第57話 生徒会への報告
生徒会に顔を出せたのは事件が起こって三日後だった。
エミールのことを皆に告げるのは気が重いが、王族の関係者及び生徒会の最高責任者として言わねばならぬ。
「報告がある。エミール第二王子殿下だが、彼はしばらくの間、生徒会室への出入り禁止処分とするので、皆もそのつもりでいてほしい」
できるだけ感情を表に出さず告げてみたが、みんな、特に一年生は騒然となった。
「待ってください、いきなり怒鳴り込んできたのはフェリシア嬢でしょう。どうしてエミール様の方が罰を受けるのですか?」
ミリアの言葉に、そうだ、そうだ、と、特に男子生徒の方から同調の声が上がる。
いっしょに陰口を叩いていた面々だ。
「まず、君たちの誤解を解くことから始めよう。君たちはエミール殿下の話から、フェリシア嬢のわがまま勝手で、生徒会の業務を拒否したかのような印象を抱いているみたいだがそれは間違いだ。ここから先は王宮内部のことでもあるのであまり詳しくは離せないが、フェリシアは私やエミールの王宮での仕事を肩代わりしてくれていたから、生徒会の活動ができなかったのだ」
私は一気に話した。そして呼吸を整えさらに話を続ける
「彼女がそうしてくれたおかげで私とエミールはここの活動に専念できた。彼女はいわば生徒会活動の陰の功労者と言ってもいい。にもかかわらずどういう意図でかは知らぬが、生徒会室で彼女を貶めるような発言をエミールは繰り返した。そんな『恩知らず』は生徒会にはふさわしくない!」
厳しいやり方だが、生徒会の方針をみんなに伝えるためにはこの処分は不可欠だ。
「で、でも、フェリシア嬢がやっていたのは王宮で優雅にお茶を飲んでいただけだって……」
ミリアが反論する。
それにザロモやバルドリックも同調したようにうなずく。
「知らないの? 私たちの年頃の貴族の娘が上位の者と頻繁にお茶を飲むのって、今まで身に着けた教養を試されているの。優雅だなんてとんでもないわ。将来のために知識を座学で身に着けるのが基本編なら、お茶を飲みながらそれを駆使した会話を練習するのは応用編のようなものなのよ」
ペルティナが少々馬鹿にしたように反論した。
「確かに、私も王妃陛下から教育として受けていたけど、今年は生徒会に集中したいからとお休みをさせてもらっているんだ。その分、フェリシアが集中して受けてくれていたのだがね」
ペルティナの話を私も補強する。
私たちの場合、教養に関しては私もフェリシアも王妃以上のものを持っているので、ご機嫌取りの要素が強かったが。
「友人とのお茶も楽しめないのに、そんな気の張るティータイムはこなさなきゃならないのを『優雅』呼ばわりされちゃね。ミリアやリーニャは知らなくても仕方がなかったけど、あんたらは馬鹿? そこの男連中のことよ。自分たちがそれをする必要なくても姉妹や婚約者がしているのを知らなかったとでもいうの? エミール殿下の言ってることがちょっとはおかしいとでも思わなかったの?」
ペルティナが厳しく、バルドリックと自分の弟のザロモに詰問した。
相変わらず容赦ないなこの娘。




