いつも疑問なんだけど異世界にティッシュとかあるんだろうか
さて。今日で僕は5歳になった。今年で、ではなく、今日だ。
この世界にも誕生日に贈り物をする文化があるようで、今まで僕は幼かったから、母さんが買ってきてくれたおもちゃを貰ったのだが、今年は欲しい物を買ってくれるそうだ。
と、言うわけで今僕は母さんと一緒に市場に来ている
「ベル〜。今日は好きなもの買ってあげるからねー。なんでも言ってね」
「はい、お母様」
こうして見て回ると、ここってホントに異世界なんだなぁとしみじみに思う。
あれは何か薄っすらと光っている。きっと『魔道具』なんだろう。
あ、あれなんか凄い四角い果物だ。試食させてもらったが、味はメロンに近い。
これなんかでっかい骨!きっと魔物の素材か何かだろう。
やばい、めっちゃ楽しい!めっちゃ楽しいが…
「んー。ベルにはまだ早いかな」
「ですよね…」
そう。問題は僕がまだ5歳だということ。
魔道具やら魔物の素材やら貰っても活用できない。
魔法もまだ教わってないし……。
「ここは無難に絵本とかどうですか?」
そう言ったのはウチのメイド、ルマリー・クアンタン。今日は僕たちの付き添いでやってきた。
「そうね…。ベル、本屋さん行ってみる?」
「うーん」
絵本。確かにそれは僕も考えた。
でもウチの屋敷には、まだ入ったことないけど書庫がある。
そこにもし今日買うかもしれない本があったら…ダブりとかきっと後悔する。
「もうちょっとここで見て回りたいです」
「そう?ならもうちょっといよっか」
別に欲しい物が無いわけではない。
でも絶対無いか、入手困難な物だろう。
ひとつ挙げるとしたら、ティッシュ。
いつも疑問に思っていたんだ。異世界にティッシュとかあるのかなーって。
無かったよ……。
代わりになるものはあったけれど、ものすごくざらざらしていて鼻を噛むときは鼻が痛くなる。
去年風邪をひいた時は鼻がやすられてしまうかと…。
あとはまぁ、お米かな。
日本人だからね。米食いたい。
異世界に転生した主人公がお米を求める…王道だな。いつかやろう。
多分あるとは思うんだよ。でも今のところ探すのは結構難しい。というか無理だ。
母さんに頼んで探してもらうのは、「本も読んだことない子がなんでお米なんて知ってるの?」ってなるからNGだ。
他には……木刀…かな。
正直剣道なんて二度とやりたくないんだが、異世界に来たからには戦う術だっているだろう。さっきの骨を見る限り魔物とかはいるだろうし、人間にだって警戒しないといけない。
でも、今木刀貰っても、この5歳の体じゃ剣の重さに振り回される。そもそも剣道を始めたのだって7歳からだ。
さらに言うなら、この市場には武器を売っている店があるのだが、刀なんて一度も見てない。
異世界あるある。刀ってそこまで広まってないか、そもそも存在しない。
もしかしたら、よく言う『極東』とか『東方』に行ったらあるかもしれないが、5歳児には、米と同じでやっぱ無理。
じゃあもうカルパスと一緒に遊ぶおもちゃとかかな。
ちなみあれからカルパスには、きちんとお世話してるし、餌だってしっかりあげてる。
でも僕がお勉強をしてる時はいっつも屋敷の外に出て遊んでるんだよなぁ。
ていうかこの世界、猫と一緒に遊ぶためのおもちゃとか作られてんの?
でも他に欲しい物なんてないし…
僕がそんな風に色々考えていると、
「このクソガキ!またお前だけ売れ残ったのか!この『呪われた子』が!!」
そんな言葉が聞こえてきた。