第98話 新しい友人たち【フェリシア視点】
元婚約者のエミールが駐屯騎士団に去ってしばらくたったある日、私はサラ様より生徒会の活動に参加してみる気はないか、と、声をかけられた。
もともと学園にてサラ様ともっとお近づきになりたかった私は狂喜乱舞したわ。
見た目は平静を装っていたけど……。
生徒会の新入生は最初のメンバーから約半数が学園を去り、今はリーニャ、ペルティナ、シュザンナの三名だけとのこと。最初の日は緊張したけど、皆様本当によくしていただいた。
特に同じクラスのリーニャとは最近一緒に行動するようになったの。
あの階段落ちの事件の時、リーニャが必死に真実を訴えようとしていたことはペルティナから聞いた。エミール王子がらみの件で何かと名前が挙げられていたリーニャだけど、そのこともあって、公爵家では彼女に対してそれほど悪い印象は持っていない。
ミリアに冤罪をかけられそうになった私と突き落とされたリーニャ。
エミール王子をはさんでライバルのような見方をされていた私たち。
不可解な構図は他の生徒たちの想像力をかきたて、知らない部分を「想像力」で補われいろいろと言われたものだけど、しばらくたつと落ち着いたみたい。
そしてさらに新しいメンバー、ティオレ・ダートルと言う平民出身の男子生徒がくわわった。
人の顔をまっすぐ見てじかに誉め言葉を伝える御仁は初めてだったので、少々うろたえたけど悪い人ではないみたい。サラ会長からも、貴族でない彼はこちらの常識とは違う言動をすることはあるけどあまり気にしないように、と、言われたもの。
ある日のこと、彼のクラスとの合同授業があった。
学園の裏手にある少し開けたところで風と土の魔法の扱いを学ぶ。
土魔法で頑丈な壁を作り、風魔法でそれを攻撃する。
守り手(土)と攻め手(風)に分かれ最後には団体戦も行う。
二属性の扱い方だけでなく、集団で協力して魔法攻撃あるいは守護の方法を学ぶのが主な目的。
「よう、風魔法って言ったらフェリシアが得意なんだろ。なんかコツを教えてくれよ。ほら、あっちあっち、俺だけにこっそり教えてくれよ」
アリシアやエリーゼ、そしてリーニャと一緒にいた私にティオが話しかけてきた。
そして、少し離れた木の陰に連れて行かれ人目がないのを確認すると、彼は私に意外なことを聞いてきた。
「なあ、あんた、今の生活がつらくなかったりしないか?」
「どういう意味でしょう?」
「ウ~ン、俺の親父が心配してるんだ。あんたの叫びをしょっちゅう耳にしていたって」
「確かダートル様でしたわね。そんな名字の方は知りませんし、あなたのお父様がどうして私の心配をされるのですか?」
「いや、まあ、そうだが、とりあえず学園で嫌なこととかないのか?」
「以前はとても忙しく学園生活を楽しむ余裕がありませんでしたが、今はそうでもありませんわ。よいお友だちにも恵まれています」
「そうか、ならいいけど……」
「それより先生が呼んでらっしゃいます。早く行かないと」
私は話を打ち切りみんなのところに戻った。
それにしても何だったのでしょう、先ほどの奇妙な質問は?




