花子さんと2
体育館の渡り廊下に涼しい風が吹いた。
廊下がジトッと暑かった分、外へ出ると何となく解放感がある。
「じゃあ開けるよ」
体育館のドアに手をかけた陽菜が声をかけてくれた。多分怖がりな私に対する気づかいだけど……私はすでにこの中にジェイソン君がいる事は知っている。あれ? この場合、演技でも怖がらないと、逆に可笑しい? 先に体育館へ来たことは説明が難しいので内緒だ。
頭を悩ましていても、扉は開いてしまう。こうなったら、驚いた演技をしようと、叫ぼうと息を吸い中を見たが——あれ?
「……誰も、いない?」
「いたら怖いじゃん」
いや。そうなんだけど。
私のつぶやきに陽菜がツッコミを入れる。先輩達は屋上だし、体育館は真っ暗なのだから、誰かが居たら怖い。怖いのだけど……ジェイソン君は一体どこに?
結局バラバラにしたまま出てきてしまったので、バラバラになって倒れているジェイソン君がいると思ったのに。
「プリントどこだろね」
足を踏み入れた広い体育館はがらんとしている。今はメリーさんもいないので、妖精さんの姿も見えない。静かな体育館に私達の声だけが反響する。……うう。やっぱり怖い。
とりあえず先輩が何処に隠したか、手分けして探すことになった為、私も舞台の上に行く事にした。体育館の電気はつけられないので、それぞれ持ってきた懐中電灯を使っての探索だ。舞台の上には、グランドピアノが置かれており、舞台袖の所に台が置かれているだけだ。
「どこに置いてあるんだろうね」
「それほど難しい場所には置かれてないと思うんだけどな」
「そうだよね」
あくまでこれは肝試しで、宝さがしゲームではない。となれば分かりやすい場所に置かれている気がする。
舞台の上ならば、ピアノの上か、台の上かそういう場所だろう。零君は怖がりな私を心配していっしょに来てくれている。よいしょと舞台に登ると、ピアノの上に何かが置かれているのが見えた。どうやら正解のようだ。
「零君、あれかな?」
「だな」
私はさっさと終わらしたい一心で、急いで駆け寄った。ピアノの上にはプリントが置かれており、その上に重しのように鏡が置かれていた。プリントを照らせば天体観測記入用紙と書いてあるのが見える。
「良かった。これで帰れ——」
早速プリントを取ろうと近づいた時、重石かわりに置かれた少し大きめの鏡に何かが映った——。
「えっ?」
見てはいけないと思うのに、それが何かが気になるというか、映るということは、後ろに何かがあるという事で……。
鏡を見るべきか、後ろを振り向くべきか。ドドドドと心臓が早鐘を打つ。
いやいや。自分が映っただけで見間違いの可能性も——。そう思ったが、私はそろりと後ろを振り返えり懐中電灯を後ろに向けた。
「ぎっ、ぎゃああああああ!!」
「莉緒? お、おい!!」
私は舞台袖のカーテンから覗き見る、骸骨を見た瞬間、大きな悲鳴を上げ、その場にへたり込んだのだった。
……どうやら、私に驚く演技なんて、いらないようだ。




