閑話・「魔王復活したってぇ〜!」
更新遅れたー!さーせん。
今回はベル君が魔王になったことによる他所での影響についてです。
王族の暮らしむずい!
受験生にもなり、更新がより難しくなりそうですが
よろしくお願いします!
ベルが魔王になった少し後。ラングル王国、王都にある王城の一室。
そこに身なりの良い服を着た30代ほどの金髪碧眼の男性が窓に写る黒い月を眺めていた。
この国の国王、スクエア・フォン・ラングルである。
「……よもや、私の代でこのような事が起こるとはな……」
その時、廊下から「どどどどどどどどど!!」という足音ともに白髪混じりの年老いた男性が飛び込んできた。
「へ、へへへへへへへへへい、陛下!く、くろ、黒月が!」
「騒々しいぞ、ソーヴ!少しは落ち着かんか!」
入ってきた男性はラングル王国宰相、ソーヴ・ヴィスカ。先代の国王から仕える、王国の賢人と言われる人物だ。遠い先祖にエルフを持つ彼は、見た目とは裏腹になかなかパワフルな男性である。元気さでは新人兵士に引けを取らないとか。
「あれが伝説に聞く《黒月》か……。今度はどんな存在が魔王になったのか……」
「先代は死の病を撒き散らした《魔王イザヤ》でございましたな……あれと同等、もしくはあれ以上の災厄になるやも知れません」
不気味に輝く黒い月を眺める二人。異様な存在感を放つその月は、『不吉の象徴』と呼ばれるのも納得がいくというものだ。
「記録では、イザヤは《黒月》が現れてから5年ほどで活動を始めたとされています。他の魔王も《黒月》が現れてから4、5年経ってから動き始めたと言われています」
「……そのことも考慮して明日、会議を開くぞ。段取りは任せる」
「はっ、お任せください」
その時、部屋に小さな人影が入ってきた。
「父上〜」
「ん?おぉテトラか!どうした、こんな夜中に」
入ってきたのはスクエアと同じ金髪に碧眼を持った10歳の少女だった。
テトラ・フォン・ラングル。この国の第二王女である。
「こんな時間にどうした?もう寝る時間だぞ?」
「なんかお部屋の外から「どどどどどどどどど!」ってすごい音したから目が覚めちゃった……」
「申し訳ありませんでしたー!」
それを聞いた途端、ソーヴは土下座した。小さくジャンプして床にひれ伏す一連の流れに一切の無駄がない、洗練された土下座だ。
「そうか。テトラ、ソーヴは慌てていたのだ。許してやってほしい」
「うん、わかった」
「では早く寝なさい。フォントはどうした?」
「寝てたから起こさないようにしたの」
「フォントよ……」
フォントというのは、テトラお付きの侍女であり、ここにいるソーヴの孫娘である。
「ひ、姫さま〜。すみません!寝ちゃってました〜!」
そこに入ってきたのは緑の髪と黄色い眼を持つ侍女、フォント・ヴェスカ。目が半開きで眠そうである。
「これフォント!お前姫さまをしっかり見とかんか!」
「でも〜!おじいちゃんの足音で姫さま起きちゃったんだもん!」
国王の前だというのに言い争う二人。そんな二人に王族親子は
「こらこら、やめんか。二人とも、明日は大忙しになるぞ。早く休め」
「フォントー。私もう寝たい」
「むっ……かしこまりました、陛下」
「はい、姫さま。お部屋に戻りましょう」
国王を除く三人は部屋を出て行く。去り際に「フォント、目覚めちゃったから絵本読んで。今度は読んでる途中で寝ないでよ」「やだな〜。いくら私でも2回もしませんよ〜」「やったら今度の小遣い減らすからの」「ひどい!」という話し声が聞こえる。
「やれやれ……魔王が出たというのに変わらんではないか…」
そう言ってもう一度窓の向こうの黒い月を眺める。
(魔王よ……どこのどいつかは知らぬが、私の日常。奪わせてなるものか)
―――――――――――――
ところ変わって王都地下。
そこに全身黒装束の怪しい集団がいた。松明の光に照らされ、怪しい魔法陣や骨などが浮き出る、やばいところにいるやばい連中だ。
「諸君!親愛なる同志諸君!あの黒き月を見たか!?あれこそ我らが待ち望んだ魔王復活の証!」
「「「「「黒月万歳!魔王万歳!」」」」」
「今こそ!我らの信仰を魔王様に捧げる時が来たのだ!」
「「「「「我らの信仰を魔王様に!!」」」」」
「魔王様に栄光あれ!」
「「「「「魔王様に栄光あれ!」」」」」
お気付きだろう。彼らは人間でありながら魔王を信仰する組織、《混沌教団》。日々魔王に関する研究や魔王への祈りを捧げて過ごしている、下手したら国より長い歴史を持つ組織である。
そんななか壇上で音頭を取るのは、魔王をはじめとするありとあらゆる災いに魅入られた男、『天災信者 ウィズダム』。表ではなかなかの影響力を持つ商会長を務める男であり、彼の一族が代々組織を大きく広げ、今では王都の騎士団に匹敵する人材を保有する巨大な組織まで成長させた。
そこに《黒月》の登場である。彼らが騒ぎ出さないはずがない。
その興奮と熱狂は半日以上にもわたって続いた。
「あぁ!魔王様!早くそのお姿を拝見したい!」
―――――――――――――
一方その頃、シュピンネの屋敷では、
「くちゅん、くちゅん……」
「………今日そこまで寒かったでしたっけ?」
首を傾げるメイドと、彼女に膝枕され寝ている魔王(笑)がくしゃみを繰り返していた。
宰相『ソーヴ・ヴェスカ』(そうですか)
侍女『フォント・ヴェスカ』(ほんとですか)
が名前の由来です。




