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天野さんの恋愛相談

 柳田君にフラれた私はメリーさんに恋愛相談をすることにした。怪異に対して恋愛相談とか破れかぶれすぎな気もするけれど、今は誰かに話を聞いてもらいたい気分なのだ。


「――というわけで、柳田君は今この学校にいる人と付き合う気はなく、私は見事にフラれましたと。めでたし、めでたし」

 いや全然、めでたくないけどね。

 でも、これにて私の初恋の物語が終わりを告げたのだと思えば、『めでたし、めでたし』な合いの手を入れたくなるというものだ。

 告白する前にフラれるとか、現実はおとぎ話のようにはいかない。王子様に見初めてもらうどころか、スタートラインにすら立てないとか厳しすぎる。


メリー【あきらめるの?】


「あきらめるというか……あきらめないと駄目というか……。あのね、メリーさんが柳田君に借りがあるように、私も柳田君には借りがあるの。それが結局は恋の始まりでもあるんだけど。だからね、柳田君の迷惑にはなりたくないの」

 中学生の時、私が押し付けられそうになった掃除を、ただの交代にして、一緒にやってくれた。きっと柳田君にとっては当たり前の行動で、そんな事があったなんて覚えてもいないだろう。でも、私はその行動に救われて、とても嬉しかったのだ。

 だから、ストーカーとかになって、迷惑になんかなりたくない。


メリー【別にあきらめなくてもいいでしょ】

メリー【柳田がどう思おうと、それはアイツの勝手。天野も勝手にすればいいわ】

メリー【思われる事が迷惑だなんて言ってないでしょ】

メリー【それに、今はということでしょ?】

メリー【そのうち気が変わるかもしれないし、天野が柳田を振り向かせるような女になればいいじゃない】


「それって、自分を磨けってこと?」

 確かに気持ちを押し付けるのは、迷惑になるかもしれないけれど、振り向いてもらう為に、自分を磨くというのは悪くないかもしれない。

 それならば柳田君の負担にもならないし、いつか振り向いてもらえるかもしれない。

 そうでなくても、今は捨てきれない恋心も、いつか浄化するかもしれないわけで。


メリー【そういうことよ。天野がもっと素敵になって柳田を振り向かせるの】

メリー【その上で、振ってやりなさい】

メリー【ふふふふふふふふ。柳田ざまあ】


「メリーさん。それ、本末転倒というか、何で振り向いてもらったのにふってるの?」

 【ざまあ】とメリーさんが言うのも、違和感がなくなってきているけれど、それ、誰も幸せにならない奴じゃないだろうか。


メリー【私が柳田にムカついているからよ】

メリー【柳田に天野は勿体ないもの】

メリー【でも天野にも私は借りがあるから、協力するわ】


「借りって……。そういえば、メリーさんは小学生に対して一方的にやられていたけれど、怪異の力でなんとかできなかったの?」

 猫にもてあそばれた後、公園に打ち捨てられ、下校中の男子小学生に捕まったのだろうけれど、メリーさんの呪いを見せれば、怖くなって逃げ帰るのではないだろうか? 髪をのばすだけで結構不気味だし、鞄から飛び出て、柳田君に頭突きをくらわそうとした時もあった。……まあ、キャッチされた上に、般若心経という名の子守唄で寝かしつけされていたけれど。


メリー【怪異は、『分からない』から怖がられ、畏れられるの】

メリー【昼間に大っぴらに怪現象を起こしたら、UMAとしてとらえられて白日の下にさらされてしまうわ】

メリー【研究されるなんてごめんよ】

メリー【怪異は分からないから畏れられるの。UMAとは違うわ】


 確かにもしも妖怪がいたとして、捕えられ生態が分かってしまえば、怖くなくなってしまいそうだ。

 パンダだってUMAだったのだ。動物園でメリーさんが飼育され、見世物になっていたら、確かに怖くはない。結構シュールな光景だけど。

 

メリー【私達怪異は、ちゃんと時と場所をわきまえて動くものなのよ】

 もしかしたら、怪異が夜行性なのはこの辺りに関係するのかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] そうかあ、怪異にもマナーというかあるのですね。 メリーさんはさすが! いい女になって見返せばいいのかあ。
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