第17話 父の毒舌全開
「残念なことに、フェリシア嬢は『赤のブリステル』の性質を全く受け継いでいないようで、その辺もサラ嬢とは大違いですな」
フェリシアへの陰口は続き、わざわざそれを父に言いに来る貴族もいた。
彼女と比較して私を持ち上げれば父の気分が良くなると思ったようだ。
でも、当の本人としてはそんなほめられ方をされてもうれしくはないのだよ。
嫌味な貴族が言う『赤のブリステル』と言うのは、五大英雄の髪色に基づく国民のイメージである。
ヴァイスハーフェンは青。
だから私の髪はぴったりだと言いたいのだろうが……。
「はっはっはっ、貴殿はあまり歴史に詳しくないと見受けられますなぁ!」
うわっ!
父がこの笑い方をしたってことは、歯に衣着せぬ毒舌がさく裂する前触れ!
「五大英雄の話ほど有名ではないが、その英雄の嫡男が森の外から来た銀髪の美女を妻に迎えたことはご存じですかな?」
「え、そうなのですか……」
おべっか使いの貴族が父の意外な反応にうろたえている。
父、かまわずしゃべり続ける。
「ええ、その美女は治癒能力に優れた『聖女』と呼んでも差し支えのない存在で、メレディスの英雄とともに、治癒魔法の仕組みを解析し今の体系を構築したのです。フェリシア嬢の銀髪はその美女ゆずりなのでしょうね」
いわゆる先祖返りってやつ、フェリシアの髪色って。
「髪色が英雄のそれと違うからって他の家の者バカにされるとは、私なら絶対耐えられないですな」
おべっか使いの貴族、及び、それに同調するその1、その2、エトセトラ。
皆乾いた笑いを浮かべる。
「わが嫡男は妻ゆずりの橙色の髪なのですけどねぇ」
父、とどめのイヤミ炸裂。
そうなのよね。
長兄のオーティスの髪は、私や次兄のライナートとちがってオレンジっぽい色で、本人はそれを悩んでいた時期もあったらしい。
青髪を譲り受けているライナートの方が跡継ぎにふさわしいのではないか?
そう父に余計なことを言いに来る貴族もいたらしいから、こういう話題はうちの家族にとっては、実は地雷なのだ。
「それにしても十一歳の少女の体調不良をおもんばからず陰口、その家の『民度』がわかるというものですわね、ほほほ」
母、扇で口元を隠しながらイヤミ。
とどめを刺したのは母の方だったかも。
なんにせよ、グッジョブ、お父様、お母様!
『婚約破棄された公爵令嬢ですが、魔女によって王太子の浮気相手と赤ん坊のころ取り換えられていたそうです』
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ヒロインの父が言っていた『森の外から来た銀髪の美女』は、こちらのお話のヒロインです(完結済))。
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