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黄道を刻む二十四の時の詩

雪の下に隠した温もり

作者: 日浦海里

冷たく輝く白い布団


寒くて乾いた冬の空気から守るように

彼女が地面に敷いたもの


保湿されるように

保温されるように


自然に布団が地に還るまで

自然に布団が地を濡らすまで


大地に芽吹きを待ち望む生命達のことを思って

大地に華やぎを待ち望む生命達のことを思って


その姿を目にすることはないけれど

その声を耳にすることはないけれど


それが役目と言いながら

冷たいだけの自分にしか出来ないことと言いながら


誰よりも温かく

誰よりも優しい


触れ合うことは出来ないけれど

残された一面の白から伝わる温もりは

確かにこの地に根付いていて

皆はその温もりを知ることのないまま

彼女の温もりに守られて

世界が暖められると

その布団の底からそっと顔を出し始める


そうして布団の中に閉じ込められた

生命に必要な養分を糧に

大きく育ち花開く


皆はそれを知らないけれど

少なくとも私だけは

彼女の優しさを知っている


いつの日か彼女のその優しさに

感謝を伝えられたなら

そう夢見て

芽吹く時を待つ大地の生命を今日も見守る


今日は啓蟄。

二十四節気において、冬篭りしていた虫たちが、

春の暖かさを感じて、

土の中から出てくる頃となっています。


【登場人物紹介】

○冬姫

 別名 氷姫。

 温められた世界を冷やす力を持ちます。

 彼女もまた陽ざしの君とは同じく、

 自らに与えられた力を制御することは出来ず、

 ただその力で世界を凍りつかせることしか出来ません。

 その力は生命の温もりすら奪いつくすこともありますが、

 一方で、彼女によって生み出される氷や雪は、

 地の下で新たな生命を育む役割りも持っています。

 彼女は自らの役割を知り、そのように振舞いますが、

 自分にできることは奪うこと、

 眠りにつかせることだけで、

 生命を育むことは出来ないし、

 他の生命に触れることもできない、と思っています。

 彼女は常に孤独なのです。


○春姫/秋姫

 春姫であり、秋姫。

 彼女自身は温度を操る力をは持ちません。

 彼女はただ、世界に水を与えることが出来るだけです。

 雪解けの水が正しく流れるよう、

 世界を熱する力が訪れる前に、世界が潤うよう、

 雨を降らせる事が出来る。

 彼女自身が温もりを持たないために、

 陽ざしの君の事も冬姫の事も、そして夏姫の事も、

 冷静な立場で眺めることが出来ます。

 彼らが皆、一様にして生命を慈しみたいと思いながら、

 思い通りにいかないことを悩んでいることを知り、

 彼女はただ、その心が乾かないように、

 潤いを与えたい、そう願っています。

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― 新着の感想 ―
[一言]  雪女もいますし、雪は女性なのですかね。  たしかに、男性とはちがう包容(抱擁)力がありますね。  私も、抱擁されたいけれど、そしたら目が覚めないよね。  それも、いいかも。  あ、ま…
[一言]  冷たく閉ざし命を奪うものでもあり。  冷たさを拒み命を守るものでもあり。  性質は変わらないのに、どこから見るかで変わってしまう。  違う視点の大切さを教えられたような。そんな気がしま…
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