第114話 言いがかりの末軟禁される
「だから、私は反対したのです!」
「落ち着くのだ、王妃よ」
何かが叩きつけられて壊れる音がする。
すさまじいな……。
エミール王子の大けがの知らせを受けてからずっとこれだ。
荒れ狂う王妃とそれをなだめる国王。
「サラ、母上のことは父上に任せて僕たちは行こう」
部屋の外まで漏れてくる騒ぎを聞きながら立ちすくんでいた私に、王太子ジークは言った。
「心配しなくても、エミールの容態は持ちなおしたらしい。もうすぐ特使たちも帰ってくる。君が推薦した子もいたんだったね」
私たちは国王夫妻が特使に謁見する間の隣の部屋に待機していた。
するととんでもないことが!
ブリステル家のエドゼル殿が反逆罪で拘束され、私が推薦したリーニャも含めた他の三人も王宮の一室に監禁。
「父上、どういうことです! なぜエドゼル殿を!」
「なにがあったか詳しくお話していただけますか。拘束された者の中には私が推薦した者も……」
ジークと私は国王に説明を求めた。
「ヴァイスハーフェンのサラ。今までよくもジークをだまして王家に災いを持ち込んでくれたわね」
王妃が私に向かって言う。
王家に災い?
私がエミールに厳しい態度をとったことを言っているのか?
「この娘も城の一室に監禁せよ。王家に災いをもたらす可能性のあるものだ!」
えっ!
ジークは怒ってくれたが、私は衛兵に両脇を抱えられ連行された。
連れていかれた部屋はそれなりに格調の高い、天蓋ベッドつきの上客を泊めるための客間。
さて、どうしたものか?
なぜこのようなことが起こったのか、事態がよめない……。
情報が少なすぎる。
私はさっきの王妃との会話を思い出し吟味した。
『ブリステルのフェリシアとヴェルダートルのハーフエルフを結び付けたのはあなたでしょう』
『そういうごまかしで学園に潜り込ませたのね。その男子生徒のフェリシアへの入れ込み方は尋常ではないとの評判でしたわね』
貴族間の礼儀作法を知らない男子の率直な賛辞と言う程度にしか、私はティオのフェリシアに対する発言を受け止めてはいなかった。
ティオレ・ダートルがヴェルダートル、確かに似ているが……?
そしてハーフエルフ、だとしたら、なぜ平民上がりの生徒があそこまでずば抜けた魔法の才を示したのかというのにも説明がつく。
ああ、そうだ。
私だってミリアの素性をごまかすために、魔物に襲われた生き残りの平民というストーリーを作った。
それと同じ手段でティオレを学園に送り込んだ者がいるというわけだ。
国王夫妻はフェリシアとティオレが結びつくのを恐れ、それに「反逆」という言葉を使っていた。
王が王たるゆえんは強い魔力でこの国を魔物の脅威から守っていること。
フリーダ女王以前は違うが、それ以降はそのことが王家の権威を裏付けている。
そして、個々の魔力をより強くしている原因の一つはエルフの血。
今の王家はミューレア王妃によってエルフの血が混じってから数百年経った。
それよりも血の濃いハーフエルフと血のスペアともいうべき公爵家の令嬢が結ばれれば、今の王家よりも王にふさわしい存在になるかもしれない。




