。ただ息子は純粋に王子殿下への忠義のため、そこのところをご理解いただければと……」


 バルドリックの父ヴィンクラー伯爵は言い訳に必死。それもそのはず、伯爵は騎士団長だが、さらにそれを統括する国の防衛のトップにいるのが公爵なのだから。


「あら、生徒会でもエミール殿下に非があることを認めているとうかがいましたわ」


 フェリシアの母ブリステル公爵夫人が踏み込んでくる。


「はい、生徒会の見解はおっしゃる通りでございます」


 ハイディが公爵夫人に答えた。私も横でウンウンとうなづく。



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