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悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない  作者: 玄未マオ
第2章 乙女ゲーム開始準備
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第30話 王族と生徒会

 私やジーク王太子の生徒会活動は滑り出しは順調でしたが、少し難しい面もあった。


 学園に入学する十五歳くらいから王族の義務として様々な仕事を任されるようになる。王族の義務としてやらなければならなくなるのは、大人としてみなされる年齢が昔は今より若かったので、学園入学時と被ってしまうからだ。


 学園の生徒、生徒会の役員、さらには王族、と、現在ジークは三足の草鞋(わらじ)を履いている状態だ。


 十五歳になったばかりの若き王族が任される仕事は、昔は各地の視察や魔物討伐遠征への同行もあったが、今は学園での勉強もあるため書類仕事のみになっている。


 ジークは歴代王族と比べても優秀であったため、生徒会役員候補にも選ばれそれが忙しさに拍車をかけている。


 私とジークは生徒会が終わると王宮に直行し、やらなければならない仕事を一緒に片づけることにした。


「サラ、僕のことは気にしないで君は自分の仕事を片付けたら……」


「大丈夫よ、ジーク。私の書類仕事はこれだけ。終わったらあなたのも手伝うわね」


 自分が処理しなければならない書類の束をジークの執務室に持って行き、いっしょに片づけた。


「サラ、ありがとう。君が婚約者でよかった」


 ちょっとむずがゆくなるほどの誉め言葉だ。

 仕事を手伝っているからだよね。

 他のゲームや小説に出てくる悪役令嬢も婚約者の仕事を肩代わりして、ブラック労働にいそしんでいたものね。


 いたわりの言葉をかけてくれるだけいいじゃないか。


 と、言うか、正直うれしい。


 それにしても、副会長の時にこれでは、三年になって生徒会長にでもなったら一体どうなるのか?


 現に、同学年の中で最も優秀なジークを次期会長候補となる副会長にしたが、別の人間に変わった方がいいのではという声もちらほら出てきている。


 ジークの表情を見ていると、生徒会の業務にもやりがいを感じているのはわかる。


 人生の中でただ一度の学生生活。

 そこでやってみたいことを王族であるからとあきらめさせられるのは酷だ。


 一年が過ぎ私たちがそれぞれ進級する前、私は決意した。


 王宮の執務室、いつものように一緒に書類仕事に入る前に私は言った。


「王宮での仕事は全部肩代わりするから、ジークはこの一年、生徒会の活動に全力をそそいで」


「サラ、君は……」


「いや、別にジークのためってわけじゃなく、一年ぐらい優秀な王太子を学園が独占してもいいんじゃないかなって……」


 そう、つまり学園益のためでもある。


「素晴らしい」


 いつも空気のように存在感の薄い従者トロイアが言った。


「しかし、それではサラの学園生活が犠牲になる」


「一年くらいかまいませんわ」


「しかし……」


 ジークは渋い顔で私を見る。


「殿下、サラ様の殿下を思うお心を無下にするのはどうかと思いますが」


 トロイアが援護射撃をしてくれた。


「わかった、サラ。甘えさせてもらうよ、ただし条件がある」

読みに来ていただきありがとうございます。

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