表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/304

第27話:帰ろう <薫サイド>

再度、見直しました。


その日は、()しくも水草薫みずくさかおるの二十五歳の誕生日だった。

つまり、イブの日が誕生日ということだ。


小さい頃は、そのことで薫は、損した気分になったものだ。だって、ご馳走は二倍も食べられないし、プレゼントだってクリスマスの分とお誕生日の分を別々にくれる人なんていない。


だけど薫がそんな愚痴を幼馴染で親友の水瀬美緒にぶつけた時、彼女はこんな風に言ってくれたのだ。


「お誕生日がクリスマスイブの日だなんて、薫はきっと神様に祝福されて生まれて来たんだね」


今の薫にすれば臭いセリフなのだが、言った方も聞いた方も幼い子供であれば、まあアリかなと思える。美緒がそれだけおませな子だったということなのだが、それを聞いて素直に感動した方も相当チョロい奴だと自分でも思う。


という訳で、イブの日は薫にとって特別な日である。その特別な日に薫は、最悪の状態で店頭に立たされている。


朝十時の開店から休憩を挟んで既に六時間、薫は心身ともに疲れ果てていた。


それに、そもそもこの場所は寒過ぎる。店内とはいえ、自動ドアが開きっぱなしでは、外とほとんど変わらない。なのに、こんな薄着じゃ、身体からだが冷えてしまって当然だろう。


この場所に薫を置いたのは、あのフロア長だった。朝礼後のミーティングで勝手に薫を怒鳴り付けた挙句、わざとこんなに寒い所に置いたのだ。


ちなみに、薫が休憩の時に交代した子は、この場所じゃなくて温風がちゃんと吹き付ける温かい場所に立たせてくれていたらしい。

でも、薫がそこに移動しようとすると、「勝手に持ち場を離れるんじゃない」と、フロア長に怒られる。


このままでは、風邪を引いてしまうだろう。

今、風邪を引くとまずい。ただでさえお金がない。病院はもちろん、薬を買うことだってできないのだ。


でも、と薫は考える。案外、それがあのフロア長の狙いなのかもしれない。明日からは薫に出て来て欲しくない、ということなんだろう。


だったら、そう言えばいいのに。


その方が、風邪を引かなくて済む分、私は助かる。


寒くて疲れている上に、心がすさんでいる今の薫は、全てを悪い方向に捉えてしまう傾向にあった。


楽しいホリディシーズンを目前にして、店内にはカップルや家族連れが溢れ返っている。誰もが笑顔で楽しそうだ。

なのに、私は何でこんな恥ずかしい格好で、寒さに震えてなきゃなんないんだろう。

おまけに今日は、誕生日だというのに……。


薫は、去年の誕生日のことを思い出す。祝ってくれたのは、ファミレスの吉川店長だった。店を閉めた夜十一時になってからだったけど、吉川さんがいきなり大きなケーキを持って来てくれた。その上に蝋燭をちゃんと二十四本立てて、マッチで全部に火を点けて、その時に残っていた全員でハッピーバースディを歌って祝ってくれたのだ。


あれは嬉しかった。


もし今日もファミレスのシフトを入れていたら、あの店長はたぶん同じことをしてくれたに違いない。

それを思うと、心が痛い。


――私、こんな所で何やってんだろう。


そんな疑問が自然に心に浮かんできてしまった。


更に頭に浮かんだのは、家族のことだった。

父のたけしが入院したと聞かされたのは、今から二週間くらい前のことだった。

薫は、今度こそ帰ろうと思った。だけど、先立つモノが無ければ帰れない。現在、薫は、その為のお金を必死に貯めている最中なのだ。

実は、妹の楓からは、「そんなのどうでも良いから、早く帰って来て」と言われている。だけど、家族の方だって、ぎりぎり生活費が何とかなるくらいのお金しかない筈。何故なら、父の入院代は相当な出費になっているだろうからだ。


ああ、そうだ。

もし、父や母が私のこんな姿を見たら、何て思うだろう。父は激怒するだろうし、母は悲しむに違いない。

妹の楓は、軽蔑するだろうか。

いや、それよりも祖母のことだ。

今は亡き祖母の幸子は、プライドの高い人だった。水草の家に誇りを持っていて、薫のことを水草直系の娘として育ててくれた。幸子は薫に行儀作法や立ち振る舞いなど、高貴な家の娘として人前に出しても恥ずかしくない教育を施してくれたのだ。

そんな幸子が今の薫のことを知ったら、嘆き悲しむだろうことは間違いない。


「おい。そこのお前っ!」


また、怒鳴られてしまった。大きな歩幅で近付いて来るのは、例のフロア長だ。


「お前、少しは笑ったらどうなんだ。さっきから見てるけど、お前がやってるのって、ただ客にビラを押し付けてるだけだろ。何で笑わないんだよ。うちは客商売なんだぞ」


今度は、説教だった。


「何だ、その姿勢は。寒そうにして前かがみになって、ウサ耳が垂れてるぞ。客に失礼だろうが。ほら、もっと背中伸ばせ。こう、こう。ここをだな、こうやってまっすぐにするんだよ」


背中にぴったりと張り付いたフロア長は、両手を薫のむき出しの肩に置いて、ぎゅっと掴んでくる。そして今度は背中を上からお尻の上まで撫で回してきた。

気持ち悪くて吐き気がするけど、何とか耐えた。


薫の身体を触るのに飽きると、フロア長は温風の当たる所に移動して、「おー寒い、寒い」と言いながら温まっている。


「くしゅん」


遂に、くしゃみが出てしまった。

そのくしゃみに釣られてか、赤ら顔のオヤジが寄って来た。


「おっ、姉ちゃん、何かエロい恰好しとるやんか。でも、さぶいぼ出とんぞ。寒そうやなあ、ていうか、これじゃあ、寒くて当たり前だわ。ケツ丸出しだもんなあ、ほれ、俺が温めてやるよ」


そのオヤジは、しつこくお尻を触ってくる。たぶん、相当に酔っぱらっているんだろう。

薫は「やめてください」と言いながら、身体をくねらせてオヤジの手から逃れようとするが、それが却って男を愉しませていることには気付かない。

さっきは女性店員が助けてくれたけど、今は休憩中なのか、近くにはいなかった。代わりにフロア長が近くにいるが、ニヤニヤして眺めているだけだ。


あんちくしょう、地獄に落ちろ!


心の中で悪態を吐きながらも、薫はひたすら寒さに耐えるしかないのだった。



★★★



その酔っ払いオヤジも、そのうち飽きて何処どこかに行ってしまったのだが、問題はその後だった。


次に寄って来たのは、幼稚園児くらいの悪ガキ二人だった。もちろん男の子で、たぶん兄弟だろう。きっと、さっきのオヤジが嬉しそうに薫のお尻を触っているのを見てて、「ボクらもやってみたい」になったに違いない。

その悪ガキ達は、黒の網タイツに透ける薫のお尻がいたく気に入ったようで、しつこく何度も触りに来る。左右から交互に狙われるから、避けようがない。


「おねえちゃんのおしり、つめたーい」

「でも、なんか柔らかくて、キモチいいかも」

「うん。これって、たのしいね、おにいちゃん」


薫は全く楽しくなかった。


幼児達の手は温かく感じられて、それが余計に気持ち悪い。子供だから良いだろうってものではないのだ。


他の客たちの視線が薫の臀部に突き刺さってくる。男性だけじゃなく、女性もただ見ているだけだ。それどころか、声を上げて笑っていて、何やら楽しそう。あ、あの子、いきなりスマホで撮影を始めた。


それで、薫は今更ながら気が付いた。


これって、まるっきり尻振りダンスじゃないの!


悪ガキが左右から触られるのを避けようとして、結果的にお尻を振ってるみたいになってしまう。きっとそれでお尻を振って、くねくね身をよじらせている姿が彼や彼女達の笑いを誘うのだ。

しかも相手が小さな子だから、誰もその子達を叱ろうとはしない。


恥ずかしい。恥ずかし過ぎる。


親は、いったい何処どこで何をやってるんだろう? このチビ達を叱ることが出来るのは、親しかいない筈なのに……。


と思ったら、男親が走って来た。


「こらっ、ヒロト、ナオヤ、何やってんだよ、もう。しょうがねえなあ。こっちに来い」


その男は照れくさそうに薫に軽く頭を下げると、悪ガキ達の服を掴んで、取り敢えず人混みから離れる。周囲の人達が立ち去るのを待って、今度は大声で言い放った。


「でも、お前ら、うまいことやったなあ。俺もやりたかったぞ」


すると、近くにまだ残っていた若い女の客が「くすっ」と笑った。その女の連れの男も釣られてか、ゲラゲラと笑い始めた。


「もう、コウジったら、下品な声で笑わないでよ。恥ずかしい」

「別に、良いじゃん。あの女の方が、よっぽど恥ずかしいだろ」


たぶん、薫より年下のその女は、薫の方をチラっと見てから、「それも、そうね」と言って、肩を竦めた。そして、男の手を引っ張って、外に出て行ってしまう。


その後、さっきじろじろ見ていた男達が、ぽつりぽつりと戻って来て、またじろじろと薫の方を見始めた。さっきの単純な笑顔じゃなく、今度は明らかに欲望丸出しのの嫌らしい笑いだ。


そこには、変な男たちの連帯感が生まれていた。

薫を嘲笑う男たちの絆。

女には知りようのない、知りたくもないよこしまな情念。


「じゃあな、バニーちゃん」


集団の力に後押しされた男には、もはや悪びれた様子は微塵も無かった。

両手で悪ガキ達の手を引いて薫の前を堂々と通り過ぎると、そのまま外に出ようとする。

小さい方の子が振り返って「おしりのお姉ちゃん、バイバーイ」と小さな手を振った。


薫は、一緒に振り返った男の顔に冷たい視線を投げた。男は「ちぇっ」と小さく舌打ちして出て行ってしまった。



★★★



その親子が居なくなっても、薫のお尻は別の子供達に狙われ続けるようになってしまった。大人達が一向に叱らないのだから、子供達はどんどんと調子に乗る一方だ。


「まあ、お姉さん、人気者ね」


ヤンママ風の母親が笑っている。場違いなバニーガールの薫を完全に見下した表情だ。


「あれ、水草さんじゃない。いやだあ、こんな所で何やってんの?」


突然、浴びせられた言葉に、薫は一瞬で固まってしまった。

声のした方に恐る恐る目をやると、高級スーツに身を纏ったサラリーマン達の集団に一人だけ女性が混ざっている。その彼女を含めて全員が薫の身体を舐めるように見ながら、明らかな嘲笑を顔に張り付かせていた。


その集団から抜け出して来た女性は、大学のゼミの同級生だった。薫とは対照的に押しが強いタイプで、あまりそりが合わなかった子だ。こんな姿は絶対に見られたくない相手である。


ああ、もう最悪だ。いっそのこと消えてしまいたい。


心の中で強くそう願った薫のお尻は、今も小さな手に弄ばれている。薫が抵抗しなくなったのを良いことに、悪ガキ達のやりたい放題だ。

そのうち、薫の背後で「かんちょー」と甲高く叫ぶ声がしたかと思うと、お尻の穴に鋭い痛みを感じた。


「痛っ!」


どうやら男の子の一人が、あろうことか薫のお尻の真ん中に小さな指を突っ込んだみたいだ。

痛みに顔をしかめた薫は、思わず身体を追ってお尻に手をやる。

すると、カツカツとハイヒールの音を響かせた妙齢の女性が薫の方に近付いて来たかと思うと、薫の背後に手を回して、そこにいた悪ガキの手を掴んで前に引き摺り出す。そして、薫の目の前で頭を叩くと、いきなり怒鳴った。


「こら、マサヤ。お尻なんかに指、突っ込んだりしたら、汚いでしょうがっ!」


その女性は、薫の方には見向きもしない。さすがにムカついた薫が「あのー」と声を出したら、一瞬、「はあ?」と怪訝な顔を向けたかと思うと、「ほら、行くよ」と子供の手を引きながら去って行く。その途中、「もう、あんな女に睨まれちゃったじゃないの」という声がした。


「ふーん、なんか大変そうね」


一連の出来事を傍で見ていたであろう元同級生が、涼しい声で呟いた。

それから彼女は、薫のコスチュームをもう一度しげしげと見詰めた後、勝ち誇った顔で嬉しそうに言い放った。


「まっ、事情はよく分かんないけどさ、頑張ってね」


最後に「じゃあね~」と手をひらひらさせて、彼女は颯爽と去って行ったのだった。



★★★



残された薫は、呆然とその場に立ち尽くしていた。


そんな薫の胸の奥から、次第に込み上げて来るものがあった。


――帰りたい。


その時、東京に来て初めて薫は、そう思った。


もう、いいや。帰ろう。


今まであんなにも拒み続けていたことが、今はあっさりと受け入れることができた。


やるだけのことは、やった。もう充分だ。

結果は何も残せなかったけど、駄目だったものは仕方がない。


それが現実だ。素直に認めよう。


自分は、負けたんだ。


本当は泣きたい気分だったけど、ここで泣いたらもっと惨めになる。

だから、必死で堪えた。


そうしているうちに、今度は不思議と清々(すがすが)しい気分になってきた。


そして薫は、素早く頭を回転させる。

高速バスに乗るくらいのお金だったら、手持ちの分でギリギリ何とかなるだろう。

まだ今月の家賃は払ってないけど、それって、たぶん敷金とで相殺できる筈。

引っ越しが問題だけど、元々、持ってる物とかあんまりないし、その中で欲しい物なんて、キャリーバックに収まるくらいしかない。


ああもう。どうだって良いや。全部、そのままにして、逃げちゃえ!


――決めた。私は、帰る!


そう決めた途端、いてもたってもいられなくなった。


もう嫌だ。こんな仕事なんか、やってられるかっ!


手始めに、今も薫のお尻をオモチャにして遊ぶ悪ガキ達の頭を、手に持っているチラシで順番に引っぱたいてやった。それで大半の子は波が引くように去って行ってしまったけど、一人だけ薫の足元でわんわんと大泣きしている子がいる。

良く見ると、さっき薫のお尻に指を突っ込んだ悪ガキじゃない。いつの間に舞い戻って来たんだろう?


薫がそう思った矢先、さっきの妙齢の女性が何処どこからともなく現れて、悪ガキ以上のキンキン声で喚き出した。


「あんた、うちの子に何すんのっ。ちっちゃい子に暴力ふるうなんて、いったい、どういうつもりなのよ。黙ってないで、何とか言ったらどうなの、もう、若い子はこれだから……」


改めて見ると、小奇麗な身なりをしている。上に羽織った高級そうなコートは、とても暖かそうだ。

薫は、それで余計に腹が立ってしまった。


「……謝んなさいよ。ほらっ、この子にちゃんと謝りなさい」

「うるっさーい。謝るのは、どう見たって、このガキの方でしょうが。それと、自分の子供の躾くらい、ちゃんとやんなよ、オバサン」

「オ、オバサンですって。な、なんなの、その態度。小娘のくせに、生意気な。そんなんだから……」


なおも喚き続けるオバサンは無視して、薫は大股でフロア長の方に歩いて行く。


「君さあ、むやみに持ち場を離れちゃ駄目だって言って……」

「えっ、何、聞こえなーい」


フロア長が居る辺りには店内スピーカーがあって、大音量で宣伝の曲が流れていたのだ。


「だから、持ち場を離れるなって言うんだよ。まだ休憩時間じゃないだろうがっ!」


フロア長は、いきなり薫の二の腕を掴むと、壁の方に強い力で引き摺って行く。

ギュッと掴まれた腕が折れそうに痛い。でも、それよりも薫の素肌に食い込む三十男のじめっとした手の感触が気持ち悪かった。

ただ、その一方で、この男が本気で自分に怒りをぶつけてきていると薫は、感じていた。冷静さを欠いた男は、何するか分からない。バックヤードに連れ込まれたら危ない。薫の直感が、そんな風に警告を発しているのだった。



★★★



長身のフロア長は意外と筋肉質で、薫はひ弱な子ウサギだった。傍目には絶体絶命のピンチだったが、薫は意外にも冷静だった。むしろ、薫の頭は冴えわたっていたのだ。こういう時、薫はいつだって冷静でスマートな行動が取れる。


今の自分の武器はと考えて、咄嗟の判断から男の足を思いっ切り踏み付けてやった。

すると、そいつは「うっ」と短い声を発した後、足を押さえて蹲ってしまった。今朝、バニーの衣装と一緒に支給されたピンヒールを履いていたおかげで、薫の軽い体重でもそれなりに効いたみたいだ。


のっぽの男が蹲ったことで、薫は男の頭を見下ろす格好になった。その薫の目に留まったのは、普通より大きめの耳。薫は少し身体をかがめると、その耳元に口を近付ける。

そして、思いっ切り大声を張り上げた。


「あんたさあ、あんな寒い所に薄着の女の子、立たせて、どういうつもりだよ。代わりにあんた、ハダカであそこに立ってみなよ。そんでもって、にっこり笑ってビラ配ってみろっちゅうーの。あんた、それできんの?」


フロア長は、小刻みに首を左右に振っていた。


「あんた、私に何度も言ったよね。持ち場を離れるんじゃないって。あんただったら、立ってられるのかよ。自分ができもしねえこと、人に押し付けるんじゃねえよ。ふざけんなっ!」


男は薫の剣幕にすっかりビビってしまったのか、頭を両手で抱え込んで震え出してしまった。

さっきまであんなにえらそうだったのに、今は薫の足元で泣いていたガキと同じだ。


そんな年上の男をどやし付けるのは、薫にとって快感だった。言葉が次から次へと口から溢れ出てきて、なかなか止められなくなってしまう。


「……あんたさあ、私がお尻さわられてんの、ずっとニヤニヤしながら見てたんだろう。そん時の私が、どういう気持ちだったか、あんた、分かる? ていうか、分かる筈ないよな。いっそのこと、あんたがバニーのコスチューム着て、さっきのとこに立ってたらどうだよ。気持ち悪いけどさあ、案外、受けるかもよ。ほら、何か言えよ、このエロオヤジがっ!」


薫は、男のお尻を軽く蹴ってやった。


「だいたいさあ、人が嫌がることするなって、小さい頃、教えられなかったのかよ。人が嫌がってるのに、喜んでるんじゃねえよ。このスケベ野郎。変態、ケダモノ、変質者……」


薫は更に罵詈雑言を並べてみたが、すぐに言葉のネタが尽きてしまった。

仕方がないので、もう終わらせることにした。


「あんたが私をあんな所に立たせたのってさあ、今日で辞めて欲しかったからだろ。安心しなよ。辞めてやるよ、こんな所」


最後に薫は、男を思いっきりピンヒールで蹴飛ばしてやった。

そして振り向くと、いつの間にか周囲を大勢の人に取り囲まれていた。

一瞬、どうしようかと迷った薫だったが、ここまで来たら、さっきの悪女を貫くしかない。


「見せもんじゃねえんだよ」


薫は大声で一喝すると、一番人が少なそうな所を素早くすり抜け、カツカツと足音を響かせながら女子更衣室へと向かって行った。






ここまで読んで頂き、どうもありがとうございました。

次話は、東京撤収です。


もし宜しければ、感想、ブックマーク、評価をして頂けましたら大変嬉しいです。宜しくお願いします。

ツイッター:https://mobile.twitter.com/taramiro0

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ