メリーさんの出身地
縦ロール教には絶対入らないと誓い、私はメリーさんと話す。
「そういえば、名古屋巻きを知っていたけれど、メリーさんはどこからきたの?」
「あ、それ。俺も気になる。メリーさんって日本人だよな? メリーって、本名?」
確かに気になるけど、そこまで聞いちゃうかぁ。柳田君は今日もメリーさんに容赦ない。でもはっきり意見が言える貴方が素敵です。
メリー【私はメリーであり、それ以上でもそれ以下でもない】
メリー【断じて日本人ではない】
メリー【見た目と中身が同じだと思うとは笑止千万。人間だって外見と精神の差異はセンシティブな問題よ】
確かにメリーさんが言うとおり、外見と中身の違いはよく問題になってる。言外に聞くなと言ってるのだろう。それにメリーさんは怪異だから出身地とかも関係ないだろうし。外見は日本産だけど。
「ねえ。メリーさん、机つってよ。天野からいい反応もらえると思うよ?」
……何? 机をつってって。つるって、釣る? ってこと?
突然のよく分からない要望に困惑していると、真横にある柳田君の机がふわりと浮かんだ。
「ひぃ。ぽ、ポルターガイスト?!」
私は咄嗟に悲鳴をあげ、柳田君の机の横にかかっている鞄を凝視した。嘘。またそこにいるわけ?
「天野、わかった! メリーさん名古屋圏の人だ」
「へ?」
名古屋圏? 何それ。
私は柳田君の言っている意味が理解できなかった。というか、ポルターガイストが起こったのだからもう少し驚くべきではないだろうか。
「机をつるって言うのは、持ち上げて運ぶという意味で、その方言を使うのは、名古屋を中心としたその周りだけなんだよ。名古屋巻きを知ってたからもしかしてと思って」
「へぇ。柳田君、凄いね。まるで探偵みたい」
「たまたまだよ。実は親戚がそっちに住んでるんだ」
それでも、凄いと思う。メリーさんが釣られるように言葉巧みに誘導したのだから。まあ、その餌がたとえ私だとしても。
メリー【キリキリキリキリ】
メリー【私の出自を探るものは、逆に見られてると思いなさい】
メリー【(`Δ´)】
ラインの言葉からメリーさんの怒りは伝わるけど、最後の顔文字のせいで逆に怖くなくなる。むしろちょっとかわいい。
「俺の出自? 寺の息子だけど」
「えっ。そうなの?」
何、その情報。初耳。
「ちなみに母ちゃんは、神社の娘」
「それって、宗教的に大丈夫なの?」
まるでロミジュリのような間柄だ。他人事ながら、心配になる。
「今の時代、坊主の嫁になんて中々なりたがる人がいないから、むしろ大歓迎だったらしいよ。母ちゃんも跡取りがいたから、問題なかったたんだって。ちなみに俺も兄貴継ぐから、その辺りは自由だよ」
柳田君は次男。なんという、好条件男だろう。ライバルがますます増えるしかない要素しか見当たらない。
どちらにしても、メリーさん、(*^ー゜)b グッジョブ!!




