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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第3章 いよいよゲーム開始
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第46話 我が敬愛する王太子とその婚約者【従者トロイア視点】

 王宮騎士団に所属していた私が王家の世子の護衛に抜擢されたのは二十三歳の時。


 護衛対象は三歳のジグムント王子、のちに王太子となられた方である。


 当時はまだジグムント様の祖父が王位についておられ、父君は王太子であった。


 王太子であった父君は結婚の際にいろいろ問題を起こされ、当時の国王はエシャール嬢を妃に迎えるのは許すとしても、二人の間に生まれた嫡子は祖父である自分が教育すると宣言し、ジグムント様は生まれるや否や両親から離された。


 祖父君はジグムント様に徹底的な帝王教育を施した。

 これは息子がそれを理解しなかったゆえ、孫に期待をかけたともいえる。

 同時に、乳母などには愛情深い者をつけ日常生活の世話をさせたので、両親から離されて育てられたが故の暗さはみじんも感じられなかったのが救いだ。


 ジグムントさま七歳の時、祖父の王がなくなられ、父君が王位に、母君のエシャール様が王妃に、そして、彼も王太子殿下となられた。


 そして、ジグムント殿下十一歳の時、ヴァイスハーフェン家のサラ嬢との婚約が決まる。


 サラ様は少し風変りなところのある令嬢だ。

 どこが、と、問われれば具体的に上げるのは難しいのだが、とにかく言動が高位貴族の令嬢にしては庶民のように親しげに見えたり、聞いたこともない言葉を駆使したり、そういうところが殿下には新鮮に映ったのかもしれない。


 ご両親とは離れて暮らしたが故、その距離はなかなか埋められなかったが、サラ嬢に対しては殿下自ら積極的に距離を埋めようとするところがあった。


 少々堅苦しい言い方をしたが、要するに、王太子殿下はサラ様を気に入っているのである。


 それについては、サラ様は少々鈍いような気がする。


 あまり色恋沙汰に興味が向かない性質なのだろうか?


 まあ、それならそれでよし。

 エシャール王妃のように、学園時代に現在の夫である国王陛下のほかにも、あまたの高位貴族の令息をたぶらかし……、ゴホン……、距離を縮めていたことを考えると、そのくらいの方が貞操観念もしっかりするだろうし、好ましいというものだ。


 ただ、そっけなさすぎて、王太子殿下は不安に感じることがあるようだ。


 この前など、休みの日を一緒に過ごすために何度も誘いをかけていたのに断られ続けた王太子は、よりによってサラ様の『浮気』を疑い、自ら尾行をおこない、その行き先を突き止めたりした。


 殿下ご自身が魔法の変身技術や探索技術を駆使すれば、造作もなかったのだろうが、部下にすら任せず自らそれをやってのけるなど、まったく、サラ様のこととなると少々冷静さを失うところがある。


 結果『浮気』ではなく、殿下は上機嫌となられ、男装したままのサラ様と『身体的接触』を図りすぎて妙なうわさもたったらしいが、人のうわさもなんとやら、いつの間にやらどこかに消え去ったようである。


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