メリーさんからのSOS
失恋してしまった私は、次の日情けない事に学校を休んでしまった。
正直、自分の気持ちを持て余し過ぎて、どう柳田君と接していいのか分からない。そもそも柳田君に告白をしていなかった私が悪いのだ。柳田君も、まさか私が柳田君を恋愛的な意味で好きだなんて思っていないだろう。
せめて自分から告白してフラれたのなら踏ん切りも着いた。でも柳田君の無意識の拒絶に対して、どう接したらいいのか分からない。
「割り切って、友達としているのが一番だと分かってるけど……」
端から望みの薄い恋だなって分かっていた。実るとも実らせようとも思っていなかった。でも、いざ何もやらない前からシャットアウトされて、失恋してしまうと上手く心の整理ができない。多分、失恋する覚悟が整っていないからだ。
失恋したからと言って、柳田君を嫌いにならなければいけないわけでもない。でも柳田君が学校にいる人と付き合うつもりはないと言っているのに、勝手に想いを寄せたら迷惑以外の何物でもないだろう。下手したらストーカーと思われるかもしれない。
……どうしよう。
そんな事を考えていると、ピロンとスマホが音を立てた。
メリー【私メリー、今、○○公園にいるの】
メリー【私メリー、今、○○公園にいるの】
メリー【私メリー、今、○○公園にいるの】
何これ。
まるで壊れた人形のように、メリーさんからのラインは同じ文字が並ぶ。
そしてしばらくすると、写真が貼られた。どうやらメリーさんは今、私の登校する途中にある公園にいるらしい。……続いて動画が送られてくる。
どういう撮影方法なのか分からないが、メリーさんが何やら木の棒でつつかれている様子だった。顔には土がつき、大切にしている着物も泥に汚れている。
これはもしかしたら、メリーさんからのSOSでは?!
私は慌てて家を飛び出した。
木の棒でつつかれているとは、どういう状況なのだろう。よく分からないけれど、あれではあまりに可哀想だ。折角セットした縦ロールも泥でぐしゃぐしゃになっていた。
走って公園にいけば、下校途中と思われる小学生男子三人が何やら木の棒で突っついていた。
「これ、髪伸びる系じゃない?」
「触ったら呪われるだろ。やめろよ、その木の棒向けるなって」
「うわ。汚っ」
「気持ち悪いしどうする?」
「あっ。女子トイレ投げ込んだら女子、泣くんじゃないか?」
呆れたいたずら小僧だ。
まあ、まさかここに転がる市松人形が本当に髪が伸びて、動き、意志疎通可能だなんて思わないだろうけど。でも女子トイレに投げ込むのは悪質だ。
「ちょっと君たち、何やってるの?」
学校ではカースト底辺のボッチでも、小学校低学年からしたら、高校生は大人に見えるはず。
私はなめられないよう強気な様子で話しかけた。
そんな私を見た一人が、目を見開き顔を青くした。
「うわぁぁぁぁぁ。鬼婆だっ!」
「えっ。何?」
「ちょっと待てよ」
次の瞬間顔色が悪くなった子は走りだし、続いて残りの友達も逃げていく。残されたのは汚れた市松人形のみ……。
「え……鬼婆は酷くない?」
花の女子高生に対してなんて事を。
上手くメリーさんは助けられたけれど、私は小学生の悪態にへこんだ。




