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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第3章 いよいよゲーム開始
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第45話 誤解によるうわさ

「うわさ、何の話だ?」


 父はけげんな表情をした。


「俺がさ、王太子とその……」


 ライナートが口ごもる。


「ああ、もしかしてあれか。王太子がさ、実は婚約者のサラよりその兄のライナートの方を気に入っていて、ゴニョゴニョ……」


 思い出したように長兄のオーティスが言うが、最後の方が言いにくそうにこれまた口ごもる。


「つまり、王太子殿下にはそういう性癖がおありと言うことなの?」


「おのれ、サラという者がありながら私の息子にまで手を出すとは!」


 母と父が口々に言う。


「いや、手を出された覚えはないって! だからどうしてそんなうわさが立っているのか、出所を確かめたくてさ。王都にいるみんななら何か知ってることがないかと思ったんだよ!」


 ライナートが言った。


「あの、よろしいですか? 実はその噂、私も耳にしたことがございます」


 後ろで控えていた執事が言葉をはさんだ。


「わたくしたち使用人は別の貴族のお宅の使用人同士で話をすることが良くあります。その時に聞きました。どうやら、貴族社会では割と広まっているようで、私以外にも若い娘たちが同じようなことを話しておりました」


 そういえばここのところ、メイドや侍女たちが私のことを何とも言えない目で見ることがよくあった。気の毒に、と、小さくつぶやく声が聞こえたこともある。


 どうしてだかはわからなかったがもしかして原因はそれか!


「私は全く聞いたことがなかった……」


「それは、当事者であるゆえ、周りが気を使われたのかもしれませんな」


「うわさでいいからお前が知っている内容を話せ」


「はい、まずは貴族の方々がよくいく食事処で向かい合って手を握り合っていた、とか……」


 執事は言った。


 ちょっと待って……。


「俺は王太子とそんなところに行ったことがないぞ」


「そっくりさんでもいたのかしら?」


 母とライナートが言う。


「あ、あの……、すいません、それは原因は私自身かも……」


 気まずそうに私は手を上げた。

 そして、最近男性に変身して相談所に通っていること。そのままの姿でジークと一緒に出かけたことがあることなどを家族に話した。


「なるほど、同じ青髪だし、サラが男に化けるとライナートに似てくるのかもしれないな。ちょっと、俺たちの前で変身してくれる?」


 オーティスが言ったので、私は言われた通り変身してみた。


「言われてみると確かに似ているか」


「血は争えないわね、でもライナートよりは少し華奢かも」


「遠目ならわからんかもな」


 家族が変身した私をしげしげと見ながら言う。


「見た目は男になっているけどやっぱり女の子のサラなのね」


 母が私に抱き着きながら言う。


「ええ、王太子殿下もそれを面白がって、その時は肩を抱いたり、手を握ったり、それで周囲が勘違いを……」


 私は説明した、でも、その説明はいらんところに火をつけたようだ。


「肩を抱いただと……」


「手を握っただと……」


「この誤解で広まったうわさの僕は純粋な被害者だから徹底的に怒っていいよね、そういうことをする王太子に……」


「あなたたち、サラと殿下は婚約者同士なんだからそれくらい……」


 家族四人は口々に言った。


 変身魔法の技術には他にも髪や目の色を変えたり、年齢や体形を変えたり、さらに進むと顔立ちなどを変化させる技術もある。妙な誤解を避けるためにも、私がそれらを重ね合わせて駆使できるようになるまでは変身魔法は封印することと相成った。




読みに来ていただきありがとうございます。

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