オッドアイ…それは全厨二の憧れ…
少し更新が遅くなりました。
2回もデータ消えたんで勘弁してください。
声のした方を向くと、そこにはノースリーブの中年男性と僕と同じくらいの年の女の子がいた。
女の子の方は殴られたのだろう、左眼を押さえて蹲っていた。
「ウチは慈善事業じゃないんだ!いつまでもタダ飯食わせる訳にはいかねえんだよ!分かってんのか!?」
「…ごめんなさい…」
そう呟き、彼女は押さえていた手をどかした。
その瞬間、僕に衝撃が走った。
「べ、ベル!見ちゃダメ」
母さんは僕が女の子が暴力を振るわれたことについてショックを受けたと思ったらしい。
だが違う。違うのだ。
その女の子は黒い髪に黒い右眼、そして白い左眼を持っていた。特に左眼はまつ毛まで白い。
そう。彼女はオッドアイだったのだ!!
オッドアイ…それは全厨二の憧れにして象徴。地球では片青眼と呼ばれ、医学的には虹彩異色症と言う。だがここは異世界。地球とは違い、なんかファンタジーな法則が働いているのだろう。
「………」
「なんだその目は⁉︎」
「あぐっ」
女の子はまた殴られてしまった。
そう言えばあの子も『呪われた子』って言われてたなぁ。
僕ももしかしたらあの子みたいになっていたかもしれないよな。
………。
僕は僕を自分勝手な人間だと思っている。
父親と意見が合ったことなんて一度もない。高校も大学も全部自分一人で決めた。一度も相談なんてしなかった。
今だってそうだ。転生したラノベ主人公みたいなことがしたいと思っているし、沢山の人に迷惑をかけるかもしれない。
だけど……
「ベル、もう行くよ、本屋さん行こう?」
…やれやれ。どうも僕の自分勝手は一度死んでも治りそうにない。
「お母様、僕あの子が良いです」
「えっ」
「あの子は僕と同じだから…ダメですか?」
上目遣い。両手はしっかり握り可愛いらしい声音でおねだり。
これで落ちない親はいない!
「もちろんOKよ」
「奥様!?」
「ほら何してるの!ダッシュで買ってきなさい!40秒でね!」
「か、かしこまりました!」
その後、僕たちは屋敷に戻った。
自分で言うのもなんだが結構ハイテンポで進んだなぁ。
◇ ◇ ◇
屋敷にて。
「君、名前は?」
「……ない…です…」
僕の目の前には、風呂に入って綺麗になった女の子がいる。相変わらず左目が綺麗だ。
しかし、名前が無いのかー。うむ…
「じゃあ君の名前はアイリスね」
虹彩異色症の英名『Heterochromia of Iris/ヘテクロミア・オブ・アイリス』からとった。我ながら良い名前だと思う。
「え、えっと……」
「あれ?気に入らなかった?」
「そ、そんなことは…ありがとう…ございます… よろしくお願いします…」
「うん、よろしく」
少し慌てながら答えるアイリス。それを見て笑ってしまった。
………この時の僕には知る由もなかった。世界を狂わす、巨大な歯車が動き始めたことに………
ヘテクロミア・オブ・アイリスについてはルビ機能の制限であのような形になりました。