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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第3章 いよいよゲーム開始
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第43話 王太子はストーカー

 変身魔法の初歩、見た目性別を変える技だと、ベースが自分なので少々線の細い若い男性になる。


 しかし、市井の中で私の容姿を知っている人はいない。

 だから無問題。


 男性として相談の場に立ちあったらどうだろう?


 相談役として雇い入れたのは温和な聞き上手のおじさん。

 男装して相談所に来た日は彼の横で相談者の話に耳を傾けることにした。

 研修中の者が立ち会っているということにしたらそれほど不審がられることはなかった。 


 人によってはもっと若い人物や女性の方が話しやすいケースもあるので、いずれ一人で顧客の相談にも乗れるようになりたい。


 高位貴族の生活しか知らない身ゆえ市井の者たちの相談内容は常に新しい発見があり、私にとっては非常に興味深かった。それゆえ、学園が休みの日には必ず相談所に足を延ばすようになった。


 しかし、それを少々やりすぎたようだ。

 休日のたびにジークのお誘いを断ってしまっていた。


 よくよく考えてみれば、私の仕事も肩代わりしてくれていたジークなのに……。

 エミールのことを批判できないな。


 そしてついにばれてしまった。


 いやはや、ジークも変身魔法を使って相談者のふりをしてやってきたのだよ。

 彼は性別ではなく見た目の年齢を変える魔法で老人のふりをしぼろをまとってやってきた。


「できればお若い方に話を聞いていただきたいのですがな。その、相談したいのが若い者の気持ちに関わることですので……」


 老人にそう言われ、常駐しているおじさんことエクレレ氏は退出した。


 初めてのご指名にドキドキしながら私は老人の正面に腰かけた。

 すると老人は口を押さえてくすくす笑い出す。

 何か不自然なところでもあったのだろうか?


「よく化けているけど、僕の目はごまかせないね、サラ」


 見た目老人の御仁から聞きなれた声が響いてきた。


「えっ、ジーク!」


「あたり、変身術はうまくできているけど、光による看破術を身に着けている僕にとっては児戯にひとしい!」


 光属性が強い人間は騙されにくいとよく言われる。

 全てのことを白日の下にさらすのが能力の基本とされる光得意の人間は、直観的に他人の嘘を見破ったり、発言の矛盾を突いたりするのにもたけている。


 また、他の者が使った魔法の種類を見破る「看破術」というのは光属性の人間が得意な技だ。


「僕の誘いを断って休日のたびに何をやっているのかと思ったらまさかこんなことをしていたなんて」


 ジークはニコニコと笑った。


 あのね、王太子自らストーカー、もとい、刑事や探偵のようなまねをするか?

 疑惑を抱いたなら、部下に後をつけさせるのが普通でしょうが!

 いや、それはそれで、こっちとしては困るのですけどね。


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