006
気持ちを切り替えてさっそく【製薬】を試す。
まずは【調理】とどう変わるか確認するために、〔気草〕2:〔癒草〕2を乳鉢で混ぜ合わせてみる。
それなりに手間をかけて、水分の多いペーストが出来上がったが、薬になった感覚がなかった、この後どうしたらいいかと悩む。
――丸薬というか錠剤にするには繋ぎが必要そう。
今手に入る素材だと椎の実?
今のところ他に良さそうな素材もないし保留で。
粉薬は……乾燥?
野外で飲むには厳しいけど、売るだけなら問題ないよね。
セットにある乾燥網は使えそうにないけど、魔術に何か、…………分離魔術?
乳鉢使う前にこれ使ってたら、楽になったんじゃ……、いやまだ使えると決まったわけじゃない。
水を分離するように……【分離魔術】。
【分離魔術】が成功し、ペーストから水が分離していく。
しかし、分離することだけを想像していたため、分離したところまではよかったが、【分離魔術】の発現が終わると水がもとに戻ってしまった。
――おお、いけ……てない!
分離はできそうだから、分離した水をどこかに移さないとダメってことだよね。
もう一回、水を分離して鍋に移すように……【分離魔術】。
……できた!
〔初級粉薬(気力) 回復アイテム 品質:悪〕
――できたはできたけど、悪か。
売値は45幣?
品質に問題がなければ、料理より高そうだね。
でもどうやったら品質が上がるのか……。
分離魔術で薬効の分離はできるかな。
〔癒草〕を取り出して回復成分の分離を試みたが失敗し、他に手がないかと探す。
失敗はあったもののなんとか成功といえる状態にこぎつけた。
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成功ケース#1 薬効の調査
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【解析魔術】を使って薬効がどの部分に含まれているか調べると、葉に含まれていた。
【認識】と【解析魔術】を組み合わせると、葉緑ではなく葉脈に含まれていることがわかった。
【探知魔術】、【判別】では効果ができなかった。
【判別】は使い方が悪そうだということがわかった。
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成功ケース#2 薬効部分の抜出
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【認識】を使ったうえで葉脈を分離するように【分離魔術】を使うことで葉脈のみを分離することで
〔癒草 【製薬】の素材 品質:普〕
のまま抜出できた。
一度認識すると継続するのか2度目以降は【分離魔術】を意識するだけでも問題なくできた。
時間をかければピンセットとナイフで同様のことも頑張ればできそうではあるが、魔力の消費で代替できる【分離魔術】様様である。
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成功ケース#3 薬効部分の乾燥
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【統合魔術】で【空間魔術】で指定した空間から空気を分離することで〔癒草 【製薬】の素材 品質:劣〕ができた。
事前に【統合魔術】で【水魔術】と【熱魔術】を使い凍結した状態にすることで〔癒草 【製薬】の素材 品質:普〕に改善した。
【分離魔術】で水を分離しようとしたが魔術が発動できなかった。
【熱魔術】で水分を飛ばそうとしたが、相変わらず【熱魔術】単独では効果がなく、手鍋に付与して見たが、焦げないようにするには時間がかかりそうだったため断念した。
【統合魔術】で【空間魔術】と【熱魔術】を組み合わせ熱した空間にすると、乾燥させることはできたが〔癒草 【製薬】の素材 品質:劣〕であった。
おそらく乾燥網を使い時間をかけて水分を飛ばすことで、品質を下げることなく乾燥させることができるはずだが、魔術でうまくいったので気に留めるだけにしておいた。
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〔癒草〕がうまくいったため、〔気草〕も同様に処理する。
出来上がった〔癒草〕2と〔気草〕2を乳鉢で粉薬にすると〔初級粉薬(気力) 回復アイテム 品質:普〕の売値120幣となり、成功したことを喜んだ。
分離した残りは【調理】に使えなかったため、0幣で売却する。
初回の売値45幣に対して2倍でないことを疑問に思いつつ、売値と効果を検証するため〔癒草〕と〔魔草〕の組み合わせで試した。
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〔初級粉薬(魔力) 回復アイテム 品質:普〕
売値 40幣 魔力+ 4(癒1魔1)
売値 80幣 魔力+ 8(癒1魔2)
売値 60幣 魔力+ 6(癒2魔1)
売値120幣 魔力+12(癒2魔2)
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処理をする手順で素材の大半がなくなるためか料理でないからかは判断が難しいが、空腹値への効果がなくなっている。
しかし、料理と比べ魔力の回復効果は2倍で、売値も魔力1あたりで10幣と料理の2倍になっていた。
〔癒草〕の効果は変わっていないが、〔魔草〕の基礎値が4になっているのは嬉しい誤算だった。
なお、アイテムとして【携帯枠】に入れるには、初級調薬セットについていた包紙で包めばよく、アイテムとして使用した際は包紙も消えた。
原理はわからないが便利なのでよしとする。