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鋼の魔王!その名もメグリオン!?

人型兵器はロマンです


 チャック作りもいよいよ大詰めといった時に、僕は転移される感覚とともにメグリオンごとどっか別のところに飛ばされた。


「……ここ、どこ?」


 思わずそんな言葉が出た。って待てよ?確かスピーカーモードはオンにしっぱなしだったな……。今の気の抜けた声聞かれちゃった?やだ恥ずかしい。


『おお!我らが偉大なる魔王様が召喚にお応えになってくれましたねぇ!』


 ん?なんだこのつぎはぎの女の人。痛そう。


『くそっ!魔王をこの王都に来させてしまうとは!近衛騎士として一生の不覚!』

『なあなあ。あの鎧かっこよくね?』

『黙ってろ脳筋!』

『う、うっす』


 そしてなんだあの戦士と女騎士のコントは?


 だがメグリオンの魅力は異世界でも通用することが証明したな。ふふん。


『お前たち!動けない者を連れて下がれ!そして周囲の住民を避難させろ!』

『『『『はっ!』』』』


 おっと、大ごとになってしまった……。しかし王都って言ったな。


 向こうを見るとでっかい城が見える。王城だろうな。そして周りを見ると倉庫が立ち並んでいる。確か王都って運河があったから……倉庫街かな、ここは。


『さあ魔王様!この王都を蹂躙しましょう!』

「えっ?いやなんで!?」


 つぎはぎの人が急に変なこと言ってくるが、ほんとに何言ってるんだろう?


『えっ、だって魔王様の望みで……』

「いや、僕別に大量虐殺とかしたくないけど!?」

『で、ですが歴代の魔王はそういうもので……』

「歴代は歴代!僕は僕!」

『で、では私たちのこれまでの苦労は!?』

「知らんがな!」


 読めたぞ。コイツら【混沌教団】だ。帝国にいる『彼女』

の情報にあった。人間でありながら魔王を信仰し、各国に散らばる秘密結社……いいな、それ?で、でも僕たち【魔桜】も秘密結社だし?新メンバーも迎え入れたんだからね!


『では貴様の目的は何だ?王国に害を為すつもりか?』

「そーれーはー……なんとも言えないかも?」


 今考えてみたら……僕って何がしたいんだろ?


 みんなとワイワイするのは楽しい。物作りも楽しいし、毎日退屈しない。でも、物語の主人公は「○○を倒す!」とか「○○を見つける!」とか目標があるけども僕にはそれがない。やれることはたくさんあるけど、やりたいことがない。


『ならば何故王都に来た!』

「コイツらが呼び出したんだよ!不可抗力!っていうか君たちは僕に大量虐殺させて何がしたいわけ?』

『えーと……なんなんでしょうねぇ?』

「んなふわっとした理由で信仰対象呼び出すなよ!」


 もうやだコイツ!


「とりあえず、帰って他の連中に伝えろ。僕を呼び出した魔法はぜっっったいに使うなよ!」

『逃がすと思うか?』

「思わないけど逃げ切るよ」


 とりあえず今この場を乗り切るのが先だ。この女騎士と……ん?あの金棒担いだ脳筋はどこいった?


『貰ったぁ!』

「上!?」


 あんなにデカイ金棒持ちながら膝立ち状態とはいえ周囲の建物より高いメグリオンの上を取るとかマジか!


 幻夢ディスプレイに金棒が振り下ろされる映像が映ると同時に、メグリオンからにぶい音が響く。


『獲ったぁ!!』

「甘い」


 だが甘い。メグリオンの装甲には傷一つ付いていない。内部機構もノーダメージ。


『んな!?』

「くらえ!」


 メグリオンのフェイスパーツがパカっと開き、中から噴射口……【無双砲】が顔を覗かせる。


 殺すのは流石にマズイから威力は抑えて……


「メグリオンブレス!」

『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!』


 そのまま街の方へ吹っ飛ぶ脳筋。


 吹っ飛ばすことに特化してるから身体はそんなに傷付いてないだろうけど……大丈夫かな?


『シッ!』


 今度は女騎士だ。メグリオンの膝を足場に飛び、連続でカメラアイを突く。


 確かに巨大な敵を相手にするなら目を狙うのは合理的だ。だが……


『ぐっ!?』

 

 メグリオンで鷲掴みにする。


 メグリオンのカメラアイって結界で保護してあるから壊すのには苦労するよ。しかも隠しカメラがいくつかあるからメグリオンは何気に360°パラノマビューなのさ!


『くっ殺せ……!』


 くっころいただきました〜じゃなくて!


「いや殺さないからね。安心して。そして君たち。さっき言ったこと他の仲間にも言えよ!勝手に呼び出すんじゃないぞ!」

『は、はあ……かしこまりました』

『行かせるものか!』

『よくもドレイク様を……』

『レイゼル様を離せ!』


 わらわらと騎士団が出てきた。メンドイ!どうしたもんか……全員吹っ飛ばす訳にはいかないしな……。


『ーーあらん?今回の魔王は先代の魔王よりは大きいのねん』


 !?な、何だこのねっとりとした声は。


 声が聞こえた方向に振り向くとそこには……


「お、男?」

『まぁ、失礼しちゃうわん!かよわい乙女に向かってなんてこと言うのん!』


 屋根の上に立っていたのは黒いコートを着込み、隠し切れないほどの大胸筋と口紅で彩られた分厚い唇。そして先端にフライパンのようなものが付いた鉄の棒を2本、鎖で繋いだ武器らしきものを背中に背負っている。


 間違いない……コイツはオカマキャラだ!そしてオカマキャラは大抵が超強いと相場が決まっている!


 そして武器。フライパンとヌンチャクを足したような武器。未知すぎてやばい。どう使うんだ?やっぱりヌンチャク?


『とりあえずその娘……返してもらっていいかしらん?』


 次の瞬間、オカマの姿が掻き消えーー殺気!


 ほとんど無意識でメグリオンの胸部ーーコックピットを後ろに下げた。本能的に、「つい」ってやつだ。


 だってやばいんだもん。まさか女騎士を握っていたメグリオンの右腕をへし折るなんて!


 金属が軋む音とめり込むフライパン。手は強制的に開かされ、女騎士を一瞬で奪われる。


『ふ〜ん……なるほどねぇん……』

『あ、ありがとうございます。ファニーレイル様』

『いいのよん。気にしないで。あ、そうそう。さっきドレイクちゃんも飛んできたからキャッチしておいたからねん』 

『あ、ありがとうございます』


 あぁ無事だったか、あの脳筋。まぁよかった。


 しかしマズイ。右腕は芯となる骨格は無事だが半壊。使えるには使えるが自動修復が終わるまでは待ちたい。そして、左腕だけでこのオカマの相手はキツい。詰んだかもしれん……。


『……ねぇあなた。右腕砕いといてあれだけど、アタシと取引しなあい?』

「取引?」


 なんだ取引って。とりあえずいつでも逃げれるように転移魔法準備しとこう。


『簡単よん。お互いにこれ以上の追撃は無し。あなたは王都に手出しをせずに帰り、アタシ達はそれを邪魔しない。簡単でしょん?』

「なっ!?」


 願ってもみないことだけど……どういうつもりだ。王国側としては、どうしても魔王である僕を倒しておきたいはず。


『ファニーレイル様!魔王を逃がすおつもりですか!?』

『冷静になりなさい、レイゼルちゃん。これ以上この巨体を王都で暴れさせる方が問題よん。下手すれば王族まで危害が及ぶわん』

『で、ですが……』

『それに彼、魔王というだけあって強いわよん。半端な戦力じゃこの硬い装甲をどうすることもできないわん。最低でも十三英雄全員は居てほしいところねん。そしてそんなのすぐには無理なの分かるでしょん?』

『ぐっ……』


 確か聞いた情報だと十三英雄の何人かは冒険者で国の所属じゃないらしい。なら無理だね。冒険者ギルドとかとの折り合いもあるし。


『まぁ、断るって言うなら……命を賭してあなたと全力で戦うわよん?』

「いや、ちょうどよかった。こっちもほら、今から帰るところだったし」

『ならよかったわん。アタシまだ死にたくないしねん』

「でも最後にこれだけ」


 僕は左腕に搭載した【無双砲】を使い、地面に残っていた魔法陣を粉々にする。これでひとまず安心。


「じゃあ帰るよ」

『わかったわん。でもこれだけは覚えてといてねん。アタシはあなたの味方じゃないわん。機会があれば必ず倒して見せる』

「……そんな機会が訪れないことを祈るよ」


 このオカマ、マジ怖いからな……。生身で相手はしたくないぜ。


 マナジェットスラスターを起動。僕は王都の上空へと飛び立った。


 3年後には王都の学園通うんだよな……王都こえぇ。


 そして準備してた転移魔法を起動。景色が一瞬で変わり見えたのは……水?


――ざっばあぁん!!


 転移座標がズレたのか……即席だったし。だがキチンとダンジョンには着いたようだ。浸水もないし、やっと一息つけることが……


『……ベル様。楽しい大冒険は如何でしたか?とてもすごいものを作って、さぞ楽しそうですね?』


 ……静かにキレてるアイリスがいつのまにかメグリオンの肩にいる。アカン。これアカンやつや。


『ベル様?何か弁明はございますか?』

「いやアイリス、これは僕のせいじゃなくてだね……」


 結局、アイリスに説教されて眠りにつけたのは朝日が登った時だった。


 あの【混沌教団】マジ許さん。次あったらメグリオンフィスト食らわしたる。


 

オカマは強い

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