第67話 生徒会長としての報告
それから約十日後、バルドリックの両親やクラウゼ姉妹の報告を受け、私はあることを生徒会の面々に伝えねばならなくなった。
つい先日、エミールへの処分を伝えたばかりだというのに気が重い……。
その日は、バルドリック以外の新入生全員に生徒会室に顔を出すように言っておいたので、リーニャ、ミリア、シュザンナ、ペルティナにザロモと五人全員が顔をそろえている
「皆に報告がある。君たちと同じ新入生のバルドリック・ヴィンクラーだが、学園を辞めることとなった」
生徒会役員と新入生の前で私は告げる。
「そんな、突然に!」
ミリアがまず驚愕の声を上げた。
反対にリーニャの方をチラ見すると、安どの表情をしているように見えるのは気のせいだろうか?
「確かにそうだな。彼は学園をやめてドゥンケルヒンターの森中にある駐屯地の一つに派遣されることとなった。そこで一騎士として経験を積みながら魔法の使い方を学ぶそうだ。急なことで君たちにお別れを言えなかったことは残念がっていた、と、ご両親からことづけをもらったよ」
ドゥンケルヒンターの森とは我が国の南側をのぞいたすべての方向を覆うように囲んでいる魔物の出没する森のことである。我が国はこの森によって大陸の他の国から隔離されていて、魔物が増えすぎて王国に侵入してこないよう定期的にそれらを狩る駐屯騎士団が、森の中のいくつかの拠点に派遣されている。
「あの、私たちは魔力持ちは皆、魔法の使い方を学ぶために学園に入学することを義務として定められているのではなかったですか。それなのに駐屯騎士団って?」
リーニャがためらいがちな口調で質問をした。
「基本的にはそうだが、他のところでも教えられないことはない。駐屯騎士団の屯所では新米騎士に魔法を使った戦い方を教えている。様々なことをまんべんなくやる学園と違って戦闘技術に特化しているから、彼にはその方が向いているのかもな」
私は説明する。
「ここでは元気があり余り過ぎるのか、他の生徒との悶着もいくつか報告されていたから、あちらの方が水を得た魚のようになるかもしれないな」
サージェスはフェリシアを含む数名の女生徒への因縁をほのめかしながら補足説明をした。
「駐屯騎士団って男性が多いのですか?」
ミリアがさらに質問する。
「学園よりは割合的に多いだろうね」
私が返答する。
「へえ、じゃあ、彼が他の女子に目移りする心配が減ったってことね。今回の決定はもしかしてシュザンナの意思も入っていたの?」
おやおや、ちょっと皮肉めいた口調で意地悪な質問。
だけど当のシュザンナは動じなかった。
「彼との婚約でしたらこの度解消になりましたから、あなたの推測は外れていますわ」
今までで一番晴れやかな口調でシュザンナは答え、意表を突かれたミリアは絶句し、しばらくしてから小さくつぶやいた。
「どうしてここまでシナリオから外れたことばかり……」
彼女の言葉で私にもかろうじて聞き取れたのはこの言葉だけである。
次回からは、時間的に少しさかのぼり、シュザンナ視点での婚約解消の顛末を描きます。
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