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罪の勇者の誕生

罪状……

「ふざけるな……ふざけるなッッ!!!」


こんなことが有ってたまるか……一番功労したやつが報われない……

ふざけるなッ!あいつは……まだ……死ぬべきじゃなかったのに……


「俺が……身代わりになれば……俺が死ねば……よかったのに……」


くそ……くそ……

何もかもが終わった。

俺の中では虚無感で埋め尽くされた。


もう、なにもかもいいや。


俺は彼女のお墓を模したものを作り、彼女からもらった短刀を置いた。


「どうか……安らかに……」


俺は悟っていた。

きっとあの攻撃はマナをずっと苦しめるものなんだと。


この時、俺は蘇生手段というものを知らなかった。

実は町でそれが高額でできることを知らなかったのだ。


だが、たとえそれができたとしても金がない。


もう八方ふさがりだ。


俺は心身ともに疲れ切った体で町に戻った。


帰る途中何回も思った。

あの攻撃さえなければ……

俺がもっと強ければ……


その思いが……ここにつながる。


——


「よぉ?帰ってきてたのか?」


俺は視界を凝らしてよく見ると、一か月前から遠征に行っていたS級冒険者「ウラド」だった。


「……今日は誰とも話したくないんだ……ほっといてくれ……」


こいつとの仲は悪い。

出来れば関わりたくないのだ。


こいつは貴族の次男。それもこの町を統治している貴族の息子だ。

きっと名声や富は親のものだろう。


しかし、皮肉なことに実力はある。

だが、俺と同等なのだ。


S級冒険者と言われてはいるものの、親のコネで上がれたようなものだ。


こいつと出会ったのは俺がB級になった時だ。


マナが男に言い寄られているのを見た俺は止めに入った。

その言い寄っていた相手がこいつだったのだ。


その時は引いてくれたがその後もマナにアプローチを何回もかけてきていた。

だから嫌いなのだ。顔だけで寄ってくるこの害虫が……


マナはそこそこの美人だ。そりゃ、ナンパも多い。

しかし、相手がA級冒険者と分かれば下手に手を出してくるやつはいなかった。

しかし、こいつは違う。


自分はS級だからこいつと釣り合う、そう思っていたのだろう。

俺は、その傲慢な態度が嫌いななのだ。


「おいおい……相方が居ねぇじゃねぇか?……あ!もしかして……喧嘩でもしたか?

あははは!こりゃ傑作だ!自分で俺から守っておいて放っておくとは……とんだクズだな!そんな男……さっさと振って俺の方にくりゃいいのに……」


「うるせぇ……黙ってろッ!」


俺は殺気を込めながら言った。

もうマナのことを話題に出してほしくなかったのだ。


いくら俺でも中身は中学2年。衝撃がデカすぎる。

現実逃避する時間も欲しいのだ。


するとウラドは俺をにらみながらこう言い放った。


「おい!お前はこの町に住んでいる冒険者だろ!?分かっているのか俺にそんな態度をとってただで済むと——」


俺は話の途中で切り上げ無言で立ち去って行った。


そして、町の中に入っていった。


町の中はわいのわいのと大騒ぎ。

きっと、安心したんだろう。


俺はこの光景を見たくて頑張ったわけでもなんでもないが、この光景には目を引かれるものがあった。


「おい!主役の登場だ!」


「ランバ~こっち来て一緒に飲もうぜ~」


他の冒険者たちが話しかけてくる。


「悪い……疲れているんでな……」


俺はそう言ってギルドの受付に向かった。


カウンターの受付嬢に話しかけこう言った。


「報酬はマナの分、俺に渡してくれ。」


受付嬢はびっくりしたように俺に聞く。


「え!?なんでですか?マナさんにはお渡ししたいんですけど……」


俺は小さく言った。


「あいつは死んだ。ゴブリンデストロイとの戦闘で、遺体も塵じりになって消えてしまった。だから俺があいつの分を受け取りたい。」


受付嬢は少し疑惑の表情をした後、俺に聞いた。


「マナさんは……本当に……亡くなったんですか?」


俺はその時、ぶちッと頭の中で切れこう言った。


「ああ……そうだよ……俺は守れなかった……あいつを……」


俺が泣き出してしまうと受付嬢を含めギルドにいる全員がこちらを見る。

なにも……考えたくなかったのだ。


——


数日後、俺に一件の手紙が届いた。

報酬の受け渡しだろうか?


俺が手紙の裏を見ると、ギルドの紋章だったためそうだと納得した。


そして、受け渡しのため、ギルドの受付の場所まで行った。


俺がカウンターに行くと受付嬢は俺に言い放った。


「あなたは!自分の仲間を自分の手柄のためだけに殺そうとした。悪人です!」


「なんだって?」


俺は理解が追いつかなかった。

その瞬間、テーブルに座っていた冒険者たちが一斉に立ち上がり俺を鋭い視線で見てきた。


そして、奥からウルドが出てきた。


「フンッ……俺の言うことを聞かなかった報いだ。雑魚がしゃしゃり出てくるからこうなるんだ。俺の……俺のマナを奪いやがって……絶対に殺してやる。」


ウルドの言葉をはじめに次々周りの奴らは言った。


「そうだそうだ!お前がマナさんを殺したんだ!」


「早く処刑されろ!」


「罪を償え!!」


「この悪人がッ!」


次々に冒険者たちが言う。


そして、俺は殺気を全開放し言い放つ。


「ふざけるなよッッ!!!!!!!!!!」


俺が足で床を蹴ると床はひびが入った。


俺のその言葉で周囲は静まり返る。


「俺がマナを殺した?冗談も大概にしろよくそ野郎ども!

俺は守れなかった……だからあいつの分の夢をかなえることを決意したんだ!」


俺はマナとある約束をしていた。

どちらかが死んだらそいつの夢をかなえると。

俺は魔王討伐を、マナは兄の調査を。


マナが探していた人物、それはマナの兄だったのだ。

俺らはそれを約束し、今回のスタンピードに挑んだ。


「あいつの夢をかなえるための金だ。俺の報酬と含め渡してもらう。」


俺の要求を言い渡すと、ウラドが出てきたところからギルド長も出てきてこういった。


「私はそんな要求を飲まない!お前はマナを殺したんだろう。そして、証拠が残らないよう遺体がないと嘘をつきマナの報酬まで……私は絶対にお前を許さない!お前は……

追放だ。」


……そうか、なら、力づくで取る。


俺は冒険者を一人一人片づけることにした。

誰も抵抗できずやられていった。


そして、ウラドとギルド長、だけになったとき、俺の腹にクナイが突き刺さる。


「よしッ!当たった。」


俺の横から人影が現れる。

きっと姿を消していたんだろう。


「くッ……」


その隙をウラドが見逃すはずがない。


俺は大打撃を食らった。


「へッ……これで報酬もがっぽりだ……」


俺の怒りはその言葉で頂点に達した。


〈暴走……状態……「憤怒」のスキルが……勇者のスキルに……変k——〉


〈勇者と憤怒を複合。「勇者・悪」に変化します。〉


そしてそのスキルは発動する。


俺の口から自分の意思関係なく魔法が出てくる。


「デストロイ、ファイアジャベリアン、デビルクロース、アルティメットデルアロロルテ」


その魔法それぞれに町を壊滅させる魔法が入っていた。


「がぁ……ぐふッ……ウゴファ……」


あっけなくウルドは死んでいった。初めて、人を殺した。


「ひ……ひと……殺し……!」


ギルド長は逃げようとしたが俺のスキルはそれを許さなかった。

首に一閃。その一太刀で頭が吹き飛んだ。


「や……やめ……」


受付嬢は魔法球を撃たれてしまった。


俺の意識はそれを見ていることしかできなかった。

スキルのせいにして、責任を転嫁させていることしか、


「世界権限「ラグナロク」」


俺の目の前に赤いプレートが表示される。

そして、俺の意思とは関係なく指が動く。

書いてある文字は一切読めない。


そして俺の口から言葉が出る。


「シャットダウン・ゴッドルック」


きっと何かを発動したのだが効果は分からない。

神……?シャットダウンとは……?


俺はそんなことを考えられる余裕はなかった。


そして、終わる。


「「ラグナロク」、デスエリア。」


俺がそう唱えると、冒険者たちが唸り声をあげて死んでいく。


恐怖を覚える。

このスキルにもだが、これを自分が使えてしまうということに……


『やめろ……やめろッッッッ!!!!!!!!!!!』


俺は自力で意識を奪い返した。


「はぁ……はぁ……うわぁぁぁぁッッッッ!!!!」


俺は絶望した。

そう、絶望した。


町に誰もいなかった。


誰も……誰も……


そう、全員が死んでしまったのだ。


~~~~~~

「俺は責任を背負わないといけない。今後、未来永劫……」


「蘭葉くん?」


「いや、何でもない。」


あの称号は、戒めとして俺の体に残り続けると、そう確信した。


第64話終わり


お疲れさん!

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