中学三年
※今回の話は、天野さんの日記でいじめの内容が含まれまれます。コメディ感はゼロです。苦手な方は飛ばして下さい。下に簡単に日記の内容をまとめておきます。
(ネタバレ)
簡単に日記の内容をまとめれば、天野さんが仲良しグループから無視をしようと言われたのを断った結果、無視されます。その後、柳田君に助けられて、なんだかんだ付き合うことに。
しかし、一人の女子生徒との仲がこじれ、その生徒は不登校になります。その原因が自分にもあったのではと悩んでいるというものです。
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4月8日
中学三年生が始まった。
亜佳梨ちゃんは別のクラスになってしまった。残念。だけど亜佳梨ちゃんは、私のクラスに柳田君がいるのが羨ましいと言っていた。私は正直、男の子は苦手だからよく分からない。小学校の時に、女が恐竜が好きなのはおかしいとか言われてから、あんまり一緒に遊びたいと思わないからなぁ。
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5月10日
ゴールデンウィーク明けの中間テスト。進路希望もあるので、頑張らないと。
何だか皆ピリピリしている気がする。
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5月15日
中間テストの結果はまずまず。先生との面談も問題なし。将来、博物館か考古学がある大学で働くためには、苦手科目も頑張らないと。私立の高校に行って、お金がかかりすぎて大学に行けなくなると困るし。目指すは県立!
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5月30日
クラスで仲良くなったグループの1人から、香織ちゃんを無視しようと言われた。可愛くて調子にのってるからだって。意味が分かんない。
だから嫌だと言った。でもそのせいで私が無視されるようになったみたい。……あと一年だし、頑張ろう。どうせ受験で一年間、勉強ばっかやってればいいし。
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6月8日
修学旅行の存在忘れてた……。団体はいいけど、部屋割りとかきついなぁ。休みたいけど、お母さん心配するだろうし。どうやって過ごそう。やだなぁ。
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6月9日
掃除の時間、柳田君が助けてくれた。多分、いじめられているって気が付いたよね……。女子のもめ事だから男子も関わらないようにしているっぽいのに、優しいなぁ。あんなに自然に、人を庇えるってすごいなあ。私ももう少し考えて、無視したくないことを伝えればよかったのかな……。
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6月20日
無事、修学旅行も終了。
本当に良かった。亜佳梨ちゃんと柳田君に感謝。……男子は女だからとか、そういうことをいうと思ったけれど、柳田君のグループはそんな事ないみたい。いい人達だなぁ。
私も男だからって全員一緒くたに思っていたから、気を付けないと。そうだよね。皆同じじゃないよね。
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7月2日
柳田君の秘密を知ってしまった。まさかの霊感少年。でも、私だって、まさかの恐竜オタクだし、皆裏の顔があって当たり前だよね。柳田君ってたまに天然っぽいと思ってたけど、わざとそうやって霊感少年な事を誤魔化していたのかな? うーん。いや、絶対、本当に天然なところはある気がする。
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7月5日
柳田君と図書館で一緒に勉強をした。
私は理系が得意だけど、柳田君はあまり得意じゃないらしい。でも漢字知識は凄い。やっぱりお寺の子だからかな?
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7月11日
何故か人数マシマシで、再び勉強会をすることに。ちょっと五月蠅くて、図書館の先生の目が怖かった。柳田君の友達と亜佳梨ちゃん、それから香織ちゃんまで加わった。
香織ちゃんからは、こっそりトイレで無視の事を謝られた。庇ってくれたのも知っていたのに、ごめんと言われた。ズルイと思ったけど、私が勝手に意地を張ったところもあるからと流した。……いいよって言ってあげればよかったかな。分からないけど、言えなかった。
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7月27日
夏休みに入ってから、塾の夏期講習もあって中々集まれないけれど、でも柳田君達とまた定期的に勉強会を開く事になった。亜佳梨ちゃんと香織ちゃんも一緒。香織ちゃん、もしかしたら柳田君の事が好きなのかな? 美人だし、香織ちゃんが告白したらOKしそう。でもそれをされたらモヤモヤするなぁ。
そういえば、柳田君はこれまでに、数々の告白をされてきた男だと、柳田君の友達の発言から判明。柳田君、優しいし、スマートだし、カッコいいもんね。なんだか漫画に出てくる主人公みたい。
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7月28日
柳田君から一緒に恐竜博物館に行こうと誘われた。なんでも、特別展示でティラノザウルスの本物の化石が見れるという情報を貰ったらしい。私が恐竜オタクだと知っているからだよね。嬉しいなぁ。8月5日に約束した。
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8月5日
(空白)
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8月6日
昨日、柳田君に告白されてしまった。どうしよう。
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8月8日
図書館で皆で勉強会。柳田君がいつもに増して眩しい気がした。
いちいち気にしてしまって、勉強にならない。なので、帰りに私も好きだと言って付き合う事になった。何だか、嘘みたい。
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9月1日
再び学校。無視の方は、柳田君グループからのフォローにより収まってきて、今までとは別のグループの女子と会話できてる。中でも奈緒ちゃんが一番話しやすい。学校では香織ちゃんとは話していない。……話さない方がいいよね?
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9月20日
亜佳梨ちゃんが零君の友達の市川君と付き合い始めたと報告してくれた。おめでとうついでに、零君と付き合っていることを告白すると、やっぱりと言われた。……そんなにバレバレだったかと思ったけれど、私より零君の態度の方がバレバレだったらしい。あと恐竜博物館に行っていた事も、女の子達の噂で流れているらしい……。スパイでもいるのだろうか。
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10月1日
香織ちゃんに、柳田君が好きだと言われた。だから私も柳田君と今付き合っていると話したら、前から私が好きだった事に気が付いていたよねと言われた。柳田君と付き合うのは、無視したから、その仕返しなのとも……。そんなつもりはなかったけれど、私は香織ちゃんにいいよと許す言葉を言ってあげなかった。私の心が狭かったから、そう思われたのかな。
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10月10日
みんなでまた勉強会をしないかという話が出たけれど、香織ちゃんと顔を会わせづらかったから、断ってしまった。……零君と香織ちゃんが仲良くなっているかもしれないと思うと、怖い。香織ちゃんが、私の嫌なところを零君に言っているかもしれないと思うと、不安。
でもこんな事を考えている自分がもっと嫌だ。零君にも香織ちゃんにも失礼だ。
零君に好きだと言われて嬉しかったのに……どんどん自分が醜くなっているみたいだ。これじゃあ、フラれてしまうかも。
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10月13日
零君が家の前まで来た。
もしかしたらフラれるかもと思った。それぐらい、最近ずっと嫌な事ばかり考えていた。
でも零君は、香織ちゃんに告白されて断った話をした。そして良かったら、これからは二人だけで勉強会をしようと言ってくれた。
零君だって、友達と一緒が良かっただろうに、私の所為でごめん。でも謝ったら、よけい惨めな気がして、謝れなかった。ただ、零君の優しさに甘えてしまった。
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10月25日
運動会の後ぐらいから、香織ちゃんのグループの様子がおかしい気がする。私に対して無視をしていたはずなのに、挨拶をしてきた。その上で、どうも香織ちゃんが孤立してきている気がする。……私は体育の授業の創作ダンスで余ってしまっていた香織ちゃんをグループに入れてくれるように奈緒ちゃんに頼み、奈緒ちゃんから誘ってもらった。多分香織ちゃんも私から誘われたら嫌だろうから。
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11月4日
奈緒ちゃんが怒ってた。香織ちゃんが、私が奈緒ちゃんの悪口を言ったと言ったから本当なのか聞きに来たと言っていた。もちろんそんな事はなかったから、私は正直に話した。そうしたら、大きな声で「だよねー」と言われた。そこで初めて、奈緒ちゃんが香織ちゃんが嘘をついたのだとクラスメイトに伝えようとしたのだと気が付いた。
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11月10日
香織ちゃんが孤立している。
どうしたらいいのか分からない。私は加害者ではないと思いたいけれど、モヤモヤする。私があの時、ちゃんと許したなら、こんな風にぐちゃぐちゃにならなかったのかもしれない。すごく自分が嫌な人間に思えた。
香織ちゃんは、零君が好きだと言っていた。私も言われる前に気が付いていた。……ちゃんと付き合う前に私も零君と付き合う事にしたとか好きだとか言ってればよかったんだろうか。
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12月1日
香織ちゃんが学校に来なくなった。……私の所為だ。
私は独りぼっちの辛さを知っていたのに。私は零君にこれまであった事を話した。零君は私の所為じゃないと言った。
でもそう言われたかったから、零君に話したのではないかと思えて、余計に落ち込む。私は庇われてばかりで卑怯だ。零君が好きなのは変わらないのに……恋なんてしなければよかったと思ってしまう。そんな自分が嫌だ。零君は悪くない。
一体どうしたらよかったんだろう。付き合ったのが悪かったんだろうか。
分からない。分からないけれど、とにかく逃げ出したい。
受験、頑張ろう。




