柳田君とメリーさんの出会い2
愛しの柳田君は、スマホ依存症ではないらしい。という事は会話中にスマホをいじる事がないということ。なんて素晴らしい事でしょう。
しゃべっている途中でスマホをいじられたりする経験がある身としては実に好ましい。ラインの返事は遅そうだけど、まあ、すべてが完璧な人なんていないよね。うん。
「それで、結局メリーさんとはいつ出会ったの?」
「宿題やろうかって鞄を開いたら目があってさ」
学校鞄を開けたら市松人形と目が合うとかキツイ。私なら絶対叫ぶ。想像しただけで鳥肌がたった。
「誰か間違えて入れたかなと思ってそのままチャックをしめたんだ」
「……流石だね」
冷静すぎではないかと思ったけれど、まさか人形が動くなんて思わないだろうし、となればそう言う結論になるのかな?
「そうしたら突然、マナーモードみたいに鞄が震えてさ」
「へぇ」
「でも、お腹が減ったからとりあえず夜食取りに行って」
「マイペースだね」
男の人ってこういうものなのだろうか。ホラー状況より空腹が勝つとは。でも、成長期だもんねしかたがないよね。
「その時、ようやくスマホのこと思い出して充電したら、すっごい通知音がなってさ。あっ。この辺りがその時のメリーさんとのライン」
メリー【私メリー、今貴方の鞄にいるの】
メリー【私メリー、今貴方の鞄にいるの】
メリー【私メリー、今貴方の鞄にいるの】
メリー【私メリー、今貴方の鞄にいるの!】
メリー【私メリー、今目が合ったじゃない。ねえ。鞄にいるの!】
メリー【私メリー 、今貴方の鞄にいるの! というか、教科書と体操服を一緒にするな! 私の服にまで臭いがうつるんだって】
メリー【私メリー、今貴方の鞄にいるの。いるんだってば】
メリー【私メリー、ねえ何もしないから出しなさいよぉ】
メリーさんからの通知がずらずら並んでる。最後の方は、若干泣きが入ってきている。ちょっと可哀想になってきた。そしてもう少しすると、またコメントが変わる。
メリー【既読!】
メリー【既読!】
メリー【既読!】
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メリー【怖くて震えてるの?】
メリー【ふふふふ】
メリー【すぐに何かする訳じゃないわよ?】
メリー【ねえ、みてるんでしょ?】
メリー【返信しなさい。というか、いい加減出せ】
よっぽど嬉かったのか、既読の文字が並ぶ。しかしいつまでたっても返事がなく、本体も放置されていたために、メリーさんの方がじれたようだ。
「返事してあげなかったの?」
あきらかに、怪しいし、できたら返事したくない気持ちも分かるけど、ちょっとメリーさんが可哀想になってきた。
「いや、メリーさん打つの早すぎて、返信が間に合わなくて。送る前に次のきちゃうからさ」
あっちゃー。どうやら、メリーさん、嬉しすぎてハイになったのか、マシンガントークになっていたらしい。うん。相づち打てる間って大事だよね。