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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第3章 いよいよゲーム開始
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第40話 婚約者はクソ脳筋ヤロー

「じゃあ、エミール王子殿下は自分の仕事を肩代わりしてくれている婚約者のことをあんな言い方したのですか?」


「最低!」


 一緒に聞いていたアデリーとハイディが言う。


「うん、わたしもそこがちょっとね。もしかしたら、話がちゃんと伝わってないのかもしれないし、もう一度ジークにでも確認してみるよ」


 興奮気味にしゃべりだした双子の姉妹に私は言った。


「それにしても、当人同士が意思確認していないなんてありえるんですかね? フェリシア嬢はエミール殿下のためにご自身の学園生活を犠牲にしているようにも見えるのに……」


 サージェスが顔をしかめながら話す。


「う~ん、聞いた話に過ぎないのだけど、流れ的にね、フェリシアがエミールより上位の成績をとったのが気に食わない連中がいて、それを抑えるためにも……、的な……」


 私は少々言いよどんでしまった。


「ちょっと聞いた、アデリー!」


「聞いたわよ、なんだかどこかで見た風景!」


 双子姉妹の口調がまた高ぶってくる。


「あの、アデリー、ハイディ……」


 私は戸惑いながら二人に声をかけた。


「サラ会長、今日のシュザンナの自己紹介、どう思いました? 元気がなかったでしょう」


 ハイディが言った。


「元気がないというか、おとなしい子なのかな、と、思ったけど……」


 私は答える。


「たしかにおとなしい子だけど、私たちと一緒の時は楽しくてかわいいところいっぱい見せているのよ。婚約者の前だとあんな風に無個性で引っ込んだふうになるの」


 アデリーが説明する。


「それは、婚約者の前だと緊張するとか、猫をかぶってしまうとかってことですか?」


 サージェスが言う。


「ちがうわよ。あのクソ婚約者はちょっとシュザンナが自分の見解と違うことを言ったら罵りまくるし、暴力を振るおうと脅しにかかるの。実はあの二人の親同士が友達で決まった婚約らしいから、シュザンナがいくら父親に訴えても聞き入れてもらえないらしいのよ」


 今度はハイディが説明した。


「それは、なんだか穏やかならざる話だね」


 私は言った。


「テストの成績でも、シュザンナの方が上だったでしょう。それをバルドリックは文句言ったのよ」


「シュザンナに勉強を教えてもらったから上位の成績がとれたくせにね」


 なるほど、そこがフェリシアとエミールのケースと同じというわけか。


 ただ、第三者の話だけで判断するのは早計だ。

 さっきの話を本人の口からも言ってくれればこちらも力になれることがあるかもしれないが。


 それにしても、クラウゼ姉妹の話だと、乙女ゲームの内容とは大きく異なるな。


 バルドリックの婚約者のシュザンナは、彼のことが好きで好きでたまらなかったが、おとなしい性格ゆえにそれがうまく表現できず、それで、天真爛漫なヒロインに奪われてしまうってストーリだったが……。



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