第102話 地震
「ふわぁ……」
今日のフェリシアは生あくびばかり、こんな気の抜けた彼女を見るのは初めてだ。
「どうしたの?」
「あ、ごめんなさい。昨夜は読書に夢中になってつい夜更かしを……」
「へえ、フェリシアもそんなことがあるんだ。どんな本?」
「え、あの……、えっと……、タイトルは忘れちゃいましたわ……」
寝るのも忘れて夢中になっていたのにタイトル忘れた?
「こんちゃ~! ふわあぁ……」
生徒会室の扉があき今度はティオが入って来た。
勢いよく入ってきた割には気の抜けた生返事。
それを見てフェリシアがまたつられあくび。
「たるんどるぞ、今日は巡回組と一緒に学園を回るぞ、僕も一緒に行くからな。役員候補の新入生の半数は実働部隊として学園のために働くことも期待されている。ティオは魔法の実技が特に優秀らしいから、こういう実践的な役職の方が向いているかもな」
サージェス副会長がティオに活を入れる。
フェリシアがそれを見てくすくす笑った。
私は実年齢はまだ十八だが頭の中はそれ以上なので、共にあくびとか、そんな親密さを感じさせるような態度を見せられると想像力が暴走しちゃうよ。
そんなことを考えていたら突然!
「「「「「!!!!」」」」」
足元が大きく揺れた。
「みんな、頭を守って!」
私は皆に向かって叫んだ。
地震大国日本では当たり前の知識だ。
しかし、フェリシアやサージェス副会長は違った。
フェリシアはきゃあきゃあ大声を出し頭ではなく耳に手を当てている。
サージェス副会長は扉につかまり動けないようだ。
揺れがおさまってもフェリシアは半べそ状態だし、副会長はその場に座り込んで呆然としていた。
私は周囲を見回した。
棚の上の物が少し落ちたくらいで特に被害はない。
体感だが震度三くらいだろうか。
「まず学園内の被害の把握、役員を全員ここに呼べ。そして学園内の被害の確認と怪我人の救助。それが私たちのやることだ」
私はサージェスにはっぱをかける
「わ、わかりました……。すいません」
副会長はようやく落ち着いたみたいでゆっくりと立ち上がった。
「あれ、ティオレは?」
副会長のそばにいたティオレの姿が見えない。
「あいつ、外に飛び出していったのか?」
慌てて……?
地震の時にそれをやるのは悪手だけど。
しばらくすると、クラウゼ姉妹やリーニャなどいつも生徒会室に集うメンバーの他、普段は学園中を回って活動している委員の者たちが集まってきた。
「まず、行内巡回組は学園中を見回って怪我人がいないか確認してほしい。軽い怪我なら保健委員会の者たちで処置してくれ。救急隊を呼ぶのは重傷者がいた時のみ。王都の方でも怪我人が出ているだろうから病院は忙しいだろう。学園で対応できるところは対応していこう」
私は号令をかけた。
「すごいな、こんな初めての状況で冷静に……、さすがは未来の王妃……」
サージェスがつぶやき、フェリシアも同意するようにうなづく。
ただ前世の経験で慣れているってだけなんだけどね。




