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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第3章 いよいよゲーム開始
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第34話 朱鷺色のヒロイン【リーニャ視点】

 エルフの血を引く王侯貴族が統べる魔法の国。


 二十一世紀の日本からの転生者である私ことリーニャ・クルージュ。

 近代日本人として生きた記憶を持ちながら、この世界に適応するのは並大抵なことではなかった。この世界は王家を中心とした封建体制で、人々の生活も産業革命以前の人力を主体としたもの。


 それでもうちは父や私が魔力持ちであったためまだましだった。


 例えば、私のアイデアをもとに、父の冷却魔法を込めた魔石を木で作った箱に入れて作った簡易冷蔵庫。それにうちでは食料品を保存していた。


 これが公爵家の公募で採用され、父は男爵の位までいただくことができたの。


 私のアイデアで貴族になれたんだよ。

 生活レベルはそれでも平民よりちょっとましなレベルだけど。


 生活の大変さより、今までの常識や価値観が全く覆されてしまった世界に一人投げ出されてしまった孤独感、そっちの方がきつかったわね。


 でも、それを癒してくれる存在は身近にいた。


 近所に住んでいる私と同い年のミリア、山吹色の豊かな髪に鮮やかな緑の目をした美少女、さらに、私と同じ魔力持ち。


 お互いに日本からの「転生者」だと知ったのはいつだったのか?


 細かくは覚えてないが、当時の日本の社会や文化を知っていなければ出てこないだろうという語を彼女が時々使うことがあり、それで気づいたと記憶している。


 例のアイデアも『冷蔵庫』だとミリアはあっさり看破したわ。


 この世界の生活や常識になじんでいこうと必死にもがきながらも、時々は懐かしい日本での生活を語り合うことができる、そして、前の世界と今の世界の違いからくる常識や感覚のずれを理解してくれる存在がいるという事が、生きていくうえでどれだけ励みになったかわからない。


 私たちは明日『魔法高等学園』に入学する。


 普通貴族は平民より魔力が多いと相場はきまっているけど、それでも先祖帰りのように平民の中にも魔力の強い子が生まれる。


 そんな子供にも等しく学ぶ機会を与えてくれるのが学園。

 もちろん学費も国費でまかなわれる。


 学園は王宮の近く。

 我が家は王都の東南の端の方にあるので、毎日通うのは遠すぎる。


 だから私とミリアは明日、学園の寮に入る。


 荷物をつめているとミリアが顔を出した。


「準備できた?」


「今やってるとこだよ、ミリアは?」


「できたから来たんだよ。相変わらずフワフワだね」


 ミリアは私の髪に手を伸ばして言った。


 それを言うなって。

 私のコンプレックスなのに……。


 私の髪の色はちょっと変わっていて黄色みがかった薄い桃色。


 初等学校の頃から、特に男子たちに「ピンク髪」とか「ピンク頭」とかからかわれていた。。ついでに言うと、クセ毛で髪質が細すぎるせいで、あまり長く伸ばすと先の方で毛先が絡まるから肩くらいまでしか伸ばせない。


 それで泣いていた私に、ある教師が、君の髪は朱鷺(とき)色だね、と、言って慰めてくれた。


 朱鷺とは前世の日本で絶滅危惧種だった鳥。

 その風切り羽に似た色を『朱鷺色』というそうだけど、私はひそかにその言い方を気に入っている。

 

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